楽天証券では、米国株を購入する際に、円決済、外貨決済のほか、米ドル建てMMFも利用できます。ところが、ここには「米ドル建てMMF(GS)含む」という記載です。GS=ゴールドマン・サックス以外のMMFは利用できるのでしょうか?
米ドルは寝かせずMMFに置く
楽天証券で米ドルを持つなら、MMFに置くのが鉄則です。まず円に戻すのはオススメできません。購入、売却にそれぞれなんと25銭もの手数料(スプレッド)がかかるからです。1ドル109円だとすると、往復で0.45%ものコストがかかる計算になります。
ちなみにFXであれば、ドル円のコストは0.3銭あたりが一般的。15倍ものコストです。もし、「今は円高だから買っておこう」「今は円安なので円に戻しておこう」と為替動向を見据えてドルを売買するなら、ドルはそのままに、FXでポジションを取ったほうがお得です*1。
ただしドルをドルのまま置いておくのは、あまりメリットがありません。楽天証券の場合、ドル建てMMFから直接米国株などが買い付けられるからです。
しかも、現在金利が混乱している状況ですが、年率で0.86%の利回りを得ることができます。寝かせておくとしても、MMFにしておけば日本円よりはましです*2。
GS MMFと日興MMFの違い
さてここで気になるのは、同じMMFなのにGS MMFは利回り0.007%、日興MMFは0.86%です。どうしてこんなに利回りが違うのでしょうか? 確実な理由は分からないのですが、投資している商品が違うことは分かりました。
まずMMFとは何なのかですが、マネー・マーケット・ファンドの略で、税制的には公社債投資信託にあたります。ローリスク・ローリターンと言われ、安全性は高いですが、まれに元本割れもあると言われます。ここまではよくある解説ですね。
ではどこに投資しているのでしょうか。まずGS MMFです。こちらは「買戻条件付取引」を組み入れたMMFです。これはいわゆるレポ取引のことです。
「買戻条件付取引」レポ取引ってなんだ?
このレポ取引というのが、ものすごく簡易で何を書いているのか分からない説明か、ものすごく複雑なプロ向けの説明しかなくて困ったのですが、ぼくなりに理解したものをまとめると、こうなります。
まずレポとは、債券を担保にお金を借りてくることです。資金調達のためにも使いますし、レバレッジをかけるときも債券を担保にお金を借りて、そのお金で債券を買って、その債券を担保に……とすることで、レバレッジが掛けられます。
さて、MMFの場合はどうでしょう。まず企業の短期社債があります。いわゆるコマーシャルペーパー(CP)です。これを借り受けます。借り受けと書きましたが、実際は買い戻し条件付きの売買ですので、いったん購入します。
その後、相手に債券を返却(買い戻し)してもらいます。このとき、借りた債券の対価として品貸料を払います。そして、現金については金利分を受け取ります。
これで、金利から品貸料を引いた分がリターンになるわけです。一般にレポレートというようです。GS MMFの場合、このレポ(この場合はリバース・レポか?)がほとんどを占めています。
日興MMFのポートフォリオはCP
一方で、日興MMFのポートフォリオはコマーシャル・ペーパー(CP)です。これが利回りの違いか? とも思ったのですが、これもCPを直接買い付けているのか、それともレポ取引で借り受けて金利分を得ているのか、目論見書だけでは判別しません。
ともあれ、日興MMFとGS MMFではなぜか利回りが大きく違う状況だということです。
(GS)以外でも株式買付に使える?
さて、楽天証券では外貨MMFから直接米国株を購入できるのがメリットだと書きました。ほぼドルそのものとして使えるわけです。ところが、GS MMFと日興MMFでこれだけ利回りが違うと、日興MMFのほうを使いたくなりますね。
そして、米国株を購入しようとしたところ、なんと日興MMFからは購入ができませんでした! 直接米国株買付に使えるのは(GS) MMFだけのようです。こちらサポートに確認してみたところ、
GS米ドル建てMMFにて米国株式を買付される場合は、直接、米国株式の
買付代金に充当することが可能です。しかしながら、日興USドルMMFから、米国株式の直接買付はできかねます。
何卒ご了承ください。このため、日興USドルMMFのご資金にて米国株式を買付なさる場合は、
日興USドルMMFの解約注文を外貨決済で発注いただきますと、即時に
米国株式の購買余力に反映いたします。
ということでした。通常は解約注文を出しても入金に2日くらいかかるのですが、日興MMFの解約注文は、即時に余力に反映なんですね。際どい指値で購入する場合以外は、これでもいいような気もします。
プチ技でした。