マイナンバーカードは、ICチップ内に証明書を持っていて、この証明書と暗証番号で「本人であること」を証明できます。ただマイナカードを持ち歩かないと利用できませんでした。ところが、この証明書をスマホに取り込む機能があり、そうするとスマホをマイナカードの代わりに使えるようになります。
マイナスマホでできること
スマホにマイナンバーカードを取り込む「マイナスマホ」。これによって可能になることが予定されているのは下記の4機能です。
- マイナポータル利用(確定申告は2024年度から)
- 銀行証券、携帯申込がスマホで完結(2023年5月11日から順次
- 住民票などのコンビニ交付サービス(2023年12月20日〜)
- 健康保険証としての利用(今後対応予定
これまでマイナポータルを利用しようと思ったら、スマホのマイナポータルアプリを立ち上げて、マイナカードのICチップを読み込む必要がありました。でもマイナスマホなら、指紋認証するだけでマイナポータルにログインできます。
銀行や証券、携帯電話申し込みというのは、これまでカメラで免許証やマイナカードを読み込んで本人確認(eKYC)していたものが不要になり、マイナスマホを使えば指紋認証だけで本人確認が完了するというものです。実現すれば相当便利になりそうです。
コンビニ交付サービスは年末から利用できるようになっていたのですね。わざわざカードを持ち歩かなくても、スマホだけ持ってコンビニに行けば住民票や印鑑証明を取れるわけで、これだけでも便利です。
最後の健康保険証は、病院の読み取り機に、カードではなくスマホを置けばOKというものでしょう。理屈上はいまのハードウエアでできそうですが、なにか法律面の課題があるのかもしれません。
個人的に期待なのは、運転免許証のマイナスマホ化です。運転免許証とマイナンバーカードの一本化は2024年末までに完了する予定。任意でマイナンバーカードに免許証情報を書き込んで、マイナンバーカードを免許証として使えるようになると言われています。これがマイナスマホに入れば、免許証も持ち歩く必要がなくなります。
Pixel8がやっとマイナスマホ対応
では実際に手元のPixel8にマイナンバーカードの証明書を入れて、マイナスマホにしてみましょう。この機能は昨年から提供されていたのですが、今回やっとPixel8がマイナスマホに対応したのでやってみました。
現在のところ、マイナスマホに対応しているのはAndroidだけ。しかもPixel8は発売から半年も経ってやっと対応となりました。iPhoneへの対応も進めているそうですが、Apple側の対応が必要なため、目処もたっていません。
さて手順は簡単です。まず「マイナポータル」アプリの「メニュー」から「スマホ用電子証明書を申請する」を選択します(左)。続いて、マイナンバーカードの署名用電子証明書のパスワードを入力します(中)*1。そしてマイナスマホでも署名用と利用者証明用の2つを申請します(右)。
次に進むと「旧スマホ用電子証明書失効」の通知が。これは以前Pixe7に登録していた証明書が自動失効するという案内です。機種変更の手続きをしなくても、新しい登録をすると前のものが自動失効するのはいいですね。
ではPixel8でマイナンバーカードを読み取ります(左)。続いてスマホ用の利用者証明用証明書のパスワードを設定します。正確にはマイナカードの電子証明書をスマホに移すのではなく、それを使って新たにスマホのICチップ内に電子証明書を生成するため、新たなパスワード設定が必要になります。これはマイナカードの暗証番号と同じでも問題ありません(中)。最後に申請完了。プッシュ通知がやってきます(右)。
プッシュ通知をクリックすると、マイナスマホの利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書が「申請中」になります。これはマイナカードを管理するJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)に申請中という意味です。
この申請も完了すると、登録が終わります。最後に、生体認証を登録します。といっても、スマホで使っている生体認証を利用者証明用暗証番号の代わりに使えるように設定するという意味です。これによって、スマホを出して生体認証すれば、マイナンバーカードの認証が終わるようになります。
このように、マイナスマホを使えるのはAndroidユーザーならではのメリットです。春以降、金融機関の口座開設がマイナスマホ単体でできるようになったらけっこう便利ですね。eKYCはけっこう失敗することがあって*2、承認されずに3往復した経験もあるからです。