FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

いま27歳だったら、どうやって1億円の資産を作るか(前編)


Burry Market Researchに「いま27歳で1億円を作るなら?」という記事が載っています。27歳に戻ってゼロから資産1億円を目指すとして、どのように目指すのか? という内容です。

 

burry.co.jp

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これに乗っかって、ぼくも「いま27歳で1億円を作るなら?」どうするかを考えてみました。

27歳は転職直後

27歳のときの九条は転職直後でした。新卒で入ったそこそこ大きめの企業から、ベンチャーに転職し、給料が激減。今も当時も「給料なんて意識しない」というつもりで働いていたのですが、さすがに少なすぎる給料に「これじゃ生活できないぞ、ここに居続けるのは無理かも」と思ったのをよく覚えています。

 

当然、貯金はゼロ。というかマイナス。賞与で補填するのが定例でした。ここから貯蓄に精を出すとともに、株式投資を始め、15年程度である程度の資産を築き、セミリタイアを実行したというのが、ざっとした経歴です。

 

ぼくの場合は、辞めようかなと思った直後に大幅な昇給があって一息付き、その後貯蓄マインドに変化したことで資産が貯まり始めました。会社員生活も順調に推移し、35歳くらいでそこそこな給与額に達しました。当時は年間300万円近く貯蓄していたのを覚えています。

 

同時にリーマンショック直前から株式を買い続け、これが資産のベースになりました。またストックオプションが実を結び、そこそこな額を受け取ったあたりから、資産面については不安を感じなくなりました。

もう一度27歳に戻ったら?

ではもしもう一度27歳に戻ったら、どうやって資産を作るでしょう。タイムリミットとしては20年を想定してみます。資産形成の公式は、

  • 入金額 × 運用

です。入金額を増やすとともに効率的に運用することが必要です。最初から種銭がたくさんある話ではないので、現実的には積立に近い形で入金し、それを運用していくことになります。

 

積立時のお金の増え方は、126の法則というのがあって、合計積立額が2倍になるための期間と利回りを乗じると126になります。つまり、5000万円を積み立てて、20年で2倍にするには6.3%の利回りがあればいいことになります。これで1億円を作る見通しが経ちました。

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必要なのは、次の3つです。

  • 5000万円を積み立てること
  • 幾何平均6.3%で運用すること
  • 合計期間は20年

20年で5000万円を積み立てる

この中で最も難しいのは5000万円の積み立てでしょう。平均6.3%の運用は株式インデックスでおそらく可能だからです。

 

5000万円を20年で割ると、1年あたり250万円になります。これはそうそう簡単ではありません。少し古い情報ですが、20代後半の年間賞与は67万円です。そうなると残り183万円を給与から積み立てなくてはなりません。これは月間で15.25万円。これは相当厳しいという人が多いのではないでしょうか。

 

しかも積み立ての仕組み上、初期の積立金額が減ると、必要なリターンが高くなります。初期の積み立てのほうが運用期間が長いからです。一方で、給与は年々次第に増加していくもので、27歳では15万円どころか5万円だって厳しい(ぼくがそうであったように)というい人も多そうです。

投資リターンアップの落とし穴

20年で5000万円を積み立てるのが難しいとなると、安易に考えがちなのがリターンのアップです。確かに126の法則に基づけば、平均12.6%の運用ができれば10年で資産は倍になります。20年では4倍になるので、必要な積立額は2500万円、年間125万円で済むのです。これなら賞与67万円を引くと4.9万円。これならなんとかできそうです!

 

……とこんなふうに考えた結果、何が起こるかというとハイリスクな投資に手を出して大きく資産を減らしたり、最悪破綻です。未だに投資に対して「資産が簡単に2倍になる!」みたいなイメージを持っている人がいますが、それはあまりにハイリスクな行為なのです。

 

株式の平均リターンが6.3%だと仮定すれば、これを12.6%にするのは手法的には簡単です。先物で2倍のレバレッジを掛ければいいのです。と、このように聞けば、12.6%のリターンを求めるのがかなりハイリスクだということが分かると思います。これは個別株だって同じで、12%のリターンを求めて個別株に投資するのは、日経平均先物に2倍レバで投資するのと同じようなリスクだとういことです。

株式のリターン10%を期待するのは欲張りか?

「いや10%以上のリターンを上げ続けてきた人はいっぱいいるじゃないか」と思うかもしれません。実際、ぼくだって2007年から2023年までの17年間の平均リターンは10.9%です。このくらいを目指したっていいんじゃないか? と思うかもしれません。

 

しかしこれは相当恵まれたタイミングだからこそなし得たリターンだということを忘れてはいけません。この期間の平均リターンは次のようになっています。

  • 米国株 9.12%(S&P500 9.31%)
  • 米国以外全世界 2.82%
  • 長期国債 3.51%

では直近10年はどうかというと、さらに絶好調が続いていたのです。

  • 米国株 10.44%(S&P500 13.5%)
  • 米国以外全世界 6.59%
  • 長期国債 7.16%

いま27歳だとして、今後10年、20年、同様に米国株の絶好調が続くかどうか。「これまで好調なんだから米国企業には本質的な強さがある。だからこれは継続する」。こういう考え方もあるでしょう。

 

一方で、100年間などの超長期で見ると、株式の平均リターンは6%くらいに収斂してきた。この傾向は変わらない。と考えるなら、どこかで米国株の暗黒期が訪れて、平均が6%に引き下がるほどの低いリターンをもたらすでしょう。

 

下記の米国株の長期リターンを見れば分かるように、平均リターンは6%であっても、毎年のリターンは−50%から+50%まで分布するのです。たかだか10年、20年のサンプルでは大きくプラスに振れたりマイナスに振れたりすることになります。

The Rewarding Distribution of US Stock Market Returns - Financial Symmetry, Inc.

 

いずれにせよ、超長期で株式の平均リターンは6%程度であり、10%を期待するには何らかのリスクを取らないといけないということです。個人的には2倍程度のレバレッジをインデックスに対して掛けるのは悪くないと思っていますが、誰にでも推奨できるものではないし、成功確率が高まるとも思えません。

 

27歳から1億円を作ろうと思ったとき、積み立て額はけっこうハード、かといって運用リターンを上げていくのはリスクが高い。ならどうするのか? そこについては後編にて。

→後編:いま27歳だったら、どうやって1億円の資産を作るか(後編)