NTTがドコモにTOBを行います。こちら行使価格は3900円なのですが、現在の株価は3876円前後で推移しており、その差が24円もあります。現在ドコモ株を買って、TOBに応募すれば、低いリスクで1株あたり24円の利益が生まれます。
100万円突っ込めば、11月末に5900円、500万円なら3万936円、1000万なら6万1896円の利益です。悪くないですね。
利回りにすると、約0.6%。年利換算すると4.7%にも達します。10月、11月はめぼしい優待もないため、資金の使いみちもありません。いわば、低リスク高金利の定期預金のようなものです。実施法と注意点をまとめてみました。
TOB応募までの流れ
TOB応募までの流れは次のようになります。
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券に口座開設
- ドコモ株をモルスタに移管
- TOBに応募 11月16日締め切り
- 代金の振り込み 11月24日予定
三菱UFJモルスタに口座を持っている場合は(1)は不要です。持っていない場合、モルスタの通常の証券口座を開設するか、電話でTOB専用口座の開設を依頼します。ぼくは今回専用口座開設を依頼しました。
TOB専用口座はドコモTOB専用で、この口座での売買はできず、ドコモTOBの処理が終わったら自動的に閉鎖となるそうです。
それでは流れと注意点を見ていきましょう。
三菱UFJモルスタに口座開設
TOB専用口座の開設は電話で行います。下記のサイトにフリーダイヤルの番号がありますので、電話をすれば開設できます。
名前、生年月日、住所、電話番号を伝えると、書類を送ると言われました。書類は、「公開買付応募申し込み書兼専用口座開設申し込み書」です。10月6日に電話して、書類の発送は10月12日になると言われたので、中3営業日ほどかかるようです。
書類が届いたら、身分証明書やマイナンバーカードコピーなどを添えて返送すると、返送翌営業日に開設となるそうです。開設後、口座番号などが記載された書類が送られてきます。タイムラグなく郵便がやり取りできて、最短で10月16日開設ですね。当然ですが、ここまで手数料はかかりません。
ちなみに、口座開設とTOB申し込みはセットになっていて、この時点でTOBに申し込む株数を記載する必要があるということです。この点は後述します。
ドコモ株を買う(買っておく)
口座を開くのと並行して、ドコモ株を購入します。今回の利ざやは1株あたり24円、100株で2400円しかありません。できるだけ手数料無料の証券会社で買い付けます。
- 100万円以内無料のSBIで200株ずつ買い付ける
- 50万円以内無料の楽天や松井で、100株ずつ買い付ける
- 楽天でいちにち信用を使って100万円以上買い付けて現引きする*1
のがよいかと思います。ちなみに信用取引手数料無料の証券会社はいくつかありますが、楽天のいちにち信用は100万円以上で信用金利も無料になるのが特徴です。
TOB発表後、3890円近くまで上昇したドコモですが、なぜかその後、ジリジリと下落が続いています。10月に入って3879円、5日以降は3876円の上下1円で推移しています。
できれば3875円で買いたいところですが、どうでしょう。100株ならいけるのかもしれませんが、注文の板が厚くて、3875円に一瞬達しても、自分の注文の約定まで順番が回ってきません。先に注文があったものから順番に約定するからだと思います。
※なおドコモには信用取引のさまざまな規制が入っています。楽天証券のいちにち信用では現引不能ではないか?というコメントをいただいたので、楽天証券に確認してみましたが、現状は公的規制だけで社内規制は入っておらず、現引可能だという返事でした。まだ現引に至っていないので、自分でも実際に試してみます。
※試したところ、いちにち信用からの現引き、無事に行えました。
ドコモ株を移管する
続いて、ドコモ株の移管です。モルスタ証券に口座が開かれると送られてくる口座番号に移管します。楽天証券の場合、Web上で移管手続きができて手数料も無料なので、ベストプラクティスでしょう。
楽天証券では移管受付停止期間があることには注意が必要です。遅くとも11月5日には移管設定を行わないと間に合わない感じです。また、三菱UFJモルスタによると、「どんなに遅くても11月2日には「公開買付応募申し込み書兼専用口座開設申し込み書」が届いていないと間に合わない、ということだったので、10月中のもろもろが大事です。
また移管は約定しただけではダメで、2営業日後の受渡しが終わって初めて手続きできることも、忘れるとイタイポイントです。注意点としては、特定口座の場合、一部移管はできず、移管するなら全部ということになることです。今回の場合、当然全部なのでいいと思いますが、一部を市場で売りたいと思っているときは注意ですね。
11月16日のTOB応募締め切り
「公開買付応募申し込み書兼専用口座開設申し込み書」を書いて専用口座を作成した場合、入庫したドコモ株は自動的にTOBに応募されます。一応、応募の締め切りは11月16日の16時となっています。
口座開設時に申し込み株数を書くのですが、今回はそのあとにドコモ株を買い付けます。予定していた株数を購入できなかった(しなかった)場合はどうすればいいのでしょうか。こちらは、先のTOB専用番号に電話すれば、応募株数を修正可能だそうです。当初想定した株数で書類を書いておき、最終的に応募する株数が違った場合は修正できるということですね。
翌日、11月17日にTOB結果が発表されます。今回はまず間違いなく成立するかと思いますが、成立しなかった場合、移管元の証券会社に株式は自動的に戻されるということでした。
成立した場合、決済日は一週間後の11月24日になります。応募申込書には、振込先銀行を記載する欄があり、その口座に振り込まれます。24日中の振り込み予定だが、場合によっては25日になるということでした。
税金と手数料
今回のTOB応募全体で、手数料がかかるのはドコモ株購入手数料と、出庫の際にかかる手数料だけです。株式購入は無料で行う方法がさまざまありますので、それを使います。出庫の手数料は楽天証券の場合、無料です。そのほかの手数料は、基本的に三菱UFJモルスタ証券側の負担のようです。
税金はどうなるのでしょうか。特定口座でドコモ株を買って、モルスタ証券の専用口座も特定口座として開けた場合、モルスタ側で自動的に税金が計算され、20.315%の源泉徴収がなされるということです。損益通算をしない限り、確定申告も不要ですね。
TOBのリスク
最後に、1カ月程度で0.6%を得られるこの案件にはどんなリスクがあるでしょうか。最大のリスクはTOB不成立です。その場合、株式は保有のままになりますが、株価はTOB発表前の2400円程度まで下落することが想定されます。もしもこうなると大損害です。
ただし、40%のプレミアムを乗せて国策に近いかたちで行う以上、不成立ということは万が一にもないと考えています。もしそうなった場合、17日のTOB結果発表を受けて、即座に空売りしてヘッジするしかありませんね。 それでもおそらくストップ安でヘッジはできないと思われます。
TOB応募しないで持ち続けると?
三菱UFJモルスタ証券に口座を開いてドコモ株を移管するのは手間といえば手間です。TOBに応募せずに持ち続けても、今回は買取請求によって全株を取得する意向なので、いずれにしてもTOB価格で買い取ってもらえることになります。
ただし、この買取請求を選択した場合、入金が遅れることが想定されます。最悪、数ヶ月かかるかもしれません。その間資金がロックされるのは防ぎたいですし、12月の優待クロスシーズンを逃してしまうのも大きな問題です。というわけで、電話一本、書類一通、Webでの手続き1つでTOB応募は可能なので、それを選択するのがよいかと思います。
TOB応募せずに放っておこうという人が多すぎると、万が一にもTOB不成立になるリスクもあります。素直に応募がいいでしょう。
*1:初出で「大口優遇なら」と書きましたが、いちにち信用は大口でなくても手数料無料でした。コメントありがとうございました