FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

低リスク&融資が太陽光投資の特徴

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なぜ今太陽光発電なの? と思われる方も多いでしょう。

 

国による再生エネルギーの固定額買取制度FITの価格が2018年は18円まで下がり、税制優遇もなくなりと、震災以降、国が推し進めてきた再生エネルギー施策がかなりトーンダウンしてきています。それでも、太陽光発電への投資はなかなか面白いと思い、現在準備を進めています。

 

 

国による買取制度FITの安定感

太陽光発電システムによって生まれた電力は、固定価格買い取り制度(FIT法:Feed-in Tariff)という法律によって、発電したすべてを予め決められた価格で買い取ってもらえます。買取保証期間は20年間。つまり、20年にわたって、ちゃんと発電できている限り、売上が保証されるという仕組みです。

 

2018年もFITは継続していますが、この法律がスタートした2012年の買取価格は1kwhあたり40円でした(10kw以上の産業用)。これが毎年段階的に下がり、2018年は18円/kwhとなっています。当然この買い取り価格は相場よりも高いものです。そして相場との差額は、「最エネ賦課金」という名前で、電気を利用する人全員が負担します。

 

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経済産業省 なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度

 

つまり、電気を使う人が費用を負担し、太陽光発電運営者に高い買取価格を提示している構造です。太陽光発電事業には国から補助金が出ているようなものです。

IRRは4%から5%で意外と安定

当初1kwhあたり40円という買取価格だったものが、2018年現在は18円です。旨味がなくなった、と思う人もいるかもしれません。ところが、発電に必要な太陽光パネルなどのシステム価格も、この6年間で大幅に安くなっています。

 

買取価格は下がったものの、システム価格も安くなっているので投資利回りとしてはほとんど変わりません。というよりも、IRRで計算して、利回りが変わらないように買取価格を調整しているというのが実際のことろです。

平成 27 年6月末に、法の規定(法附則第7条)に基づく3年間の「利潤配慮期間」が終了したが、各再生可能エネルギーの供給の量を勘案し、平成28 年度の調達価格の決定に当たっては、十分な FIT 認定・導入が進んでいる太陽光についてのみ IRR を6%から5%に引き下げた。それ以外の電源については、十分に導入が進んでいないことから、IRR の水準を維持することとした。

平成 29 年度以降の調達価格等に関する 意見(案) 

2015 年6月末をもって上記の法律に基づく利潤配慮期間は終了したが、以降の太陽光発電以外の調達価格等の決定に当たっては、十分に導入が進んでいないことから、「供給量勘案上乗せ措置」として 1~2%の IRR 上乗せを維持したうえで、今後どれだけ継続するかについては、今後の導入量、FIT 認定量等の推移を注視することとされている。

経済産業省 平成 30 年度以降の調達価格等に関する意見(案)

下記の表は家庭用のパネルを設置した場合の試算になりますが、買い取り単価が大きく下がっているにもかかわらず、初期費用も下がっているため10年間の収支がほとんど変わらないのがわかると思います。

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太陽光発電の売電価格これまでの推移

融資が引けるという貴重な投資先

売上が20年間保証され、IRR4〜5%となるよう価格が設定されているという太陽光発電。「4〜5%の利回りは低すぎるんじゃない?」と思う人もいるでしょう。

 

ところが、国が保証するという安定性もあって、太陽光発電システムの購入代金は全額借り入れで賄うことが普通です。ジャックス、アプラスといった信販系からの借り入れでも利率は2%程度になります。つまり、不動産投資などと同じく、借り入れによるレバレッジをかけることができるのです。

 

実際は、土地の購入費や整地代金、電力負担金と呼ばれる電力会社との連系工事負担金など、システム以外のコストもかかりますので、フルローンというわけにはいきませんが、総額の70〜90%程度を借り入れで賄うことができます。このレバレッジにより、実質のIRRは10%程度まで上昇します。

 

ただし、建物と土地を担保として使える不動産投資とは違い、太陽光発電システムは動産扱いです*1。つまり、担保としては見てもらえません。自分の属性でどこまで借り入れられるかが気まるという感じです。

 

不動産投資と太陽光発電投資

不動産投資の場合、積算評価がローン残高を上回る形になれば、信用毀損なく物件を買い進めていくことができます。一方で、太陽光発電投資は間違いなく信用を削っていく感じですね。銀行からは評価ゼロとみられるでしょう。

 

ただし、不動産投資の場合、空室リスク、家賃滞納リスク、地価下落リスクが存在します。これから人口減少に突入する日本の場合、空室リスクはシビアですね。そして、金融緩和からザル融資によって不動産価格は高騰しており、今後東京オリンピック終了による期待剥離、また2022年の生産緑地問題などから地価下落リスクは大いにあると踏んでいます。

 

一方で太陽光発電は、システムの破損リスク(地震など)程度しかリスクがありません。金利上昇リスクはありますが、30年以上の長期ローンを目指す不動産投資と違い、太陽光発電ローンは15年が基本。金利上昇リスクも不動産に比べて低くなっています。

 

さらに、15年ローンで返済していっても、十分にキャッシュフローが出るという仕組みです。もちろん、不動産と違って20年経った太陽光発電システムにはほとんど価値が残っていませんので、20年間で稼ぎ切るというイメージでしょうか。

 

IRR10%程度という利回りをどう考えるか。また非常に低いリスクをどう見るか。限りある信用をどのように活用するのか。これによって太陽光発電の評価が決まると考えています。

 

 

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*1:実際、違う土地に移設も可能なようです。本当に動産ですね