FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

コジキ君と聖者氏の会話

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鳥貴族とGo To Eatを組み合わせた錬金術、「トリキ乞食」が話題です。政府も禁止に動いたようですが、どうして制度設計時にこれを想定しなかったのでしょう。それはともあれ、こうした抜け道を使った裏技をどう考えたらいいのでしょうか?

 抜け道の利用は是か非か

聖者氏: Go To Eatキャンペーンを活用して、数百円の注文をして1000円分のポイントを獲得する方法が流行っているらしい。こうした抜け道を悪用するようなことはケシカラン。

 

コジキ君: そうはいうけどさ、何も法律を破っているわけじゃないよ? 決められたルールの中で、最もお得になるように行動することがいけないの? 法治国家では、法の枠内で自由に行動する権利が認められていると思うんだけど。

 

聖者氏: 法やルールには、それを作ったときの理念があって、もし抜け道があったとしても、それを悪用するのはいけないことじゃ。例えば、システムの脆弱性をついて不正にログインすることは、不正アクセス禁止法で認めていない。ルールに何も書いていないなら、何をやってもいいというのは違う。

 

コジキ君: 不正アクセスはたしかに抜け穴だけど、それを使うことは必ずしも違法じゃなかった。だから、きちんと禁止するために法律を作ったわけだよね。つまり、ルールの穴をかいくぐること自体はNGじゃなくて、かいくぐることを禁止するルール=法律をさらに作って、初めてイケナイコトになったわけじゃない。Go To Eatだって、「200円で1000ポイントもらうのはいけません」と最初から書いておけばよかったんじゃない?

 

聖者氏: 書かなくても、みんな良識に従って使ってくれると信じていたのじゃ。我が国の優秀な官僚が、制度を作るときにこんな錬金術ができてしまうことに気づかないはずがない。そんなことを書かなくても、意図を理解して飲食店や食材生産地の支援のために利用するのが、立派な国民というものだよ。

ふるさと納税 

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コジキ君: じゃあ、豪華な返戻品で寄付を集めるふるさと納税も、良識的にいけないことなの?

 

聖者氏: もちろんじゃ。あの制度の趣旨は、自分の生まれ育った故郷に恩返しをするとか、地域の理念に共感して、本来は現在住んでいるところに払うべき住民税を、別の市区町村に払うというもの。返礼品の良し悪しで寄付する先を選ぶなんて、自治体側もそれに釣られてふるさと納税するほうも、本末転倒じゃろう。

 

コジキ君: 一理あるのは分かるけどね。でも、自分がそう思うなら、自分はしなければいいんじゃない? 人が「お得な返戻品だから」と寄付するのを非難するいわれはないよ。ほかの人の行動を変えさせようと思うなら、法律でちゃんと「ダメ」ってすればいいんじゃない? それをしないから、例えば返礼品をうまく活用した泉佐野市は、意地悪された総務省を訴えて、勝訴したよね。

 

聖者氏: 法律に書いてなければ何をしてもいいなんて思う人が増えると、世の中はきっともっと住みにくくなるぞ。わざわざ書かなくても、人として守るべきことは守る。それを、「ルールがないから」「法律がないから」という理由で破る人がいるから、細かなことまで全部立法したり条例を作ったりしなければいけなくなる。そんな法律だらけの社会なんて、窮屈じゃろ?

 

コジキ君: 法律やルールだらけなのは厄介だけど、法もないのに、官僚の裁量や、声の大きな人の後出しジャンケンで、ダメと言われるほうが、嫌な社会じゃないかな。法律に書いてないのに、その時時の裁量で、良しとかダメとかされると、官僚の顔色ばかりを伺うようになっちゃうよ。自由な国とはいえないんじゃない? 決められたルールの枠内で、最良の結果を求めることで、行為が洗練されていくんじゃないかな。つまり、歪みがあるならそこから利益を得ることで、結果的に歪みが解消されていく。取引所間の価格差を使って、利ざやを稼ぐアービトラージとか。

 

聖者氏: 確かに、裁定取引業者がいることで、各所の価格差がなくなり、流動性が増し、売り買いのスプレッドも狭くなるのは確かじゃ。ただHFT業者のように、やりすぎると顧客の注文情報を先回りするフロントランニングに近いことをやりだすところも出てくる。程度はあると思うぞ。それに優待クロスのような取り組みは、歪みの解消でさえないぞ。

優待クロス 

コジキ君: いや、そもそも株式数に比例せず、1名義ごとに品物を送るという優待の仕組み自体が歪みなんじゃないかな。株主の公平原則に反してる。誰が株主なのかを随時把握できない仕組みも歪みを起こしてる。優待を長期保有者に限定する取り組みをしている企業も増えているけど、これも歪みの解消だよね。まぁ歪みがあるかどうかはともかく、優待は三方良しじゃないかな? 企業は株主数を増やしたいし、優待は配当よりも節税になるし。株主側は税引き前の利益から品物を受け取れるし。そして証券会社は貴重な信用取引の金利手数料を受け取れる。損をするのは国と、相対的にもらえる優待品が少ない大株主だよね。

 

聖者氏: そもそも優待クロスだと、株主といっても権利をもらえるときだけの一瞬の株主ではないか。しかも株主が背負うべき値動きリスクも、信用売りによってヘッジされているので負っていない。そんな瞬間の株主が、真の株主といえるのか?

 

コジキ君: 一瞬の株主とはいっても、その株は「手放したい」と考えた株主から買ったものだよ。それに信用売の株だって、空売りに使われることを知っていながら貸し出したものだよ。貸し出す側は金利をもらっているし、借りるほうも金利を払っている。双方合意の取引なんだから、外野がああだこうだいうことじゃないんじゃないかな?

 節税の是非

聖者氏: 抜け道の活用といえば、税金もそうじゃ。例えばソフトバンクGはあれだけ荒稼ぎしながら、税法の抜け穴を活用しまくって、全然納税しておらん。日本の制度やインフラにタダ乗りしている寄生虫のようなものじゃ。しっかり税金という形で、事業を育んでくれた国や社会に返さなければいけない。

 

コジキ君: ソフトバンクGに限らず、AppleだってGoogleだって、グローバルな大企業はみんなさまざまな仕組みを駆使して、税金を減らすようにしているよ。そもそもダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチなんて、Appleが開発した手法だって言われているよね。グローバルに活動している企業は、どこか一つの国に所属しているわけじゃないから、世界中の最も税率が低い国に納税するのは当たり前じゃない? こういう取り組みをしっかりしないと、経営陣は逆に株主から批判されるよ。

 

聖者氏: 企業というものは、株主のためだけではなく、社会を構成する一員として、地域や消費者といったステークホルダーにも配慮しなくてはいけないのじゃ。そういう視点も企業の経営者は持たなくてはダメ。単に金儲けがうまいだけでは失格なのじゃ。

 

コジキ君: 地域のリソースを使って存在しているのが企業なんだから、利益があるかどうかに関わらず税金を払えっていう外形標準課税があるよね。これ、大企業と中小企業では課税額が変わるので、わざわざ減資して中小企業扱いになるスタートアップ企業とかけっこうあるよ。これは先の論法だと、経営者としていけない行為なの?

 

聖者氏: 実態を見ることが大事じゃ。法律上、大企業に分類される資本金があっても、昨今の金余りでたくさんの資金調達をしただけで、中身を見れば中小企業というスタートアップ企業もたくさんある。そうしたところに、本来の大企業と同じような税負担を求めるのは酷じゃろう。逆に、本当に大企業なのにテクニックとして減資して中小企業になるようなのはダメじゃな。シャープとかがそういうことをしとったの

ゲームとしての抜け道

コジキ君: 人というのは、うまい抜け道を見つけることに楽しみや喜びを見つける生き物なんだよ。もしかして、あれをこうして、これをこうすればお得なんじゃないか? こう考えて、実行することが、世の中にイノベーションを生み出してきた。YouTubeなんて、最初は違法動画のアップロードが多くて、それで爆発的ヒットしたよね。法律の抜け穴を突いたやり方だけど、もしこのとき「違法動画は倫理的にいかん」とか考えたら、このイノベーションは起きなかったよ。

 

聖者氏: ルールでダメということ以外はやっていいという考え方を良しとするか、ルールで良いと書いてあることしかやってはいけないかと考えるか、その違いじゃな。もしルールでダメと書いてなくても、一般常識に照らして公正でなければ、ダメだと考えるべきじゃろう。

 

コジキ君: いや、一般常識という考え方自体がおかしいでしょう。アインシュタインは「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」と言っているよ。常識に囚われない考え方から、真のイノベーションは生まれるんじゃないかい?

 

聖者氏: 常識とか倫理観は、地域や時代によって違うところがあっても、基本的な部分は共通のものじゃぞ。文章化しなくても、誰もが同じように考える善悪の基準があるはずじゃ。

 

コジキ君:果たしてそうかな?……

 

二人の会話はどこまでも続くようです。

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