FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

初の消費税還付が来た その仕組みとは

先日、法人の初決算が終わりました。赤字決算だったので法人税の支払いはなく、住民税の均等割だけ納付したところです。すると、さっそく昨期の消費税還付が税務署から振り込まれていました。額は少しではありますが、うれしいことです。

f:id:kuzyo:20190606092726p:plain

消費税は売上と費用の差額を払う

さてこの消費税還付とは何なのか。改めて確認しておきたいと思います。

 

まず消費税は別名付加価値税と呼ばれます。売上高から原価を引いた残り、それが付加価値です。付加価値の8%を消費税として納めることになります。P/Lを図解すると、この付加価値は、さらに従業員の取り分である人件費と、株主の取り分である純資産増加額と、税金である法人税に分割されます。

 

f:id:kuzyo:20190606093631j:plain

単純に売上の8%を消費税として収めてしまうと、企業が企業から仕入れて販売した場合に、各企業がそれぞれ8%を納めることになり、税支払いが重複してしまいます。そのため、仕入れた分は差し引いて、「付加価値」だけに税金をかける形です。

 

消費税を入れ込んでもう少し図解するとこうなります。

f:id:kuzyo:20190606093911j:plain

売上の8%に当たる消費税が、預かったものです。このうち原価にかかる消費税は、仕入れのときに支払っています。残りの付加価値にかかる消費税を実際に納めることになります。

付加価値がマイナスだとどうなるか?

では売上よりも原価が大きく、付加価値がマイナスのときはどうなるでしょうか? 数式的にいうと、付加価値の8%を納めるのですから、納めるのは−8%、つまり8%戻ってくることになります。これが消費税還付です。

 

図解するとこうなります。

f:id:kuzyo:20190606094510j:plain

消費税還付の条件

ただし消費税還付を受けるには、条件があります。それは課税事業者でなければならないということです。

 

法人は売上高が1000万円以内の場合、免税事業者となります。これは売上についてくる預かった消費税はそのままもらい、付加価値につく消費税は収めなくていいという制度です。これによる利益を、益税ともいいます。

 

中小法人の場合、売上高が8%嵩上げされるし、書類仕事は減るし、いいのですが、収めなくていいので、戻ってくる消費税があった場合もなしになります。

 

ただし、自ら「課税事業者」を選択することもでき、すると消費税納税義務が生まれます。逆にいうと還付も受けられるということです。ただし、いったん課税事業者を選択すると3年間は免税事業者に戻ることができません。

太陽光発電事業のセオリー

さて、太陽光発電事業では、初期に発電設備の購入という大きな原価が発生します。そのため、購入年度は基本的に付加価値はマイナスです。つまり、売上との差額について消費税が還付されるということです。

 

例えば売電売上が100万円、設備購入費が1500万円だったとします。売上には8%の消費税が乗って支払われるので、100万+8万円の売上です。設備にも8%乗るので、1500万+120万円のコストです。付加価値は、▲1400万円。支払うべき消費税はその8%の▲112万円となります。支払った消費税120万円から預かった消費税8万円を引いても同じです。

 

この112万円が還付される。これは大きいですね。そのため、設備購入年度から3年間は課税事業者でいるのがセオリーです。

 

4年めからは免税事業者に戻ります。継続して設備購入をしていない限り、大きな原価はかかりません。一方で、売電売上はフルで出てきます。つまり、しっかりとプラスの付加価値がうまれる状態になり、消費税の支払い義務が生じるからです。

不動産投資では消費税還付は封じられている

さて、似たようなお金の動きをするものに不動産投資があります。物件購入時に大きな支払いが発生し、そのあと長期に渡って売上が立っていきます。以前は、不動産投資でも消費税還付をうまく行う方法が節税策として話題でした。でも、現在はほぼ封じられています。

 

それは、「消費税の還付額は売上に占める課税売上の割合に応じて決まる」からです。太陽光の場合、売上の全額が課税売上なので問題ありません。ところが、不動産の家賃収入は消費税が発生しない売上なんですね。賃貸住宅に住んでいると分かるのですが、家賃に消費税はつきません。

 

この抜け道を探そうといろいろな手段が編み出されました。例えば、不動産を購入した年度には家賃収入を発生させず、物件に自動販売機を設置してそこから課税売上を上げることで課税売上比率を100%にし、還付を受けるという手法です。また、金の売買には消費税がかかることに着目して、大量の金取引を行って課税売上比率を上げるという方法も聞いたことがあります。

 

ただし、こうした抜け穴はどんどん塞がれています。いたちごっこではありますが、不動産での消費税還付はけっこう難しい状況です。

 

ちなみに、PLにはコストとして計上されていても、その全額が消費税還付の対象になるわけではありません。会計上のコストと、税務上のコストは違うんですね。そんなわけで、うれしい消費税還付でした。