最近、全世界株式インデックスが人気です。「Fund of the Year 2021」でも、トップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」でした。その一方で気になるのは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う株価下落です。オルカンにはロシア株はどれくらい含まれているのでしょうか。
オルカンがベンチマークとするMSCI ACWI
まずeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)が、どのインデックスをベンチマークしているのかの確認です。これはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス、略してACWIで、日本語では「アクイ」と呼びます。
全世界株式インデックスには、ACWIのほかにもFTSE Global All Cap Indexがあって、FTSEは小型株を含んでいるという違いがあります。日本で買える全世界株式インデックスはACWIをベンチマークとするものが多いのですが、バンガードのVTはFTSEベースであり、VTに間接的に投資する投信もFTSEがベンチマークになります。
ACWIに含まれるのは48カ国
さて、「全世界株式」というからには全ての国の株式に投資しているイメージを持ちますが、ACWIがカバーする株式は、国の数にして48カ国です。
MSCI ACWIインデックスは、MSCIの旗艦グローバル株式インデックスであり、先進国23カ国と新興国25カ国における大型株と中型株の全業績機会を表すように設計されています。2021年6月現在、11セクターで2,900以上の構成銘柄をカバーし、各市場の浮動株調整済み時価総額の約85%を占めています。このインデックスは、MSCIのグローバル投資可能市場インデックス(GIMI)の手法を用いて構築されており、地域、時価総額、セクター、スタイルセグメント、組み合わせによる状況を反映した変動を考慮するよう設計されています。
先進国のほとんどはカバーされていますが、新興国は25カ国しか含まれません。具体的な国は下記になります。
なぜ「全世界」と言いながら48カ国しか含まれていないのかというと、時価総額ベースではこれで85%がカバーできるからです。そして、ACWIのうち、60%が米国、そして日本、イギリス、カナダ、フランスなどの先進国で、85.4%を占めます。残り14.6%が新興国というわけです。
では、目下株式市場閉鎖などで話題のロシアは、ACWIにどのくらい含まれているのでしょうか? ETFDBによると、その比率は0.07%。0.1%にも達していないと分かって、ちょっとホットしますね。
本当に全世界をカバーしたいなら
さて、このように「全世界株式インデックス」といってもACWIは48カ国をカバーしているだけです。そのため、MSCIはさらに小さな国の指数も用意しています。先進国、途上国に加えて、フロンティア(FM)と呼ばれます。全体の構成図は次のようになります。
エマージング(途上国)にも入らない国々25カ国がここには含まれます。具体的な国名を、時価総額が大きい順に見ると次のようになります。ベトナムが29%を占め、そして2位はナイジェリアでした。
このMSCIのFMをベンチマークとするETFもブラックロックから出ていますので、本当に全世界を対象にした投資がしたいなら、ほんのちょっと組み入れてみるのもいいかもしれません。経費率は0.79%、設定来のトータルリターンは年率で7.13%となっています。