米国を代表する株価指数であるS&P500/NASDAQ100/ダウ工業株平均30。それぞれ異なる軸で計算される指数ですが、これらはどのくらい銘柄が重複しているのでしょうか。
S&P500/NASDAQ100/ダウ工業株平均30に分散投資?
気になったきっかけは下記です。三井住友DSが3月に運用を開始する「米国株式これ1本(S&P500・NYダウ・ナスダック100)」。S&P500とNASDAQ100とダウ工業株30のすべてに投資するファンドです。
S&P500、ダウ平均、ナスダック100に
— セミリタイア九条 🌐📈☀ (@kuzyofire) 2024年2月6日
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この3つの指数に投資をしても、ほとんど銘柄は重複していると思うのですが、実際はどうなのか。調べてみました。
84%の銘柄が重複
まず組入銘柄やウエイトについてのデータはSlickChartから持ってきています。
現在、S&P500には503銘柄が組み入れられていて、NASDAQ100には101銘柄、ダウ工業株30種平均は30銘柄で構成されています(ティッカーベース)。その上で、重複する銘柄を数えてみると、このようになります。
S&P500に採用されているのにNASDAQ100に入っていないのは17社しかありません。ダウ30は、当然すべてS&P500にも採用されていますが、ダウ30とNASDAQ100で重複している銘柄は6つしかありません。
ちなみに、NASDAQ100のみに採用されている17社というのは下記の通りです(数字はウエイト順位)。
- 37 MercadoLibre Inc MELI
- 39 PDD Holdings Inc ADR PDD
- 42 ASML Holding NV ASML
- 45 Crowdstrike Holdings Inc CRWD
- 50 Workday Inc WDAY
- 52 Marvell Technology Inc MRVL
- 71 DoorDash Inc DASH
- 72 Datadog Inc DDOG
- 75 AstraZeneca PLC ADR AZN
- 78 Zscaler Inc ZS
- 83 Atlassian Corp TEAM
- 86 Coca-Cola Europacific Partners PLC CCEP
- 87 Trade Desk Inc/The TTD
- 89 MongoDB Inc MDB
- 91 GLOBALFOUNDRIES Inc GFS
- 97 Splunk Inc SPLK
- 100 Sirius XM Holdings Inc SIRI
つまり先の「米国株式これ1本(S&P500・NYダウ・ナスダック100)」というのは、S&P500に投資するのと比較して、この17社にも追加投資できるというわけです。
ウエイトでは93.9%が重複
社数ではなく、指数に占めるウエイトで見るとNASDAQ100のうち、93.9%がS&P500と重複しています。つまり上記の17社を買うことの効果は6.1%という感じです。S&P500を買えば、NASDAQ100はほぼ網羅できるイメージです。
では、S&P500に占めるNASDAQ100やダウ30の比率はどうでしょうか。こんな図のようになります。
S&P500に占めるウエイトで見ると、S&P500とNASDAQ100は66.4%が共通です。また、S&P500とダウ30は28.5%が共通です。NASDAQ100にもダウ30にもなく、S&P500にだけ採用されている銘柄のウエイトは20.7%です。
そしてすべての指数に含まれる銘柄のウエイトは、S&P500の15.6%を占めます。それは、下記6銘柄です。ただし上記の15.6%のほとんどは、MicrosoftとAppleです。この2つでS&P500のウエイトの13.8%を占めます。
- Microsoft Corp MSFT
- Amgen Inc AMGN
- Apple Inc AAPL
- Cisco Systems Inc CSCO
- Intel Corp INTC
- Walgreens Boots Alliance Inc WBA
ダウ30は、時価総額加重平均ではないので、ウエイトがS&P500やNASDAQ100と異なります。どんな状況かをまとめたのが下記です。
Top10企業でS&P500の3割、NASDAQ100の4割を占める
最後に、S&P500のトップ10企業が、それぞれの指数のどの程度のウエイトを占めているのか見ておきます*1。
いわゆるM7がいかに大きな時価総額なのか、よく分かります。また、そこに割り込んでいるバークシャー・ハサウェイ(バフェット)とブロードコム(通信)、イーライリリー(医薬品)はさすがですね。
というわけで、S&P500、NASDAQ100、ダウ30に分散投資するというのは、ほとんどの銘柄が重複しています。この3つに投資すると、ダウ30の上位銘柄(ユナイテッド・ヘルス とか、ゴールドマン・サックスとかホームデポとかキャタピラーとか)のウエイトが少し増え、NASDAQ100にしかない17社にも投資できるようになります。
ただし実のところS&P500に投資するのとほとんど変わりはなく、その上で3つの指数すべてに含まれているAppleとMicrosoftのウエイトは増大。そして資金の3割程度をM7に投資しているのもほぼ同じだという感じです。
いやはや、重複する指数を合わせて買うと、とってもポートフォリオが複雑になりますね。何がどういいのか、把握ができませんでした。S&P500に重複する他の指数は、混ぜるな危険!という感じです。
*1:11銘柄ありますが、GOOGとGOOGLは同一企業なので10社です。