FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

1年投資を頑張って7万円の利益 何が間違っていたのか?

これは確かに個別株投資で一発当てたくなる気持ちも分かる……。そう思ったコンテンツがありました。「100万円溜まったので株式投資を始めてみた」という記事です。

anond.hatelabo.jp

積立投資とは別の100万円を使い、株式投資をやってみたという記事です。レバレッジやショートを行わず、分散投資というルールで日米の個別株投資をやったようです。結果、毎月増えたり減ったりして、最終的に2022年の1年を集計すると、利益7万円、配当7000円という結果だったそうです。

 

これに対して次のように感想を述べています。

正直、苦労した割に、儲かった感がない。

プラスで終わったのはいいが、税金は高いし、使った労力としてはそこまで費用対効果に合ってないかもしれない。

7%のリターンは素晴らしい

さて2022年の市況は、さほどいいものではありませんでした。S&P500は1年で8.4%下落し、日経平均は1.64%の上昇にとどまりました。つまりインデックス投資をやっていたら、このくらいの成績だったということです。

それに対して、100万円に対して7万7000円のリターンは率にすると7.7%であり、十分に素晴らしい成績です。

 

でも、「利益7万円+配当7000円」と言われると、1年間頑張ってトレードした成果としてはあまりに小さく感じてしまいます。

運用額が小さければ意味がない

市場平均がマイナスのタイミングで7.7%のリターンを出すというのは、つまり良好な成績でした。具体的な銘柄名や都度の投資額がわからないので、本当にアルファを取れたのか、単に過剰リスクを取った結果、たまたま成績が良かったのかは分かりません。それでも結果は大きなプラスだったといえます。

 

それでも「たったの7万円」と感じたのは、ひとえに運用資金が小さかったからです。資金が1000万円ならば運用益は70万円となり、そこそこ儲かった感じがしたでしょう。1億円なら運用益は700万円で、大成功とさえ感じたかもしれません。でも、いずれもリターンの率は同じなのです。

 

もう一つの理由は、銘柄選定やチャートのチェック、売買にかなりの時間を取られたであろうということです。一般の個人投資家が本格的に投資をするとなると、平日の1日に1時間くらいでしょうか? 年6%のリターンを得られたとして、リターンを時給換算すると時給が1000円に達するには約400万円の運用資金が必要です。さらに、デイトレーダーの多くがそうであるように平日前場の3時間だけ投資に使うなら、時給1000円を超えるには運用資金が1000万円必要になります。

 

逆に、100万円の資金だと1日1時間を費やして時給は300円、1日3時間費やすなら時給は100円にしかなりません。これでは徒労感が出るのは当たり前です。

重要なのはインデックス投資に対する追加リターン

ただこの計算は重要な点を忘れています。インデックス投資です。インデックス投資ならば、正直まったく投資に時間を使うことがありません。銘柄選定を行い個別株投資を行うなら、インデックス投資に対するプラスリターンがどのくらいあって、そのためにどれだけの時間を使ったかを評価すべきです。

 

ではインデックスに対して+1%の追加リターンを得るために、報われるのはどのくらいの運用額からでしょうか。まず、1日1時間費やして市場平均を1%上回れるとしても、その時給が1000円を超えるのは運用資金が2000万円を超えてからです。

 

つまり、市場平均を1%上回れるというスゴ腕があったとしても、資金が2000万円ないのなら、運用はインデックス投資にしておいて、コンビニバイトをしたほうが資産が増えるということです。

 

これは1日3時間投資するデイトレーダーとかだともっと顕著です。市場平均を1%上回われても、その時給が1000円を超えるには、運用額6000万円が必要です。資金が1億円を超えても、時給換算だと1667円。よほど大きな金額を運用するか、市場平均の+1%ではなく市場を大きく上回らなければ割にあわないことが分かります。

 

ちなみに週1時間を投資に使って市場を1%上回れるなら、運用額600万円で時給1000円を超えます。なかなかこれは大変だと思いますけど。

 

グラフにするとこんな感じ。縦軸は対数です。

金融商品の最大の特徴はスケールできること

金融商品の最大の特徴は、運用額が100万円でも1000万円でも1億円でも、同じ手法で同じリターンを出せる点にあると思っています。厳密に言えば、市場の流動性などの問題で、大口が小口と同じ手法が取れる銘柄は限られてしまいますが、それでも金額が大きくなってもリターンの率は変わりません。

 

つまり実は運用テクニックを磨くよりも、少なくとも数千万円規模の運用額までは、入金額を増やす方に全振りしたほうが効果が大きいということです。そこまではインデックス運用で十分だということです。

 

または投資額が2倍、3倍となるような銘柄に集中投資することでしょう。100万円くらいの資金なら、こっちのほうが王道だと思います。分散させればさせるほど市場平均に近づいていくのですから。ただ、ボラティリティは確実に上昇し、ギャンブルに近づきます。この手法が本当にうまくいくなら、信用取引をすれば実質的に運用額を増やすことだってできるのです。でも、それで成功する人がほとんどいないのはご存知の通り。

 

3つめの選択肢は、売買をほとんど行わず、「これだ」と決めた銘柄に集中投資して、かつ5年、10年と持ち続けることです。インデックス投資でなければ、この手法ではないでしょうか。重要なのは、無駄に時間を使わないこと。また投資のことを意識からもなくせるようにして、とにかく関わらないことです。

 

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