このところ、QUOカードの価値が落ちています。取材へのお礼や株主優待などで大量に取得できるQUOカードですが、以前ほどの魅力、価値がなくなってきたように感じます。これはなぜでしょう。また本当の価値はどのくらいなのでしょう。
買取価格
まず、QUOカードの価値は本当に下がっているのでしょうか? QUOカードはそのまま使うこともできますが、金券ショップで買い取ってもらうこともできます。下記は都内繁華街にある高値買い取りで有名な金券ショップ2つでの買取価格です*1。
- 500円(ギフト柄):96.2%
- 500円(広告柄):94.0%
- 1000円(ギフト柄):95.2%/94.0%
- 1000円(広告柄):92.0%
では以前の買取価格はどうだったか。2019年に買い取りしてもらったときの価格は下記のような感じで、実はほとんど変わっていません。
なぜ価値が下がったように感じるのか?
買取価格が変わっていないのに、なぜ価値が下がったように感じるのでしょうか。その理由は、キャッシュレス化の進展とそれに伴う割引の定常化にあると考えています。
どういうことか。まずキャッシュレス化がそれほど進んでいなかったコロナ前を思い出してください。ほとんどの消費的支払いは現金払いで、そこにポイントカードを絡めるのが中心でした。そして、コンビニなどで利用できるQUOカードは煩わしいお釣りもなく、場合によっては金券ショップで安く入手できることもあり、現金よりも使い勝手のいいものでした。
「お得テクニック」として、「1万円のQUOカードを買えば、1万180円分使える」なんてことが紹介されていたくらいです。
ところがキャッシュレス化によって、QUOカードの利便性は失われました。
まずキャッシュレスならお釣りは出ません。さらに利用できるお店はQUOカードよりも遥かに多い。そしてプリペイド方式ではなく、ポストペイド方式(クレカなど)もあります。ポストペイドなら「チャージして使いきれなかったらどうしよう」と思うこともありません。
そして何より割引率が逆転したのが大きい。「1万円のQUOカードを買えば、1万180円分使える」といってもこれにより割引率は1.76%でしかありません。ところがQUOカードが使えるようなチェーン店は、クレジットカードの特定加盟店還元強化策の対象となることが多い。
例えば、三井住友カードはコンビニ利用で常時5%以上を還元しているし、本ならば書店でQUOカードで買うのではなく、Amazonや楽天などで買ったほうがポイント還元率が遥かに大きいのが現状です。単に「お得さ」で考えた場合、QUOカードの出番はなくなってしまいました。
贈答用ニーズをどう拡大できるか?
となると、QUOカードに残された価値は贈答用です。現金を渡すのはなんだけどお礼を渡したいなんてときに使われるわけです。企業が謝礼を出す場合、現金支払の場合は相手の身元を明らかにしてもらう必要があります。でもQUOカードを渡すのならば匿名で大丈夫なのです。
株主優待も贈答用です。単に株主に還元したいなら配当として渡せばいいわけですが、株数に比例しない還元をしたい=株主数を増やしたい、お互い税金を払いたくない=配当は課税だがQUOカードの優待なら広告宣伝費などにできる場合がある、というわけです。
ただ、先にも書いたように受け取る方にとっての魅力が徐々に薄くなってきているのがQUOカードの問題でしょう。
何に使うのがいいか
では手持ちのQUOカードは何に使うのがいいでしょう。一つはやはり金券ショップで売却して現金化です。92〜96%とまだ買取価格はそこまで落ちていません。特に、贈答用需要のある「ギフト柄」は買取価格も高いので、優先的に売却が向いています。
2つ目は自身が贈答に使うことでしょう。ギフト柄でなくても、企業提供のものとは思えないような洒落た柄のクオカードはけっこうあります。親戚の子供へのプレゼントや、入居者へのお礼、不動産屋への客付けのお礼などに使えそうです。
3つ目は特別な還元がない店舗で利用することです。使うのにお勧めの店舗をリストにするとこうなります。
- コンビニ ファミリーマートならクレカの特別還元がない
- マツモトキヨシ
- デニーズ
- 上島珈琲
- ガソリンスタンド JA-SSがお勧め。ENEOSはほとんど対応していない
- 東京ベイ舞浜ホテル(ディズニー来場時に)
- 書店で本などを買いたいとき
ファミリーマート
三井住友カードをはじめ各社はコンビニ利用で還元を増やしていますが、ファミリーマートだけは例外です。おそらくファミリーマート側の意向で、ファミペイと競合するサービスをやんわり排除しています。そしてファミペイはそれほど還元率は高くありません。そのため、QUOカードを使うのがよいでしょう。買取価格から逆算すると、実質8%引きくらいになります。
マツモトキヨシ
マツモトキヨシは貴重なQUOカードが利用できる店舗です。薬や化粧品だけでなく、食料品などにも利用でき、価格も安めです。店舗独自のキャンペーンとも併用できることがほとんどなので、クレカやコード決済よりもQUOカードで払うほうがお得です。実質8%引きくらいで買えることになるので、何かコード決済などのキャンペーンをやっている時以外はQUOカードが有利です。
JA-SS
ガソリンスタンドはENEOSとJA-SSで利用できますが、ENEOSは店舗が非常に少ない上に、フルサービスのところがほとんどです。つまりQUOカードは使えるもののガソリン単価も高い。クレカで支払えば2%程度還元されるとして、QUOカード払いとの差額は6%程度。直近の東京都のレギュラーガソリン単価は平均で159.3円。6%高いと168.8円になります。差は10円くらいなので、QUOカードが使えるスタンドがほかより10円以内の高さならありです。ただお得さは微妙になります。
一方、お勧めはJA-SSです。JA-SSの多くはQUOカード対応の給油機のようで、セルフスタンドでもQUOカードを利用できます。唯一の問題は、給油の支払いを複数のQUOカードで行えないこと。そのため1000円のQUOカードを使おうと思ったら、1000円分のガソリンを小分けに入れる必要があります。けっこう面倒くさい。
都内や埼玉、千葉、神奈川にはJA-SSでQUOカードが使えるスタンドはほとんどありませんが、なぜか茨城県には多数あるので、茨城を通るときにはお勧めです。
東京ベイ舞浜ホテル
東京ベイ舞浜ホテルはQUOカード消費にかなりおすすめだと聞きます。東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテルで、パークチケットなども一緒に購入できます。宿泊+食事+パークチケットをセットにして、QUOカードで支払えばかなりの額を消費できますし、割引率も高いといえます。ぼくはまだこの方法でつかったことがないので、試したら記事にしたいと思います。
実需で利用するときの注意点
さてこうした用途でQUOカードを利用するときには注意点があります。利用には順番があるということです。下記は某金券ショップでのQUOカード買い取り額です。このように、ギフト柄/広告柄、金額によって価格が異なることがわかります。
広告柄というのは企業名などが記載されている、その企業オリジナルのQUOカードで、株主優待で送られてくるものの8割くらいがこの形です。
これが意味しているのは、500円のギフト柄なら売却したほうがいいが、1000円の広告柄は実需で使ったほうがいいということです。というわけで、売却価格が安い下記の順でQUOカードは使いましょう。
- 広告柄1000円
- そのほかの広告柄
- ギフト柄2000円
- そのほかのギフト柄
- 500円のギフト柄
*1:たぶん買取価格は最高値。