FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ARCCの利回りが16%超え 危機かチャンスか

米国のBDC銘柄Ares Capital Corporation(ARCC)の株価が、コロナショックで急落中です。結果、配当利回りは16%を超えました。さて、これは危機なのかチャンスなのでしょうか?

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ARCCとは?

さて簡単にARCCのおさらいです。米国でBDCと呼ばれるジャンルの最大手企業です。中堅企業に貸し出しや投資を行い、そこからの利息が収益です。銀行のようなものですが、REITのようにパススルー課税となっており、利益のほ90%以上を投資家に還元することで、法人税を免除されています。

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信用リスク拡大で急落 高値から50%減

ARCCは、社債を発行できないような小さな企業に出資や融資をしているので、このような状況ではデフォルト懸念により、信用スプレッドが拡大、結果株価は急落します。下図はS&P500とARCCの3月の株価推移ですが、S&P500が3月半ばからある程度落ち着いたのに対し、ARCCはそこからさらに25%下げるという大暴落です。

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直近高値の19ドルから、一時は8ドルまで落ち実に半値以下となりました。その後も荒い値動きを繰り返し、現在は▲47%です。これまでの配当実績を元にした配当利回りは、結果16%を超えるところまで上昇しました。

 

株価指数以上にボラティリティが高いのが、こうしたBDC企業です。実際、金融危機(リーマンショック)の際にも、S&P500に比べて大きく下落し、高値からの落ち込みは▲80%にも及びました。2007年の高値から、2009年の頭にかけて恐ろしいほどの落ち方をしているのがわかります。

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一方で、その後株価の戻りと歩調を合わせて株価も回復していきました。

レバレッジを拡大させてきたBDC

今回とリーマンショック時の違いはいくつかあります。一つは、2018年の法改正により、BDCのレバレッジ規制が緩和され2007年当時よりも、高いレバレッジがかかっていることです。上場BDC全体で、17年のデッドエクイティレシオが0.73倍だったのに対し、直近は1.05倍まで拡大しました。これは収益性が高まるとともに、リスクが上昇したことを意味します。

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※グラフはARCCのデッドエクイティレシオ

 

また今回は金融危機ではなく、実態経済の危機だということもあります。前回は融資が滞ることで運転資金が枯渇し企業が破綻するリスクがありました。今回は、経済の不調により企業が破綻する可能性があります。

 

Refinitiv LPCによると、19年最終四半期のデフォルト(債務不履行)率は3.2%から3.4%に増加しています。

 

ただしある意味シンプルなBDCのモデルは、高収益です。営業利益率(Operating Margin)は安定して50%程度あり、パススルー課税企業なので純利利益率(Net Margin)もほぼ同程度です。金融危機の際も営業利益率は50%程度で推移し、最も低かった11年6月でも40%を確保していました。純利益率も、金融危機の際は赤字に沈みましたが、1年で回復しています。

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このような状況では、ARCCが果たす役割は投融資先の中堅企業が破綻しないように潤沢な資金供給を行うことであり、それがARCC自体の存続にもつながるでしょう。

ARCCの配当状況と投資

今回のショックで一時的に配当金は減少するでしょう。ずっと増配を続けてきたARCCですが、3月13日確定の配当金は久しぶりの減少となりました。しかし株価の急落があり、配当利回りは実績ベースで10%超に増加しています。

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しかしなんと金融危機の際には、利回りが実績ベースで44%までいったんですね。コロナショックの状況をどう見るかですが、株価はさらに下落し、配当利回りがさらに上昇してもおかしくありません。

 

ARCCのリスクを考えると、会社自体の破綻は多くの投融資先の連鎖破綻にも繋がりかねないのでそれはさせないでしょう。ARCCへの融資さえ滞らなければ、破綻はないと踏んでいます。

 

最大のリスクは投融資先の破綻、デフォルトです。これは確実に増加すると見込まれます。それがどのくらいの規模になるかで、配当減、そしてさらなる株価下落となるでしょう。それでも、1〜2年の長期スパンで見れば、絶好の買い場とも言えます。

 

僕の場合、そこそこのボリュームをすでに保有しているので、すぐに買い増すことはしないつもりです。さらに株価が下がり、バーゲン化したら、ぜひ追加で仕込みたいと思います。これだけの増配企業で、利回りが16%からさらに上がるというのは、悪くない話です。