FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

利率が0.43%到達 個人向け国債が選択肢に

個人向け国債は株式と組み合わせる安全資産として有名でしたが、あまりに金利が低くて視野に入っていませんでした。ところが直近の長期金利上昇を受けて、利率が0.43%まで上昇しています。

利率0.43%まで上昇

財務省の個人向け国債のページを見ると、9月7日に募集を開始した個人向け国債は、変動10年で0.43%まで金利が上昇しています。

個人向け国債は毎月発行されていますが、32ヶ月前(2年半少々)の第130回から今回の第162回までの利率推移をグラフにしたのが下記になります。

この利率がどうやって計算されるかというと、次のようになります。

利子計算期間の開始日の前月までの最後に行われた、10年固定利付国債の入札における平均落札価格を基に計算される複利利回りを基準金利とし、

その0.66%を利率とする

つまり、10年国債の利回りの3分の2という感じです。

最低金利、中途解約ペナルティ

さて個人向け国債変動10年というのは、10年保有すると償還される債券で、利率は半年ごとに見直されます。今回の162回でいえば、10月に発行となり、2024年の4月と10月の15日に利払いが行われる形です。

 

この前提で、注意点が3つあります。まず金利については最低金利が定められています。それが0.05%。実際、上のグラフでも第130回から140回まではけっこう最低金利にへばりついていました。ただ現在は継続的に高水準になっているので、最低金利保証はそろそろ意味をなさなくなりそうです。

 

もう一つ、満期は10年後ですが、1年後からは中途解約も可能です。この際の手数料は直近2回の利子相当額となります。つまり、10月に購入して、翌年2024年10月に解約したら、受け取った利子2回分を払うわけで、元本がそのまま戻ってくることになります。

中途換金−個人向け国債(変動10年)│個人向け国債│SMBC日興証券

購入時に現金付与

そして3つ目が購入時の特典です。なんと個人向け国債の購入には手数料がかからず、それどころか現金がプレゼントされるのです。どのくらいの額がプレゼントされるかは証券会社によって違いますが、トップクラスで0.14%相当。

 

下記がトップクラスの野村證券の現金付与額です。野村の場合、最低金額が1000万円というハードルがあります。

下記はトップクラスの日興証券の現金付与額です。日興は500万円から0.14%が付与されます。

SBI証券の場合、還元利回りは0.1%に下がりますが、50万円から付与されます。

こうした仕組みがあったため、一時は国債を買って0.14%程度の現金を受け取り、1年経ったら解約して、再び購入するという手法がささやかれたこともありました。手間の割に対した額にはなりませんが、銀行預金よりも安全で、年利0.14%が得られたわけです。

現在の実質利回り(税前)

ではこれらの前提で個人向け国債を購入した場合の実質利回りを計算してみましょう。変動金利ですが、ここでは直近の金利0.43%が10年間継続する前提で計算します。金利は自動再投資できず、再投資できる額でもないので、ここでは複利ではなく単利で計算しています。

 

下記は購入後、x年後に売却した場合の収益とその利回りをグラフ化したものです。

まず1年目の解約は通常の金利が解約ペナルティとしてなくなって、初回購入時の現金プレゼント0.14%だけがもらえます。2年は解約しても2回分(1年分)の利息が得られます。年数が長くなるにつれ、解約ペナルティの収益に対する比率が薄まるので、少しずつ利回りは上昇します。

 

そして10年後は、解約ペナルティなしに元本が戻ってくるので、利回りは最高の0.44%に達します。0.43%の表面金利よりも高いのは、購入時現金ボーナス0.14%の分が年利0.014%だけ上乗せされているからです。

個人向け国債活用のベストプラクティス

10年間保有し続けるかは分かりませんが、中途解約しても年換算で0.3〜0.4%のリターンがあることが分かります。「いざというときのために」現金を保有するのなら、未だに高くても0.1%とか0.2%の銀行預金よりも、個人向け国債のほうがよいでしょう。利回りが高く、さらに安全だからです。

 

どの証券会社で購入するかは、購入時キャッシュバックの最低金額と、購入後の活用方法で検討します。例えば、野村證券で買うなら最低1000万円分は買わなくてはなりませんが、SBIなら50万円からキャッシュバックを得られます。できれば、0.14%が得られる証券会社や銀行から購入するのがいいでしょう。

 

野村證券で購入することのメリットは、証券担保ローンの「野村Webローン」の担保として使えることです。額面の8割まで借り入れが可能です。もちろん、1年中借りていては、金利0.3〜0.4%に対してローン金利が1.5%ですから損失が出てしまいます。Webローンは、資金需要があるときに2日間とか3日間とか、長くても1ヶ月間とかスポットで使うべきです。そうすれば、合計1ヶ月借りても金利は0.15%ですから、現金で持っているより有利でしょう。

 

ちなみにSBI証券などで購入した個人向け国債を、他社に移管することも可能で、手数料も無料です。手間はかかりますが、このようにしていいところ取りをする方法もありますね。

www.kuzyofire.com

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