確定申告の季節になりました。あれ、2月16日からでは? と思われた人もいるかもしれませんが、実は還付申告ならば1月1日から可能です。さっさと申告すれば、さっさと税金が戻ってくるので、ちゃちゃっと済ませてしまいましょう。(訂正あり)
- 株の利益や配当を確定申告すべきかどうか
- 4パターンで考える確定申告戦略
- 配当がゼロ、譲渡所得がマイナス の場合
- 配当がゼロ、譲渡所得がプラス の場合
- 配当がプラス、譲渡所得がプラス の場合
- 配当がプラス、譲渡所得がマイナス の場合
株の利益や配当を確定申告すべきかどうか
まず行うべきは子供の投資口座です。ジュニアNISAのみなら別ですが、特定口座で株式や投信などを持っている場合、確定申告を考えるメリットがあります。端的にいうと、給与などの支払いを受けていない子供は、ほとんどの場合確定申告をしたほうがお得になります。つまり、多くの場合は税金が戻ってくるわけです。
なぜかというと、子供であっても48万円(住民税43万円)まで基礎控除があるため、年間この額までの利益は無税になるからです。そのため確定申告すれば源泉徴収されている金額が戻ってくるわけです。
一方、確定申告をする必要がないのは次の場合です。分配なしの投資信託に投資していて売却もしていない場合がこれにあたります。
- 譲渡益がゼロ
- 配当がゼロ
4パターンで考える確定申告戦略
さてでは、譲渡益がゼロの場合を除き、4パターンがあるので、それぞれの場合の確定申告戦略を考えてみましょう。
配当がゼロ、譲渡所得がマイナス の場合
譲渡損失を分離課税で確定申告しまう。これで損失を翌年に繰り越しできるようになります。
配当がゼロ、譲渡所得がプラス の場合
単年度だけ見ると確定申告をするメリットはありません。配当など総合課税分を控除したあとでも基礎控除が余っていれば、譲渡所得のような分離課税の利益も消し込むことができます。つまりこの場合、48万円(43万円)までの利益を控除でき、無税にできるということです。
※記事の後半で「分離課税も基礎控除で消せる」って書いてるのに、ボケてました。@Singularitalianさんにご指摘いただき、修正します!
さらに過去3年間の間に損失繰越があるなら、確定申告をすることで譲渡所得を減らせます。その場合は確定申告をします。
配当がプラス、譲渡所得がプラス の場合
ちょっとややこしくなってきました。まず、配当については総合課税で確定申告をするのがベストプラクティスです。48万円(43万円)以内なら無税になりますし、超えた分も配当控除で税率が小さくなるからです*1。
この場合、譲渡所得も確定申告することになりますが、税率は分離課税なので変わらず20.315%です。唯一の難点は、合計額が増えすぎて、扶養から外れないように注意することです。
16歳以上の場合は48万円を越えると所得税における扶養親族から外れてしまいます。16歳未満の場合はもう一つの壁があって、130万円を越えると健康保険の扶養から外れてしまいます。去年までは、住民税の申告不要制度があったので回避できたのですが、今年から申告不要制度がなくなったので、130万円には注意です。
配当がプラス、譲渡所得がマイナス の場合
さあ、問題の配当がプラスで譲渡所得がマイナスの場合です。実は今年の損益はこれに当てはまってしまいました。実際の数字がこちらです。
まず配当が48万円(43万円)を超えています。そのため総合課税で申告しても基礎控除の中に収めることができません。住民税が入るので計算がちょっとやっかりですが、基礎控除を超えた1万473円(6万473円)に対して住民税のみ7.2%の税がかかるでしょう。4300円程度の支払いになるでしょうか。
一方、すべて分離課税で申告すると、通算後の損益が9万7031円。ここから基礎控除を差し引けるので、無税にできます。
ただ、せっかく基礎控除が48万円(43万円)あるのに、10万円しか相殺しないのはもったいないですね。そこで、B証券だけを確定申告し、配当は総合課税にしたらどうでしょうか?
配当額は24万7080円なので基礎控除で全額消し込めます。譲渡所得は-152,542。このマイナスは翌年に繰り越せるというわけです。その代わり、確定申告しなかったA証券については、通算後の2,493円に分離課税の20.315%の税金がかかります。
すべてゼロにするか、495円の税払い&-15万2542円の繰越損失にするかという選択です。というわけで、幸い(?)なことに過去の繰越損失がけっこう貯まっているので、今回はすべて確定申告して、全部チャラを選ぼうかなと思っています。
なお、子供に限らず、大人も含めた株の確定申告の「総合課税?」「分離課税?」についてのフローチャートはこちらにまとめました。
*1:唯一、配当額が1000万円近くある場合は、総合課税だと累進課税なので損をする場合がありますが、まぁ子供の場合はほとんどそれはないでしょう。