FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。投資歴20年以上。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

こんな投資はしてはいけない(3) 超高利回り

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こんな投資はしてはいけないの第3弾は、超高利回り投資です。

 

たまに、というか主に仮想通貨回りでですが、「月利10%」なんていう投資案件の話を聞いたりします。風の噂でも、「月利20%の投資案件」なんてものを聞くこともありますね。普通に考えれば、そりゃ詐欺だろうというものなのですが、「あの有名人も投資した」という話とだいたいセットになっていて、「あの人が投資しているなら本物かも?」ということで信じてしまう人が、まれにいるようです。

月利10%の威力

では月利10%の投資というのは、どのくらいのリターンを生むのでしょうか? これは複利で伸びていくものなので、1万円の投資が1カ月後に1万1000円、2カ月後には1万2100円、3カ月後には1万3310円……と増え、1年後には3万1384円と、実に年利換算で313%に増加します。+213%ですね。

 

この投資案件が仮に5年続くと、元本は約300倍になります。10年続くと9万2700倍です。1万円投資すると、5年で300万円、10年で9億2700万円になる計算です。もしこの案件に、1000万円の資金が集まったとしたら、5年で30億円。10年で9400億円超です。

 

これが月利20%だと、1万円の投資が5年で5億6300万円、10年で31兆円超になります。

 

ちなみに20年前にスティーブ・ジョブズが復帰したときのAppleの株価が0.34ドル(分割調整後)。現在の株価が114ドルですから、約335倍になったことになります。ものすごい成長ですが、これを月利に直すと2.45%でしかありません。年利にすると33.7%といったところです*1

 

月利10%というのが、いかに非現実的かが分かると思います。

ただし1〜2年なら十分にあり得る

そうはいっても、1〜2年で見たら、たかが3倍、たかが10倍です。事業で一発当てた場合、何も非現実的な伸びではなく、十分にあり得ます。もっと短い期間、1カ月や半年ならば、実際に月利10%を維持するのは余裕でしょう。

 

問題は、これがいつまで続くか?です。数カ月、または半年くらいで手仕舞って果実を得て終われるのなら、実はおいしい投資かもしれません。ただし、自分が投資したときはすでに終盤に差し掛かっているかもしれません。過去半年から1年の実際の成績をもとに投資を勧められたのなら、その可能性はたいへん高そうです。

 

投資して、一回くらいは月利10%の恩恵を受けたものの、その後音信不通。または倒産。元本は当然返ってこない。こういうのがよくあるパターンです。

 

HYIP(ハイプ)

仮想通貨ではHYIP(ハイプ)という用語が一時期さかんに言われました。要はねずみ講的な詐欺で、集めた資金をもとに分配金を出し、参加者が増えなくなったらトンズラしてしまうという古典的な手法です。ポンジスキームともいいます。

 

古典的ではありますが、仮想通貨という仕組みの複雑さと、仮想通貨投資そのもののボラティリティの高さ、急騰を受けて、信じてしまった人も多いようです。月利10%どころか、日利10%なんて案件もゴロゴロあって、当然ですが10日経たずに出金停止、連絡が取れなくなるというものです。

 

仮想通貨のHYIP案件にはだいたいキーワードがあって、次の3つのようです。自分で理解して行うのならありだと思いますが、これらのキーワードで売り込んでくる投資案件は、だいたい怪しいと思っていいのではないかと思います。なんかすごそうで、最先端なイメージを持ちがちですが、世の中にそんなにうまい話はないのです。

  • マイニング
  • アービトラージ
  • AI

実際プランスゴールド(PGA)という会社がやっていたHYIP案件は、仮想通貨の取引所間のアービトラージによって月利15〜20%程度を稼ぐという売り込みでした。ポイントは、Fobesや朝日新聞デジタルにも掲載!とアフィリエイターが盛んに信頼性をアピールしていたこと。下記が、その朝日新聞デジタルに掲載されたという記事です。あれ? これってただのプレスリリースではないですか。しかも、朝日新聞ではなく朝日新聞社が運営するforM内ですね。

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メディア各社はプレスリリースを、自社のサイト内でそのまま掲載するビジネスをやっています。掲載することで、お金がもらえるというモデルです。もちろん「企業のプレスリリースをそのまま掲載したものです」というエクスキューズは載っていますが、そこまで見ずに、「朝日新聞デジタルにも掲載された!」という表現だけが独り歩きするわけです。

 

ちなみにこのプランスゴールドは、2020年5月に始まり、2020年の9月に出金が停止した(つまり飛んだ)というホットなHYIP案件です。

いつ逃げるか。それが問題

一方で、HYIPの特徴は、しばらくの間は実際に高額な分配金を出すことです。自転車操業だとはいえ、分配金実績があるから集まってくる人がいるからです。そのため、最初期に参加すれば、実際に利益を得ることができます。そのため、敏感に情報を集め、HYIP案件が始まったらすぐに参加して資金を投下、元本が引き出せるうちに逃げる――という方法を繰り返して、実際に利益を得ていた人もいるようです。

 

いつ逃げるか?のポイントはとてつもなく難しいでしょうが、最大のキモは「詐欺だと分かって理解した上でやっている」ことでしょう。このプロジェクトがしっかり伸び続けるなどとは思っていないことが重要です。これは高度なゲームであり、とてもではありませんが、投資ではありませんね。

 

ただ、よくよく考えると、実態価値を超えて株価だけが乖離して上昇する銘柄も、これに近いのかもしれません。みんなが買うから上がる。上がるから買う。誰もが「もう高すぎる」と思っていても、新たに参加して買う人がいれば上がってしまう。問題は、崩壊前のいつ飛び降りるか? のタイミングです。そう、バブルへの投資というのは、根本的にはHYIPと同じ構造なのかもしれません。

 

www.kuzyofire.com

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*1:上限金利いっぱいで借金してApple株に投資しても、しっかり利益が出るあたり、すごい企業です