クリスマスイブは日経ヴェリタスの個人投資家特集に掲載になりました。個人投資家2300人調査と銘打ち、2023年の投資結果がどうだったかを振り返る企画です。
意外と資産増加&円安の年
自分自身も改めて2023年は振り返るとして、ヴェリタスはバリューは成功、グロースは厳しい年だったと分析しています。そしてもう一つ、やはり年間通して進んだ円安がキーでした。
「今年の運用は厳しいと思っていたが、予想以上の円安が助けになった」。専業投資家の九条さん(ハンドルネーム)は笑う。九条さんの運用資産は昨年比で3割ほど増えた。この約半分がドル建てで持っていた米国株式や金、暗号資産(仮想通貨)の評価額が円安で膨らんだことによるものという。
という感じで、ぼくも取材を受けるとともにコメントを寄せさせていただきました。
資産増は3割
では、投資家全体ではどうだったのでしょうか。10月末時点で「増えた」のは26%。減った「4%」を上回ったものの、ほとんどの人は増減なしという結果だそうです。あれ? 爆益報告をXではよく見ますが、意外と儲けていないのでしょうか?
いやいや。下記は日経平均とS&P500(円建て)の年初来チャートです。この期間でいえば両方とも右肩上がりになっていて、日経平均は+29%、S&P500は+33%増加しています。
つまりこの市況で「増減なし」という人は、要するにインデックスに負けたわけで、下手に銘柄を選んだり、タイミングを測ったりした結果、+30%程度得られたはずの利益を逃したというわけです。
記事でもぼくは「3割ほど増えた」と答えていますが、なーんだインデックスにフルインベストしたのと同じ成績か……と思うと、いろいろ考えるのがいやになります。
為替だけでも+7.3%
ちなみに難しいことは考えず、ドルを保有しているだけでも為替によって7.3%円建て資産は増加しました。11月の急落までは+14%くらいになっていたわけです。
さらにドルMMFは4.5%くらいの利回りがあるわけですから、合わせて+18%くらい。難しい投資をしなくても、ドルに替えて持っているだけでも相当儲かった年だともいえます。
しかしヴェリタスのアンケートによると、この円安効果の恩恵を受けられたのはわずか27%。アンケートを行ったのが10月末で、為替も150円に到達していたタイミング。最高に為替利益が乗っていたはずなのに、ほとんどは儲かっていません。
おそらく、投資家のほとんどはシニア層でホームカントリーバイアスがあり、米国株への投資はほとんどできていなかったのではないか? そんなふうに想像してしまうわけです。