2024年2月22日はちょっとしたお祭り騒ぎでした。懸念されたNVIDIAの決算も好調で、それを受ける形で日経平均はバブル後初めて最高値を更新したからです。
NVIDIA好決算
いまや米国のトップ銘柄はGAFAではなくマグニフィセントセブン(M7)です。その決算は、Teslaから始まり、NVIDIAで終わります。
- Tesla 1/24 売上、利益ともに予想下回る 株価下落
- Alphabet 1/30 中核検索広告が予想下回る 株価下落
- Microsoft 1/30 予想上回る ◯
- Apple 2/1 予想上回る 株価冴えず
- Amazon 2/1 予想上回る 株価上昇
- Meta 2/1 予想上回る 株価急騰
- NVIDIA 2/21 予想を大きく上回る アフターマーケットで株価上昇
いまや時価総額で世界4位に付けたNVIDIA。そのNVIDAの決算を前に、米国株は調整ムードとなっていました。もしNVIDIAが決算でコケたら、株価は一気に調整に入るかも? という雰囲気だったのです。
ところが蓋を開けてみると、NVIDIAの決算はアナリスト予想を大きく上回る内容でした。最終四半期の売上高は3倍あまりに増えて221億ドル=約3兆3000億円、純利益は8.7倍の122.85億ドル=約1兆8400億円でした。EPSは5.16ドル。
これはどういうことを意味しているでしょうか。下記はNVIDIAのEPS推移です。FY2025Q1は、Q3→Q4と同じ率でEPSが増加した場合の数字です。
よく「NVIDIAのPERは75倍」なんて言われますが、これが本当なら例えば700ドルの株価からEPSを逆算するとわずか9.3ドルでしかないことになります。ところが、NVIDIAは単一四半期で5.16ドルのEPSを出しました。単純にこれを4倍して年間EPSにしてみても、700ドルの株価に対してはPER33.9倍でしかありません。
EPSが前四半期と同率で増加した場合の6.44ドルについては、年間EPSを保守的に見ても25.8ドル。これは700ドルの株価に対しては27倍でしかないのです。もしもこのペースでNVIDIAのEPSが伸びるなら、実質的なEPSは20倍を切っているとさえいえるかもしれません。つまり全然割高なんかじゃないのです。
フアンCEOはアナリストとのオンライン会見で、最新のエヌビディア製品に対する需要は今年いっぱい供給を上回り続けると予想し、供給は拡大しているが、需要減速の兆しはないと発言。「生成AIによって全く新しい投資サイクルが幕を開けた。今後5年で世界のデータセンターのインストールベースは倍増するだろう。年間数千億ドルの市場機会を意味する」と語った。
日経平均も最高値更新
AIブームに沸く米M7。その流れを受けて、日本でも日経平均が最高値を更新しました。日経新聞はこのような号外を出しています。
どうしてもバブル期と比べられてしまうこの最高値更新ですが、いやはや34年も前の株価とやっと肩を並べたっていうのは、どうなんでしょう。当時がいかにバブル景気だったのかが分かるともいえますし、34年経っても日本経済は全然成長してないといえるのかもしれません。
もっとも、国内企業の時価総額のチャートを見ると、確かに1989年のバブル期の時価総額は高かったものの、2000年手前でそれを抜いています。その後もアベノミクス以降はしっかり時価総額は上昇し、現在はバブル期のほぼ2倍になっています。
つまり、日経平均株価が何を意味しているかはいろいろですが、必ずしも経済力とか企業の力を正しく示している数字ではないともいえるわけです。
それでも新NISAの状況を見ると、その95%が外国株を含んだ投資先だといいます。要するにオルカンとかS&P500の低コスト投信に人々が投資していて、自国は投資対象になっていません。日本株に投資しているのは、バブル期の記憶を持っている超ベテランの方々が中心です。氷河期世代からあと、日本の中核だった人たちは心底日本に失望しているのです。僕もふくめて。
でも、今回の最高値更新でそのムードは変わるかもしれません。日本の株式市場はやっとバブルの呪縛から逃れらるのかもしれない。だから新世代の投資家は、もしかしたら日本株に強気に出るのかもしれません。