週明けの3月9日は、引き続きコロナウイルスの世界的流行に加え、サウジの増産による原油安などにより、各資産が乱高下しました。状況をまとめておきます。
- 米国株式は年初から約9%下落、日本は約15%下落
- VIXは一時61ドルへ
- 18年末の下落 3ヶ月で17%下落
- リーマンショック 7ヶ月で56%下落
- ITバブル 2年6ヶ月で47%下落
- ブラックマンデー 3ヶ月で33%下落
- 世界恐慌 86%下落、回復には18年以上
- 株価が20年戻らない恐怖 しかもインフレもある
- リーマンショックから4倍になった米国株
米国株式は年初から約9%下落、日本は約15%下落
株式は引き続き下がりましたね。日経225は2万円を割りました。1日の下げ幅は5%を超えるなど、けっこうな下げです。
ちょっと数字が乱高下しすぎて、9日夕方くらいのスナップショットですが、米国債10年ものの金利は0.41%まで低下。年初来では78%も落ち込みました。また同時に原油も年初の半額となる30ドル割れ。
一方で金は年初から10%高となる1677ドルまで上昇し、一時は1700ドルを超えていました。ビットコインは今回はデジタル・ゴールドとはならず、10%の下落。7900ドル前後で推移です。
安全資産である金が買われたのと同様に、やはり今回も円が買われました。年初来で6%も円高が進み、102円台。一時101円に突入しました。
VIXは一時61ドルへ
VIXは9日の市場が開いた直後、61ドルまで上昇。直近だとリーマンショック時に迫る数字です。日を追うごとに高くなっています。
- 2008リーマンショック 89.5
- 2010欧州危機 48.2
- 2015中国危機 53.2
- 2018VIXショック 50.3
さて今回の暴落、コロナショックが過去の暴落と比べてどうなのか、チェックしてみましょう。
18年末の下落 3ヶ月で17%下落
まずは直近の18年末の下落です。S&P500のチャートは下記のようになっています。
- 天井 9月17日 2929ドル
- 底値 12月17日 2416ドル
- 下落期間 3ヶ月 17.5%
- 回復期間 2019年4月22日 4ヶ月
このときは3ヶ月で17.5%下落。4ヶ月で天井の値を回復し、その後19年の上昇相場へと続きました。
リーマンショック 7ヶ月で56%下落
もう少しさかのぼって、投資家の中でも経験した人も数多いリーマンショックです。
- 天井 2007年8月10日 1561ドル
- 底値 2009年3月2日 683ドル
- 下落期間 7ヶ月 56%
- 回復期間 2013年3月25日 4年
このときは7ヶ月かけて56%下落しました。そこからはジリジリと戻したものの、天井の値を回復するには結局4年かかっています。
ITバブル 2年6ヶ月で47%下落
では2000年のいわゆるITバブル崩壊はどうだったでしょう。
- 天井 2000年3月20日 1527ドル
- 底値 2002年9月30日 2416ドル
- 下落期間 2年6ヶ月 47%
- 回復期間 2007年5月28日 4年8ヶ月
このときは2年6ヶ月に渡って下落が続き47%の株価が失われました。そしてそれを回復するには4年8ヶ月もかかりました。
ブラックマンデー 3ヶ月で33%下落
30年以上前のブラックマンデーは、海外市場のことでもあり機関投資家以外で経験した人はほぼいないのではないでしょうか。
- 天井 1987年8月17日 335ドル
- 底値 1987年11月30日 223ドル
- 下落期間 3ヶ月33%
- 回復期間 1989年7月17日 1年8ヶ月
このときは3ヶ月で33%の下落が一気に起こりました。もっとも激しい下落だったとも言われます。1年8ヶ月で回復です。
世界恐慌 86%下落、回復には18年以上
さてこれを経験した人はさすがにいないと思いますが、1928年のウォール街大暴落です。これを知ると、「長期投資なら安心」とは言えないことが分かります。
- 天井 1929年9月2日 31.8ドル
- 底値 1932年7月5日 4.41ドル
- 下落期間 2年10ヶ月 86%
- 回復期間 1954年9月20日 18年2ヶ月
なんと2年10ヶ月かけて86%もの下落。しかもそこからの回復には18年以上かかっています。
1929年央に株を購入し持ち続けていた者は誰でも、株価が回復するまでにその成人してからの人生の大半を費やすことになった。
※Wikipedia
株価が20年戻らない恐怖 しかもインフレもある
今回のコロナショックがどれほどのものになるのかは誰にも分かりません。もし世界恐慌クラスの下落になったら、20年もの間株価が戻らないという恐怖の事態です。
しかもこの間もインフレが継続していたことは忘れてはいけません。20年たって株価が戻っても、年率5%でインフレが進んでいたら価値は半分でしかないということです。
チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」によると、1926〜2012年の米国株のリターンは年平均9.7%だということですが、シーゲル教授の「株式投資の未来」によれば、インフレを加味した1900〜2003年の米国株リターンは6〜7%となっています。配当はあるものの、インフレもあるというのが長期で見たときの株式投資です。
リーマンショックから4倍になった米国株
そうはいっても、米国株はリーマンショックの底値から約10年で4倍になりました。米国ではこの間も2%程度のインフレがありましたが、日本はデフレ状態。さらにリーマン・ショック時の為替は80円台でしたので、この時期にドル転して投資した日本人は、株価と為替のダブルで資産を増やしてきました。
ここから5割とか8割の時価総額が失われることがあるのか。それは誰にも分かりませんが、もし失われたとしても、歴史的大事件を肌身を持って実感できたと思うと、いい経験ですね。
また世界的な大不況に突入した世界恐慌時とは違い、今回はコロナウイルスという災害です。経済の根幹が損なわれたのではなく、どこまで広がるか分からない不安が連鎖して、売りトレンドを作っているように、個人的には感じています。
朝のトップニュースからコロナが消えたときが、底入れのタイミングかな、と最近思っています。