FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

私有財産は資本主義の基本だけど、儚いもの

f:id:kuzyo:20190423000815j:plain

昔からある夢をよく見ます。車を駐車するのですが、どこに置いたのか思い出せず、いろいろなところを探し回るというものです。これまで何台も車を買い替えてきましたが、車種こそ変わるものの、いつも同じような夢を見るんですね。

 

これをもとに夢判断をしようとは思いません。でも思うのは、私有財産って本質的には儚いものじゃないか、ということです。

私有財産は資本主義の根幹

私有財産とは、法的には財産権といいます。所有権のほか、債権や著作権などの知財なども含みます。私有財産、所有権を「侵すことのできない神聖な権利」だとしたのは18世紀のフランス人権宣言だったそうです。

 

社会主義、例えばソビエトでは所有権は日用品などの物品や住宅などに限定されていました。中国では今も土地の所有が認められていないのは有名です。ただ、資本主義諸国では、所有権は根幹の権利です。

いざとなれば国家は所有権を侵害する

それでも、いざとなれば国家は所有権を侵害するでしょう。戦後、GHQの指揮のもと、地主が保有していた土地を政府が強制的に買い上げ、小作人に売り渡されたのはわずか70年前のことです。

 

直後、吉田内閣が公布した財産税法も、凄まじいものでした。動産不動産を対象に、10万円超の資産を持つものに税を課すものです。当時の10万円は現在の1億円程度だと言われますが、10万円超で税率25%、17万円超だと50%、300万円超で80%、1500万円超だとなんと90%の税率でした。これにより、富裕層は没落。貧富の差が補正されたといわれていますが、なんてことはない、国家による所有権の否定です。

 

2013年のキプロスの預金封鎖でも10万ユーロ(約1200万円)より多い預金が没収されました(ライキ銀行)。キプロス銀行については、10万ユーロを超える部分について、約半分をキプロス銀行株式に転換し、残りは没収です。

没収しなくても価値をほぼゼロにもできる

必ずしも没収しなくても、合法的に財産を奪うこともできます。現在ベネズエラで1000万%にも達しそうなインフレが起こっています。パーセントでいうより、通貨の価値が10万分の1になったといったほうがわかりやすいですね。

 

現金を持っている場合、国家がインフレを起こすことで、その価値を簡単に紙くずにすることができます。1億円の資産を持っていても、ベネズエラ並みのインフレが起こったらたった1000円の価値になるわけです。

 

日本はGDPの2倍を超える債務があり、これを解消する最も簡単な手段はインフレです。政府はいざとなったらハイパーインフレで借金をチャラにしてしまうという選択肢があるわけです。

www.kuzyofire.com

コンピュータのメモリに書き込まれた財産

銀行の残高はもちろん、所有している株式も、その実態はコンピュータのメモリに書き込まれたものに過ぎません。それを勝手に書き換えたら、犯罪であり信用を失うという相互信頼が、財産の存在を担保しています。

 

極端な話、自分以外の全員が口裏を合わせてメモリの内容を書き換えたら、自分にはどうすることもできません。財産というのはそれだけバーチャルなものです。自分には財産があると信じていても、ある朝起きたら、それは全部なくなっている。夢でも見てたんじゃないか? と言われる。そんな不安に駆られることはないでしょうか。

 

証券会社のBalanceをチェックしても、そこには現金の札束が感じさせるような実体感や重みはなく、単に画面に何桁もの数字が並んでいるだけです。これは本当に存在する資産なんだろうか? と思うときがあります。

人の管理よりも数学を信頼するなら仮想通貨(暗号通貨)

お金も資産も、人間の間の相互の信頼に基づいています。これが資産だとお互いに認めるから交換ができ、これがお金だと相互に信じるから支払いに使えるわけです。ただし、その管理には国家や法律の恣意性が残っていることに間違いはありません。

 

そんな中、実物として存在するゴールドや、暗号理論に基づいて所有が保証されている仮想通貨は、少しは安心していられる資産です。人々がそれに価値を認めなくなったらアウトですが、少なくとも国家の没収からは逃れられる可能性があります。

 

政府は昨今、仮想通貨という呼び方をやめ、英語の「Crypto Asset」に基づき、暗号資産という呼び方に変えています。他国が呼んでいるから、みたいな説明のようですが、こちらのほうが本質を捉えていると思います。

結局のところ資産は現在から将来への価値の移転

結局のところ、マネーもストックも暗号資産も、資産という意味では、価値を現在から未来に移転するための手段です。現在の労働の成果を、将来に受け取るためにこうした資産を使うわけです。

 

ちょっと前までは、日本ではこの役目を果たしていたのは年金でした。労働の成果の一部を年金として差し出せば、老後の暮らしがまかなえる年金がもらえる。ところが、いまや年金が満額もらえると信じている人はほとんどいません。年金で老後が過ごせるとも考えられていません。いつの間にか、老後は自助努力で資産運用してなんとかしてくださいとなっています。

www.kuzyofire.com

未来へ向けて何を信じるか

結局のところ、お金も資産も儚いところがあります。現在の価値を将来に移転するとき、何を信じるか。もしかしたら仮想通貨かもしれません。子供の教育に投資して、将来子供に面倒を見てもらうというだって一つの方法です。日本では居住権が強力なので、家を買うのもありですね。いや居住権が強いので、買わないで賃貸のほうが合理的かもしれません。

 

いずれにしても、一つのカゴにすべてをもらないことです。公的年金、iDeCoなど私的年金、株式、不動産、ゴールド、仮想通貨、海外の資産、家族、子供という人的資産、友人などのネットワーク、などなど。世界の富の総量は一定ですから、大きな目で見れば特定の資産の価値がなくなっても、その分はほかの資産の価値が増えることで相殺されると考えることもできます。

 

こんな分散を、そろそろ心がけておきたいと思います。