たまに、不動産屋からワンルームマンション投資の連絡をいただきます。どこをどう検討しても、投資に値しないのですが、いらないというのに物件案内を送るということで、郵便が届きました。
前回のやっちゃダメ!投資の外貨預金に続いて、今回は新築ワンルームマンション投資です。
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買っちゃダメ!絶対。のワンルームマンション投資ですが、パターンはだいたい決まっていて、 という感じです。 何はともあれ、投資でやっているのに毎月持ち出しが発生するというのがすごいところです。いや、もちろん持ち出しは発生するけど、出口でそれらを取り返せる利益が出るという収益物件もあるでしょう。でも、同じワンルームマンションでも、中古で、毎月利益を生みながら、出口でも売却益が見込めるという物件だってたくさんあるわけです。 そんな中で、CFやIRRとにらめっこしながら、収支を見たり最適なローン条件を計算したりするのが投資だと思うのですが、こと新築ワンルームマンションに関しては、節税くらいしかウリになるものがないわけです。 それを象徴するのが、同封されている資料です。投資観点では、毎年のCFと残債の状況、売却時点での想定売却価格などを書いたシミュレーションがほしいところなのですが、そういったものはまず入っていません。 逆にしっかり入っているのは、いかに利便性が高い豪華なマンションなのかをアピールするパンフレットです。要は、自分で住むための分譲マンションのパンフレットと同じものです。 いや、「心安らぐプライベート空間」って、誰のプライベート? ぼくが住むわけじゃないよね? 宅配ロッカーとか食洗機とか、それ使うのぼくじゃないよね。 投資家観点では、こういった金のかかる設備を入れることで、それに見合う高い賃料を取れるのかということですが、その点はもちろんこう書いてあります。「リーゾナブルな家賃設定で、ほぼ満室です」 いや、サブリース契約なんだから、満室じゃなくてもこちらには収入は入ります。設備を豪華にして賃料を安くすれば、そりゃ埋まるでしょうけど、それって管理会社にとってのメリットで、オーナーのメリットじゃないですよね。 「ローンを払い終えれば、”資産”が手に入ります」。これも必ずうたわれるウリ文句です。でも、資産の定義は、それを持つことで利益を生み出してくれるものです。そしてその評価は、費やしたお金に対して見合う利益を生むかどうか、です。ローンを払い終わった築30年の都心ワンルームマンションは、たしかに利益は生むでしょうが、それが見合うかどうかは別問題です。 こういうことを気にする投資家も多いのでしょう。売却による出口での成功例を書いた書類も同封されていました。こちら、1985年に購入し、33年後の2018年に売却したという事例です。自己資金と月々の持ち出し(!)とさらに租税公課(!)も入れて、投入資金は約850万円。売却時のリフォーム費用に80万円かけています。 当時1160万円で買った物件が、33年たってそれでも1050万円で売れました。それでどのくらい利益が出たのかというと、たったの120万円です。租税公課とわざわざ書いてあるということは、この持ち出しによる損失で所得税が減った分を加味しているということですね。 ざっと計算すると、投資額に対する複利利回りは0.4%です。値下がりのリスクなども背負いながら、この利回り。持ち出しはイニシャルではなく33年間続いたでしょうから、多少利回りは改善しますが、倍になっても0.8%でしかありません。 しかも想像するに、これは登記手数料や売買の仲介コストは含まれていないように思います。また、売却益が出たということは、約20%の長期譲渡課税がかかります。これも入っていないでしょうね。 これが成功事例として挙げられるあたり、新築ワンルームマンションのすごさが分かります。また33年経って売却というのは、ここ5年ほどの不動産価格上昇をもってしても、やっと損益トントンになったのが18年ということでもあります。 ここからよく分かるのは、投資というのはあくまで利益を生むためにするものだということです。なぜ他人が住むマンションに豪華設備が必要なのか、まったく僕には分かりません。キャッシュさえ生んでくれれば、それこそボロ家でも問題ないわけです。考えるべきは、空室や修繕にかかるコストが、家賃収入に見合うかどうか、売却時にどんな値付けになるかであって、物件の豪華さなんて、大家には関係ありません。 営業がしつこく買うよう迫ってくる投資商品ではなく、営業が売らなくても売れる商品を探すようにしましょう。 新築ワンルームマンションに注意
豪華さをアピールする物件資料
成功事例の額がすごい
投資は利益を目指すもの。所有欲を満たしたい?という人は別ですが