FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ハイイールド債のHYGと1497を購入 米金利のターミナルレートに向けて

昨日、米国ハイイールド債に投資するHYGと、その為替ヘッジ版【1497】を購入しました。なぜ今債券、しかもハイイールド債なのかをまとめておきます。

HYGと1497

HYGとは米国ハイイールド債に投資するETFです。ハイイールド債とは別名ジャンク債とも呼ばれ、投資適格ではない、つまり安全ではない社債に投資するものです。なぜそんな危険な債券に投資するかというと、もちろん利回りが高いから。

 

債券の利回りは、下記のように無リスク金利である国債の利回りに、信用スプレッドが乗る形で決まります。そして信用スプレッドは格付けが悪くなるほど大きくなります。

HYGはそうしたジャンク債にまとめて投資し、代わりに現時点で5.1%という高い分配金利回りを提供しているETFです。ちなみに経費率は0.48%とそこそこ低め。信用格付BBが50%、Bが36%、Cが10%で構成されています。残存年数は5-7年が最も多く、加重平均の残存時間は5.28年、実効デュレーションは3.96年となっています。

 

国債に対する上乗せの信用スプレッドは396bp。つまり3.96%金利が上乗せされていることになります。

 

1497はHYGの為替ヘッジ版で、東証に上場しています。ドルでしか買えないHYGに対し、円で購入できます。

 

ハイイールド債への投資方法としては、ほかにETFのJNKもありますが、1497との比較も兼ねて、今回はHYGを購入しました。

現在の経済状況をどう捉えるか

なぜHYGなのかを書く前に、現状認識を。現在は急激なインフレに対応するために米FRBが急速に利上げを進めてきました。コロナ禍でいったんほぼゼロ金利にしたものの、インフレに対応するために3月から利上げを開始し、現在は3.875%まで政策金利を上げました。

それに連動する形で、長期金利(10年)も下落し、その後急上昇しています。

 

ところが、11月10日に起きたのが逆CPIショックでした。これは10月の消費者物価指数(CPI)が市場の予想を下回ったというものです。つまりインフレ沈静化の目処が見えたということで、株価上昇、利回り低下、そして円高へとトレンドが変化しました。

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となると市場はすでに将来の利下げを織り込み始めました。次の焦点はターミナルレート(政策金利の最終的な到達点)がいくつになるかと、その後の利下げがいつになるかです。ターミナルレートの想定には幅がありますが、5.0%ではないかという見方が出ています。

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つまり、

  • 米国の利上げは終わりが見えた
  • いつなのかはわからないが、5.0%(あと2回?)目算
  • その後は利下げのタイミングを探る

というのがコンセンサスです。すでに長期金利は反応しており、下記のようにピークを打っています。

  • 2年金利 4.66%(ピーク)→4.28%
  • 10年金利 4.21%(ピーク)→3.51%
  • 30年金利 4.33%(ピーク)→3.56%

今後、利下げが確実になるにつれて長期金利も下がってくるのは間違いありません。政策金利の上昇によって長期金利が上がっていたのとは逆に、政策金利下落を少しずつ織り込みながら長期金利は下落に向かいます。

なぜハイイールド債なのか

長期金利が下落し始めるということは、逆に価格が上昇するのは債券です。また残存期間が長い(正確にはデュレーションが長い)ほど、債券価格は金利変動に敏感になります。そのため、長期金利下落のリターンを取ろうと思ったら、長期債になるほど有利というわけです。

 

そのため、長期債を買う(生の債券かTLTなど超長期債ETF)のが一案。そしてこちらはすでに購入しました。

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そしてさらに追加の利回りを取るなら、どんな方法があるでしょうか? そう、その答えがハイイールド債です。下記はハイイールド債の利回り(青線)と米10年国債の利回り(赤線)の推移です。国債利回り+信用スプレッドがハイイールド債の利回りですね。

このように、ハイイールド債の信用スプレッドは危機の際に急拡大します。リーマンショックしかり、コロナショックしかり。こうした危機下では企業の倒産も増加しますので、その分のスプレッドを投資家が求めるのは当然だというわけです。

 

ところが、あとから振り返ってみると、実際の倒産確率を超えるスプレッドが上乗せされていることがわかっています。つまり、リスクを享受できるなら信用スプレッドが高くなっているタイミングは、ハイイールド債を購入するタイミングとしていいわけです。

 

そもそも格付けが下がるに連れて利回りはなだらかに上昇しますが、倒産確率(デフォルト率)はCCC格に入ったところで急上昇します。BBとBはすでにハイイールド債なので、倒産確率の上昇よりも利回り上昇のほうが大きく、お得なわけです*1

 

そして直近はというと、信用スプレッドこそ目に見えて大きいわけではありませんが、ベースとなる国債利回りの上昇も相まって、コロナショックピークを超えるほどの利回りとなっています。要するに、ハイイールド債は安いわけです。

株式ではダメか?

もちろん、株式を買うという手もあります。株式は長期でみれば最も期待リターンが大きく、利下げが見込まれるタイミングでは再びグロース株の上昇があり得るでしょう。ただし、リセッションに弱いという弱点もあります。

 

インフレが沈静化しても、FRBの利上げの影響は大きく、米国を中心とした世界は短期間かもしれませんがリセッションに突入する可能性があります。すでに企業の決算にはその徴候がでてきていて、ハイテク企業の減速は周囲の企業の決算にも悪影響を及ぼしつつあります。

 

となると、株式はFRBが利下げを始めて、その効果が出て、景気が持ち直して始めて株価上昇となる可能性が大です。しかし利下げは行われているので、債券系は先行して上昇します。つまり、厳しい相場から抜け出すタイミングではハイイールド債のほうが回復が早いのです。

Fidelity International

 

そんなわけで、遅ればせながらグロース株を売却した僕が購入したのは、米国債とHYGをのようなハイイールド債になります。HYGと1497の違いについては、また次回。

 

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*1:これは機関投資家がジャンク債への投資を規約で禁止されているなどが影響しているのでしょう。