FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIerを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

総合課税と申告分離のどちらが有利か 配当の確定申告で悩む

今年は自分だけでなく家族の確定申告もあって、けっこう悩んでいます。ポイントは、配当に関して総合課税でいくか、申告分離でいくか。それぞれメリット、デメリットがあります。

確定申告をするべき理由

今回やっている確定申告の対象となる口座は、いずれも特定口座(源泉徴収あり)。なので、実は確定申告は必須ではありません。それでもわざわざ確定申告をするのは、次の理由があるからです。

  • 楽天証券で譲渡損失発生。配当額を超えている
  • 日興証券で譲渡損失発生。配当額のほうが多い

このまま確定申告をせずに終わらせると、

  • 楽天証券では合計損失が多いので、配当の税金の全額が還付される
  • 日興証券では合計で利益なので、配当の税金の一部が還付される

ことになります。

 

ところが確定申告を行うと、いくつかメリットがあります。

  • 分離課税を選択すると、合計譲渡損失>合計配当額 なので、配当の源泉税のすべてが還付。さらに残りの譲渡損失を翌年に繰り越せる
  • 総合課税を選択すると、配当については配当控除が受けられ、譲渡損失の全てを翌年に繰り越せる

そのほかにもメリットがいろいろとあるのですが、詳細はこちらにまとめました。

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配当周りで確定申告する3つのメリット

問題は分離課税か総合課税か? です。こと配当関係について確定申告のメリットをまとめると、次のようになります。

  • 配当控除が受けられる(総合課税)
  • 損益通算が受けられる(分離課税)
  • 損失繰越ができる(総合課税、分離課税とも)

配当控除は、20.315%の課税の代わりに、給与に配当額を合算して、累進課税で税金を支払います。そのとき、配当に関する課税率が下がります(これが配当控除)。給与額が高くなければ、この税率は20.315%より小さくなります。

 

一般に給与の課税所得が900万円以下なら、総合課税を選んで配当控除を使ったほうがお得になります。課税所得が900万円を超えるのは、給与だけなら1300万円以上くらいなので、多くの場合は総合課税が有利です。

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ところが総合課税には大きな問題があって、譲渡損失と配当の損益通算ができないのです。例えば、譲渡損失が10万円あって、配当を10万円もらったとします。分離課税であれば、これを損益通算できるので、差し引きゼロ。配当から源泉徴収されていた約2万円が還付されます。

 

ところが、この例で総合課税を選ぶと、配当に掛かっていた約2万円の税金は、税率が下がることで少なくなり、少し還付されますが、税金自体は払うことに。譲渡損失との合算はできないのです。ではこの譲渡損失は無駄になってしまうのかというと、そうでもなくて、確定申告をすることで翌年に損失繰越が行えます。

 実際に試算してみた

もうこれはケースバイケース。譲渡益が出ていれば、迷うことなく総合課税でいいのですが、譲渡損失がある場合は悩みます。配当額との差にもよるし、給与の課税額にもよりますね。

 

悩んだときは試算です。国税庁が用意している確定申告コーナーは、年間取引報告書を入力していけば、申告書が作成されるとともに還付/納付額が表示されるスグレモノです。こちらで、総合課税と分離課税の両方ためしてみて、どうなるかチェックです。下記のように、配当所得の入力のときには総合課税か申告分離課税を選んで入力していくからです。

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実際にやってみた結果がこちらです。総合課税を選ぶと、4万8600円の納税が必要になります。一方で、230万円あまりを翌年に損失として繰り越せます。一方、申告分離課税は、1万5000円あまりの還付を受けられます。しかし翌年に繰り越せる損失額は99万円に下がってしまいました。

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翌年に繰り越せる損失というのは、要はその分だけ翌年の課税利益を消し込めます。税率20.315%をかけたのが、表の「翌年の税控除」欄です。納付額と翌年の税控除を合算したのが単純合計欄です。

 

なるほど、総合課税だと4万8000円追加で払わなければいけませんが、翌年の税金を46万円も節約できます。一方の申告分離だと、1万5000円の還付を受けられますが、翌年の税金は20万円しか減らせません。

 

ちなみに、この配当控除の入力方法については、下記の記事で動画で紹介しました。

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これで、両方の有利不利は分かりました。あとは好みでどちらを選ぶかですね。なお翌年への損失繰越は、翌年それだけの利益を出さなければ意味がありません。次は分離課税を選んで、譲渡益と配当利益にこの損失をぶつけて全部取り戻すという感じになると思います。

 

ちなみに、この金額以外に総合課税を選ぶことの影響として、扶養控除、会社員じゃない場合の社会保険料、住宅ローン減税制約などが出てきますので、それはこちらの記事にまとめてあります

配当額と損失額がやけに多くないかい?

さて余談です。この実例を見て、家族の口座だというのに、配当額が130万円とか譲渡損(売買損)が230万とか、やけに額が大きくないかい? と思った人もいると思います。しかし、こうなるのにはからくりがあります。

 

優待クロスを行うと、権利日をまたぐので配当を受け取ることになるのですが、配当の扱いは次のようになります。

  • 現物 配当を受け取る (配当額に加算)
  • 信用売り 配当相当額を支払う (譲渡損に加算)

つまり、優待クロスをバンバン行うと、配当額はどんどん大きくなり、逆に同額の譲渡損が膨らんでいくことになります。確定申告をしないのであれば、両者はバランスするので、配当から源泉徴収された税金は特定口座内で自動的に還付されて終わりです。ところが、確定申告をしようとすると、このようにいろいろと面倒なことになります。

 

今回、コロナ禍で下がった含み損銘柄を処分して、別の銘柄に乗り換えた影響で、そこそこの追加損失が発生したために、このような事態になったのでした。

 

ちなみに、確定申告をするときに、特定口座のすべてを申告する必要はなく、任意に選んで申告が必要です。ただし銘柄ごとに選んで……というのはダメで、証券会社単位になります。今回なら、楽天証券は申告して、日興証券は申告しないという選択肢もありだということです。