FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

価格コムの時代も終わる 移り変わる最安店

今年の冬の乾燥をなんとかしようと思い、加湿器を探していました。で、比較ブログなどを参考に機種を選定。次に行うのは、どこで買うのが一番安いかのチェックです。しかし、最安値を付ける店舗は本当に入れ替わりが激しいようで、意外(?)なことに、それは楽天でした。

家電量販店の発展

ぼくは田舎の出身なので、家電といえば街の電気屋さんから買うのが当たり前の時代をしばらく過ごしました。馴染みの電気屋さんってやつですね。ところが、1970年代に生まれた家電量販店は、瞬く間に勢力を拡大します。

 

定価販売が基本の電気屋さんに対して、値引きを行う家電量販店は当時は不思議な存在でした。まぁ高額な買い物とはいえ、店頭で値引き交渉が普通にできるのです。さらに「ゴールドポイントカード」(ヨドバシカメラ)のように、10%をポイント還元するという仕組みも、斬新でした。

 

90年代には、家電を買うのは量販店というのが普通になっていたように思います。ケータイやPCを買うのも、周辺機器を買うのも、量販店が当たり前。郊外店舗だけでなく、都心でも店舗の大型化が進み、新宿西口のヨドバシカメラ街、池袋のビックカメラという構図に、ヤマダ電機が大攻勢をかけてきます。そしてヤマダ電機は2002年には業界トップとなるのでした。

ECの台頭

そんな中、当時ブームになりつつあったインターネット上での通販、いわゆるECも急速な伸びを見せます。一等地に店舗を持たないで済むことから、地方のバッタ屋的なところも参入し、価格の安さでは知る人ぞ知る状況になっていました。

 

これらを束ねて一大勢力になっていったのが価格コムです。97年に個人サイトとして創業した価格コムは、2000年に現在の「価格コム」に名称変更。2001年には穐田誉輝氏を社長に迎え、2003年のマザーズ上場へと、どんどん規模を拡大します。

 

この頃、鼻の利く人なら「一番安く買うなら、価格コムで値段を調べる」のが当たり前になっていました。初期は家電量販店や大手ECサイトなどはリストに載っていませんでしたが、それでも圧倒的な安さ。量販店で、価格コムの画面を店員に見せて、「ここまで安くなりませんか?」と価格交渉すると、嫌な顔をされたものです。

大手ECサイトの逆襲

というわけで、2021年末の今も、普段の習性から「とりあえず価格コム見るか」と見に行ったのですが、うーん。なんか高い。普通に比較して、Amazonのほうが安い。というか、価格コムには以前はAmazonの価格も表示されていたように思うのですが、いつの間にか撤退していたのですね。

 

そして、価格コムの最安とAmazon、そして楽天を比較すると、意外なことに楽天出品が一番安い。さらに、楽天ならSPUとかで相当なポイント還元もあるわけで、もはや価格コムをみても仕方ない……という印象となりました。

価格コム凋落の2つの要因

なぜ価格コムはこんなに凋落してしまったのか。そこには2つの要因があるんじゃないかと思っています。

 

1つはキャッシュレス化の遅れです。2020年はキャッシュレス元年であり、決済各社は大型のキャンペーンを行い、ポイント還元合戦に入りました。ところが、価格コムに載っている店舗の半分くらいは、地方の中小規模店舗で、少しでも売価を下げるためにクレカ対応していないお店がまだまだあります。銀行振り込み対応ってやつです。

 

以前なら、3%相当ともいわれるクレカ決済手数料分、やすくして提供してくれるなら銀行振り込みで全然OKでした。ところが、いまや値引き幅を還元額のほうが上回る状況です。手間や保障の面を考えても、銀行振り込みを選択するメリットが薄くなりました。

 

2つ目はポイント経済圏の躍進です。以前から量販店は10%ポイント還元を行っていましたが、これは売価に10%上乗せしているのが見え見えの設定でした。ところが、最近の総合ネットサービスは違います。複数の自社サービスを利用してもらうことを前提に、けっこうなポイント還元を行っています。まぁ楽天のことですけど。

 

楽天で売っている店舗は、ポイント還元の分、価格を上乗せしているのではないか? と思った時期もあったのですが、最近はそうでもない。例えば、よくある公式通販サイトを楽天にも出店しているところだと、価格はどこでも同じです。となれば、ポイント還元率が最も高い楽天で買うのが一番いいとなります。

あんまり楽天は好きではなかったが、取り込まれる

実は、ぼくはあまり楽天は好きではありませんでした。スーパーのチラシのようなサイトデザインもそうだし、店舗ごとに送料が異なるなど複雑な仕組みも嫌い。なんで「EC使うなら楽天」と言っている人がいるのか、不思議に思っていたくらいです。

 

ただ、今の楽天は楽天ポイントを軸にした経済圏が絶好調。売り上げは確かに増えるものの、これだけ還元して本当に利益は出ているの? という疑問もわきますが、決算上はまぁ成功しているようです*1

 

楽天エコシステムの歴史を簡単に遡るとこんな感じです。

  • 2002年 楽天ポイント開始
  • 2006年 楽天エコシステム構想発表(この時点ではポイントは入っていなかった)
  • 2008年 楽天カードのポイントが好調
  • 2013年 楽天経済圏に「楽天スーパーポイント」の名称が登場

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  • 2016年 SPU開始

ある意味、コングロマリットならではのポイント活用法を発見した……という感じでしょうか。ユーザーからすると、複雑なポイントシステムに困惑しながらも、ゲーム感覚で楽しみつつ、まぁ他所で買うのと価格は同じくらいなのに、毎回10%以上も還元してくれるなら、そりゃここで買うよね、と感じる次第です。

 

本日は、ちょうど「超ポイントバック祭」を実施していたので、Max+6%還元となるよう7万円以上の買い物をしてみました。もちろんふるさと納税の駆け込みを兼ねてになります。

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www.kuzyofire.com

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*1:楽天はIFRSを採用しており、そこでポイント発行は引き当てによる負債ではなく、売り上げから除外されます