太陽光発電の箱として作った資産管理法人が、1期目の決算を終えました。6月末に設立して、事業年度は3月31日なので、約9カ月分になります。どんな決算結果だったのか、見ていきます。
P/Lは大きな赤字
P/L、損益計算書は大きな赤字で終わりました。それはそうです。まだ稼働している発電所がなく、売上がゼロだからです。一方で、いろいろとコストは掛かっています。コストの内訳は下記のようになっています。
自宅の一部をオフィスとして使っているので、法人のコストとしても地代家賃が最大シェアです。そして、地方に出向いて視察が必要な旅費交通費が2番手に付きます。ここには、出張手当も入っています。
3番めが減価償却費です。といっても、これはパソコンなどの購入で、単年度償却をしたため大きめの金額が計上されています。続いて業務委託費が入ります。
賃借料というのは、ぼくから法人に自動車を貸し付けている代金です。
会議費や接待交際費が費用計上できるのは、法人を作ることのメリットですね。これまで自腹だったセミナー後の情報交換会などのコストが計上でき、将来の税金を少し減らすことができます。
BS 資産の7割が固定化
BS(貸借対照表)は法人だとやはり面白いですね。資産の部は、現金が約3割、固定資産が5割ちょっと、繰り延べ資産が16%です。固定資産の中身は「長期前払費用」です。土地の手付金ですね。繰延資産の中身は東電に前払いした電力負担金です。
負債の部の流動負債は、ぼくから法人への貸付です。実際にはキャッシュは動いていないのですが、帳簿上はこうなるということです。赤字なので利益剰余金は大幅なマイナス。その分、株主資本が減り、純資産は総資産の41%となっています。
大きな赤字の意味
今回の決算では大きな赤字が出ましたが、それが意味することを考えてみます。
赤字はその年の税金を払う必要がないだけでなく、翌年に繰り越して、もし翌年以降に黒字があった場合は相殺することができます。このような繰り越せる赤字を繰越欠損金といいます。
繰り越しできる年数は9年だと思っていたのですが、法改正がありました。これを見ると、平成30年、つまり2018年4月以降に始まった年度の赤字は10年間繰り越せるようです。うれしい改正ですね。
※欠損金の繰越控除制度の見直しについて~平成28年度税制改正~|サービス:ビジネスタックスサービス|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
一方で、繰り越せる赤字は実は全額ではありませんでした。これを見ると、大企業の場合は50%しか繰り越せないようです。幸いなことに、中小法人は全額を繰り越せます。ほっとしました。
つまり今回出た赤字は、将来の黒字による税払いを減らせることを意味します。
一般的には法人の実効税率は約40%と言われています。つまり、この赤字の約4割は、将来の税払いが減るという意味で、戻ってくるお金になります。
ただし4割というのはちゃんと大きな売上が立っている法人の場合です。ぼくの場合、売上額は年間800万円以下になる計画なので、実行税率が変わってきます。
※3.3 法人所得課税の概要(法人税・法人住民税・事業税) | Section 3. 税制 - 日本での拠点設立方法 - 外国企業誘致 - ジェトロ
実効税率は24.9%。なので、赤字額の4分の1が戻ってくる計算です。
税理士に頼むとやっぱり楽
今回の決算書を見て、やっぱり税理士に頼むと楽だな、ということを実感しました。おそらくは各費用を会計ソフトに入れれば、PLもBSも自動で出てくるのでしょう。でも、これはこういう費目、これは費用計上だがこれは資産計上……といった知識は、税理士でないとなかなか難しいものがあります。
また、「これをコストにするのは厳しいと思いますよ」「出張1回の手当額はこのくらいが妥当です」といったアドバイスをくれるのもありがたいところです。こういうやり取りの中で、もし税務署が来ても大丈夫な決算になっていくわけですね。