FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

配当10%のARCCのリスクについて

配当利回りが10%近くに達するARCCについて、ご質問のメールをいただきました。ARCCを保有してしばらくたちますので、改めてそのリスクについてまとめておきたいと思います。ちなみに、ぼく自身はARCCのほかPFFも保有し、高配当を享受しています。

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いただいたご質問

サイトを見て質問があります。

現在私は毎月コツコツとPFFを積み立てていますが、サイトでARCCというのがあることを発見しました。

PFFの利回りが約5% ARCCが約10% ですので、2倍近く変ります。

PFFの5%でもかなりのリスクがあるんじゃ無いか?と思っているのですが、ARCCの10%というのが余りにも高すぎて驚いています。

しかし、色々確認すると、リスクとしてはリーマンショックの時の大暴落(後に元に戻る)位しかないことを確認できました。

ということで、
①ARCCにリーマン以外にリスク要因はあるでしょうか?
②PFFとARCC共に保有しているでしょうか?
③メリット、デメリットがあれば御教示お願いします。

基本的にインカム狙いなので、一度保有したら長期保有するつもりです。
※なのでよくよくメリットとデメリットを確認したいです。

宜しくお願い致します。

 ARCCの概要

ARCCは、米国でBDCと呼ばれるジャンルの最大手企業です。企業といっても、実態はREITのような上場投資信託で、利益の90%以上を配当に出すことで課税を免れている仕組みです(パススルー課税)。

 

投資先は、中堅企業の借り入れ(デッド)です。主に投資先のシニアローン(第一順位貸付)を引き受けることで利息を得ています。シニアローンということで、貸付に対して第一順位の担保を取っています。

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貸し出しに当たっては、投資家から集めた資金(エクイティ)を元に銀行借り入れを行っており、負債比率(D/Eレシオ)は86%となっています。2倍弱のレバレッジをかけて貸し出しているという形ですね。

 

投資先は中堅企業で北米内ではありますが、さまざまな業種や地域に分散しています。

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ARCCのようなBDCが伸びてきた背景には、銀行融資姿勢の変化があるでしょう。コンプライアンス強化のため中堅企業への融資を銀行が渋る傾向が出てきます。日本と同じですね。そのため、BDCが必要な資金を高い利回りで貸し出す市場が生まれてきました。

ARCCのリスク

ARCCの実態は中堅企業への融資なので、貸出先が返済できない(デフォルト)したらダメージを受けます。投資不適格債のハイイールド債への投資よりも、貸し出し先が小規模のため、リスクは大きいといえるでしょう。PFFのような大手金融機関の優先株に比べると、やはりリスクが大きくなります。

 

ただし、十分に貸出先が分散されていれば、企業の個別事情によるデフォルトは大数の法則によって統計的なものになります。つまり、例えば平均して1%のデフォルトリスクならば利回りが1%下がるだけで済みます。

 

過去の実績でいうと、過去10年の平均デフォルト率は1%前後のようで、2009年のリーマンショック時も2.5%程度だったようです。ARCCは約360社に分散して投資しており、個別企業の破綻によるリスクは現在の利回りに織り込まれていると考えていいでしょう。

 

ただし、経済全体が悪化した際の市場リスクは避けようがありません。こうした場合、融資先企業全体が影響を受け、デフォルトの可能性が増します。その際には、ARCCの株価も大きく下落しましたので、投資家にとってリスクとなります。

 

ただし金融不安が落ち着けば、融資先の破綻リスクの減少とともに、ARCCの株価自体も戻ってくる流れになります。

 

ARCCは2倍弱とはいえ、レバレッジをかけて投資しているので、融資先が焦げ付くことで、債務超過に陥り、解散というリスクがあることは否定できません。ただし、リーマンショックを生き延びたということは覚えておいていいと思います。

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税金には注意

またARCCは米国籍ETFのため、配当には税金がかかることには注意が必要です。米国で10%課税されたあと、国内でも20%税金がかかるという二重課税状態になります。

 

これを避けるには、確定申告を行い、外国税額控除手続きが必要です。インカム狙いでARCCに投資すると、外国税額控除をやるかどうかでリターンにけっこうな差が出ますので、ぜひトライしてみてほしいと思います。 

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