FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。投資歴20年以上。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家。ロジックとエビデンスを大事に、運と不確実性を愛しています。

「必要な支出」を削って「欲しいもの」を買え と森博嗣は言った

家計相談をファイナンシャルプランナー(FP)などにしたときに、よく言われるのが、「必要なものだけにお金を使って、欲しい物は我慢しましょう」という言葉。そして、その買いたいモノが本当に「必要」なのか、よく見極めましょう、と続きます。でも、昔からこの説明がなんかしっくりきていませんでした。

欲しい物を買うためにお金はある、という逆転の発想

このことについて、見事に唸らせてくれたのが、セミリタイアの大先輩だと勝手に思っている作家の森博嗣の最新作です。その名も「お金の減らし方」。僕も、常々、お金は増やすよりも減らす=うまく使う ほうがよっぽど難しいと思っていたので、楽しみにページをめくりました。

お金の減らし方 (SB新書)

お金の減らし方 (SB新書)

  • 作者:森 博嗣
  • 発売日: 2020/04/07
  • メディア: 新書
 

ちょっと一般では考えられないものがある。たとえば、「欲しいものはなんでも買えば良い。でも必要なものはできるだけ我慢をすること」という方針。それは反対だろう、と思われるのに違いない。

いやぁ、さすがは森博嗣。うなります。まず欲しいものを買う。残ったお金で生活をやりくりする。こんな方針で生きてきたといいます。

どんなに貧乏なときでも、僕は収入の1割を、自分の趣味のために使った。同様に、奥様にも「1割を遊ぶために使いなさい」と言った。そして、残りの8割で生活を維持していこう、という大まかな方針だった。

その比率は収入の10%だそうです。夫婦併せて20%。これを欲しいもの、趣味、遊びにために使います。ただし、10%で足りないものが欲しい場合は、貯めておいて買うそうです。

 

森博嗣がポルシェ911を買ったときの話も書かれています。前から気になっていたポルシェを現金でぱっと買ったということですが、 このときも使ったのは収入の10%。当時の年収は、小説の大ヒットで1億円以上あったということですから、その10%でも買えたという話です。逆に、そこまで年収がいかなければ、買おうとは思わなかったというのが森氏の考え方です。

欲しいものを買うためにお金はある

よく言われる「必要なものを見極めて買いましょう」という言説に、しっくりこなかった最大のポイントは、「欲しいもの」が一段下に見られているからです。FPの家計相談では、よく「子供は私立ですか公立ですか、理系か文系ですか(そんなの本人次第でしょ)とか、クルマは何年に一度いくらくらいのものを買いますか(生活に余裕がなければ買わないし、余裕があればいいものを買うよな)とか、何歳まで働きますか(その時の仕事の内容によるし)」なんて聞かれます。さらには下手をすると、何歳まで生きますか?と聞かれかねないくらい。

 

生活に必要な額を見積もって、それをベースに運用やら保険やらを提案したいという話です。理屈は分からなくはないのですが、これをやると、大概の場合、生活費であっぷあっぷになってしまって、好きなことに使うお金がないことになります。

 

あれ? お金って欲しいものを買うために、好きなことをするためにあるんじゃなかったんだっけ? そんな思いをずっと胸に秘めていたので、一般的なFPの考え方に違和感を得るとともに、森博嗣の「防衛費」という表現がとてもしっくり来ました。

僕たちは、これを「防衛費」と呼んでいた。当時、日本政府は、ずっと防衛費1パーセント枠を維持しているようだったので、自分の家庭でも、防衛費10パーセントを厳守することにしたのだ。これには、自分の趣味を守る、自分の嗜好の権利を守る、というような意味合いがあったと思う。

実際、「必要」はかなり怪しいところがあります。本当に「必要」な金額ってどのくらいなんでしょう。高い家賃は必要かといえば、実はもっと安いところに引っ越すこともできるわけで、必要というよりも贅沢です。服も、ブランド品とかを買う必要はなく、ユニクロで十分。食費も、自炊のほうがよっぽど安くて美味しいものになります。

 

これがどうしても「必要」だ、と考えるよりも、素直に「欲しい」から買いたいと考えたほうが、自分を偽らずに済むように思います。

僕が大前提としたのは、やはり、「どれくらい必要か」は問題ではなく、大事なことは「どれくらい欲しいか」なのだ、という理屈である。

必要なものの多くは、実は絶対に必要というわけではない。なにしろ、それを買う今現在、それがなくても過ごせているからだ。一方、欲しいものは、それ自体でかなり説得力を持つ。どれくらい欲しいかが説明できれば、相手を説き伏せることができるだろう。

そんなにお金を貯めてどうするの?

 たまに、お金を増やすとか貯めることに執着しすぎて、使うことに全く目が向かない人がいます。何かを買うためにお金を貯めたり増やしたりするのではなく、お金自体が目的になってしまっている人です。

お金は、目的ではない。お金を得ることが目的であるわけではない。目的を達成するための手段として、お金があるのである。これは、お金に価値があるのではなく、目的に価値がある、という意味でもある。 

 一方で、「お金があるから使いたい」という発想になってしまう人もいます。本当に欲しいものが何なのか分からないから、「これまで買えなかった高いものを買いたい」と思ってしまう人です。

これを勘違いしていると、貯金が沢山あれば嬉しい、高給であれば偉い、高価なものを持っていれば立派だ、という間違った価値観に支配される。これはお金に支配された状態だといっても良いだろう。

そして、最も多いのは、高い値段がついたものに価値がある、という思い違いである。

 僕自身でいえば、幸いなことに、人に見せびらかす、自慢するための買い物にまったく興味がありません。クルマにせよ服にせよ、それを自分で使いたい、纏いたいから買う。優れたデザインのものを側に置くことで、自分自身が豊かになる。そういう感性でいられるのは、たいへん幸せなことだと思います。

 

クルマは金額的にいえば、ちょっと驚かれるくらいのものに乗っていますが、これは学生時代からずっと欲しかったものを、やっと、現金で、しかも総資産にそこまで影響がない形で購入できるところまで来たから買ったもので、見栄の気持ちは全くありません。それどころか、変に勘ぐられたくないので、できれば人には見せたくないくらいです。

 

同好の士には分かるように、「こんなクルマに乗っています」と名刺には記載していますが、これは同じ趣味と感性を持った人と繋がりたいからです。たぶん、普通の人には何のことか分からない書き方でしょう。

 

昔から、書籍にだけはカネに糸目をつけずに使ってきましたが、正直書籍にかけられる金額なんてたかがしれています。別に絶版書とか希少書のコレクターでもないので、自分の読みたい本が読みたいときに手に入ればいいのです。本は読むのに時間がかかるので、年に100万円分使うことなんてどうやっても不可能でしょう。

 

ではせっかく稼いだお金を何に使うのが、最も僕が欲しいものは何なのか。それは自由と時間でした。だから、しっかりと計算した上で、定年退職までの15年間を、お金で買うという決断をしたわけです。

 

お金は、とても大事なものだし、お金がないとできないことは多いけれど、僕は自分の持っているお金でできることしか考えない。これは、壁を通り抜けることはできないから、ドアから出ていくしかない、と考えることと同じだ。自分にできないことは、普通は考えないのではないか。他者がやっているから自分もやりたい、という欲求が僕にはまったくない。

お金の減らし方 (SB新書)

お金の減らし方 (SB新書)

  • 作者:森 博嗣
  • 発売日: 2020/04/07
  • メディア: 新書