昨今よく投資の成功者を「億り人」なんて呼びます。総資産が1億を突破した人のことですね。日本では長らく資産1億はお金持ちの仲間入り♪ みたいな雰囲気で語られることが多かったですが、ふと冷静に考えると1億円というのは微妙な金額だと思うわけです。
↓追記しました。
富裕層=資産1億円
一般にお金持ち=富裕層の定義は、確かに1億円が目安になります。資産管理会社のトップ5であるRBCウェルス・マネジメントの2015年の発表資料によると、
主たる住居、回収可能債権、消耗品、および耐久消費財を除き、100 万米ドル以上の投資資産を持つ個人と定義される。
とされており、100万米ドル=1億1000万円程度なので、目安は1億円です。よく「ミリオネア」ともいわれるように、100万ドルというのが世界的にも境目なのでしょう。
また、プライベートバンクの顧客になれるのも「1億円以上」というのが話として出回っており、ここが分水嶺なのも事実なのでしょう。
資産1億円以上は日本人の2.3%
ではどのくらいの「富裕層」が存在するのかというと、日本の世帯の2.3%にあたります。 その富裕層が、日本の富の19.4%を保有しているのが日本の現状というわけです。
100人に2人が富裕層。 いや、日本の世帯数は5300万ほどなので1億2000万人の人口がいることを考えると、ほぼ人口の1%となります。また、こちらのデータによると、45歳以下の富裕層は8%あまり。引退している66歳以上の方が47%を占めており、富裕層の多くはかなりシニアな人なのはイメージどおりです。
自由になるなら「自由億」
ところが、自由な人生を生きるなら富裕層=1億円=「億り人」では足りないというのはあまり知られていません。お金のことを考えずに生きられる人生を、「経済的独立」「Financial Independence」などと呼びますが、1億円の資産ではそれだけでは暮らしていけないのです。
1億円に対して、5%の利回りで運用したとしても年間500万円。税金を引かれて400万円です。これでは生活することはできても、「お金のことを考えずに支払う」のは難しい金額です。
経済的独立を果たすには10億あれば大丈夫という意味で、10億持っている人を「自由億」とも呼ぶようです。どうやら最初に言ったのはトレーダーの「ぱりてきさす」氏のようです。
億り人に対抗して10億を自由億とか言うの流行らせようぜ。
— ぱりてきさす (@paristexas2009) 2013年3月15日
年収と手取りの関係を見ると、年収1000万円で700〜750万円程度。年収1500万円で1000万円、年収2000万円で1400万円というのが概算の手取りです。10億円あると、堅実に運用しても3%利回りなら3000万円、税引き後で2600万円の手取りとなります。少なくとも浪費しまくらない限り、お金のことを考える必要がない金額といえるでしょう。
1億円から10億円への道
では現在1億円の資産がある人が、資産に手を付けずに運用して何年で10億円に達するのでしょうか?
実は3%運用だと78年もかかります。正直、大金持ちの子供でも死んでいます。5%運用でも48年、6%で40年、7%で35年、8%で30年です。10%で運用しても25年かかります。
よく、毎月5万円投資すれば40年で1億円に達する(年利6%想定)といいます。ところが10億円をターゲットとする場合、毎月50万円を積み立てても40年かかるのです。
1億円超の資産規模になると、よほど収入自体が大きい人以外は貯蓄の影響よりも利回りの影響のほうが大きくなってきます。ただし、年3〜6%程度ならば普通の投資でもあり得ますが、10%超を狙おうとしたらギャンブル的なリスクを取るか、事業に投資することになるでしょう。それは逆に経済的独立というより、全力で投資という仕事をするということにも思えます。
セミリタイアの魅力
本当に10億を貯めようとしたら一発当てない限り難しそうです。しかし、セミリタイアして収入を得ながら、資産からの不労所得で生活するというのなら、1億少々でも可能だと思っています。
2億の資産を5%で運用すると、年1000万円、税引き後800万円。通常収入の手取りで500万円得られれば、年収1600万円相当の支出が可能になります。当面はこのあたりがターゲットになりそうです。