FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

連日の株価下落に思う ロスカットか買い増しか

日米ともに連日の株価下落が続いています。「1日としては過去最高の下げ」だとかニュースの見出しには出ていますが、これはどんな状況なのでしょうか。

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S&P500と日経平均の推移を見る

改めて、S&P500と日経平均の過去推移を見てみます。下記のチャートはちょうど1年分ですが、米国株は約3%の上昇、日本株も1.1%の上昇です。この1年で見ると、かなり上がったものが、戻したというのが現状だということが分かります。

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もう少し直近、4カ月のスパンで見てみましょう。この4カ月、日米ともに株価が上昇してきましたが、それがもとに戻っただけなのが分かります。暴落と騒がれますが、4カ月分の急上昇分を失っただけということです。

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今の相場は高いか安いか

こうした株価下落の際に取れる行動はいくつかあります。

  1. ロスカット(損切り)する
  2. 静観
  3. 追加で買い増し

トレーダーならロスカット

トレーダーであれば、迷わずロスカットでしょう。株価のトレードというのは、基本的に安いときに買って、高いときに売るです。株価というのは勢いがつくとその方向にしばらく続くので、トレンドが形成されたと思ったら、損切りし、反転の兆しが見えたところで「安いときに買う」ことになります。

 

ぼくもVIXのトレードなどでは、必ずロスカット注文を入れます。値幅を取るようなトレードの場合、思惑通りに動かなかった場合、ポジションを閉じることが重要です。

 

ただしロスカットには注意点が2つあります。1つは、長期投資のつもりで買っていたものを、怖くなってロスカットしてしまうことです。投資手法をそのときの感情に任せて変更すると、結局のところ、高いところで買って安いところで売り、長期保有による恩恵も受けることができなくなります。多くの投資家が長期投資に失敗するのは、これが理由です。

 

2つ目は、安く買って高く売るといっても、その判断はとんでもなく難しいということです。ロスカットするという行動の背景には、トレンドが形成されているという認識があります。必ずしも、適正価格(フェアバリュー)に基づいて売り買いを判断するのではなく、下げトレンドだから傷口が開かないうちに売るという考え方ですね。

 

こうしたトレンドは、企業業績などのファンダメンタルズに基づくというより、投資家の感情に依存します。下げてるから売り、売るからさらに下がる。こういう循環があるわけです。なので、どこまで下がるのか計算ができるようなものではありません。

 

とりわけ今回はコロナウイルスという災害です。感染規模がどのくらいになるか、誰も想定できません。もしかしたらとんでもないことになるのではないか? そうした恐怖心が売りにつながっているのではないかと思います。つまり、パニック売的なところがあり、どこまで下がるか分かりません。逆にいうと、往々にしてこういうときは下げすぎるものです。

長期投資家なら静観

長期投資というのは、株価の上下に一喜一憂しないものです。利益の源泉は「安く買って高く売る」ではなく、長期的に経済は成長し、企業の利益は全体として増大するというところにあるからです。

 

自分がオーナーの企業の株価が下落したからといって、売ったりしませんよね? こんなつもりで、株を長期保有するというのは自分がその企業のオーナーになるという気持ちをもって投資するということです。

 

特に、日本にはNISAという仕組みがあります。これは株式売却益にかかる税金をゼロにしてくれる制度ですが、年間上限投資額と最大保有期間の縛りがあります。つまり、途中で売ってしまうとせっかくの恩恵を受けられないです。NISAで保有しているなら、ひたすら静観、が重要なのです。怖くなってNISA口座の株式を売るのは、最も避けるべきことでしょう。

 

しょせん下がったといっても数パーセントの話です。50%下落しても持ち続ける。これが長期投資の鉄則です。

バリュー投資家なら買い増しだが

最後の買い増し派は、どうでしょうか。長期投資家が定期的な買付の一貫として買うのは順当です。普段よりも安く買えてラッキーという感じですね。

 

もう一つ、企業実態を下回る価格まで売り込まれているから、将来の反発を見越して買う、これはバリュー投資家のスタンスです。ぼくは、この両者の中間くらいに立っていると思っていますが、この評価が難しい。

 

1つの指標は、PERになります。PERとは、1株あたり利益(EPS)の何倍の株価になっているかを示します。PER20倍なら、20年分の利益で取引されているということです。本質的には、株価はEPSで決まり、その何倍で売買されるかは、成長率や金利に左右されますが、最も大きいのは市場のムードだったりします。

 

下記は、S&P500のPER(PE Ratio)です。2010年に60倍くらいまで急上昇しましたが、現在は22.4倍。平均は15.78倍なので少々お高めといったところでしょうか。

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ただこのPERを時系列で見る場合にはいろいろな批判もあります。そこで、単純なEPSではなく、インフレ調整後の1株あたり利益を使い、さらに季節変動やイベントによる変動を薄めるため10年移動平均の値を使ってPERを算出したのが、シラーPER、通称CAPEレシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio)です。

 

こちらを見ると、現在28.31倍となっており、歴史的な平均である16.7倍に比べてもけっこうお高めなのが分かります。これをどう評価するかは難しいところです。ただし、リーマンショックの際に15倍まで落ちていることを見ると、CAPEの上昇が企業業績の実態以上に株価を押し上げてきたというのも分かります。

 

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今買うべきか否か

さてそれでは、今どうするべきでしょうか。短期売買は別として、ぼくの投資スタンスは長期なので、ロスカットの選択はありません。そして、楽天の積み立て投資や401K、iDeCoなどでは、継続して買い続けています。入金力としては多くはありませんが、年間生活費の1〜2割といったところです。これはこれで十分です。

 

問題は買い増しをするかどうか。多少下がって安くなったといっても、4カ月前の水準に戻っただけですね。相場観としては、米国市場の好調にもそろそろ陰りが出ると見ており、リセッション入りが確認できて、復調の兆しが見えてきてからでも買うのは遅くないとも思っています。

 

現金を寝かせておくのはもったいないという見方もありますが、幸いなことに最近は現金をうまく活用して、年間2%程度で運用できる方法も会得しつつあります。

 

ただし、1月末時点で現金比率が3割を超えてきているので、今回の株価下落でさらに現金比率が上昇しているはずです。この上昇分については、リバランスということで、何かを買い付ける予定です。

 

約30%の現金自体は、近い将来やってくる真の暴落に備えて確保というのが現時点の方針になります。

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