Ethereumといえば、Bitcoinに次ぐ時価総額第2位の暗号通貨です。通貨としての性格よりも、ワールドコンピューターを目指したものになります。つまり、さまざまなプログラムをEthereumのネットワーク上で動かすことを目指したプロトコルだということです。
現在もEthereum上で動くさまざまなプログラムがあり、これらはDApps(Decentralized Applications:分散型アプリケーション)と呼ばれます。Ethereumではこのアプリケーションを動かす手数料としてGAS代を払う必要があり、GAS代はEthereumの通貨であるEtherで支払います。最初に「時価総額第2位」と書いたのは、このEtherのことを指しています。プロトコルの名称とネイティブ通貨の名称は実際は異なっています。
こんなEthereumの大型アップデート、コンスタンティノープルが、日本時間3月1日の早朝に実施されました(ブロック7,280,000から適用)。
Block 7280000 - Ethereum Mainnet
ハードフォーク コンスタンティノープルが実行
Ethereumは、完成まで4つのアップデートを予定しています。
- フロンティア(Frontier) 2015年7月実施
- ホームステッド(Homestead) 2016年3月実施
- メトロポリス(Metropolice) 2017年10月〜
- セレニティ(Serenity) 未定
コンスタンティノープルは、このメトロポリスの中の1つになります。メトロポリスの1つ、ビザンティウム(Byzantium)は2017年7月に実施され、主に次のようなアップデートが行われました。
- Zcashで使われているツールが導入され、取引匿名性が向上
- マイニング報酬が5THEから3ETHに減少
コンスタンティノープル(Constantinople)では、主に下記のアップデートが行われます。
- マイニング報酬が3ETHから2ETHに減少
- Ethereum仮想マシン(EVM)の命令追加、GAS代の節約
セレニティで何が変わるのか?
Ethereumの最終型であるセレニティでは、ついにProof of Stake(PoS)の実装が行われます。これまでのProof of Work(PoW)は、Bitcoin同様ハッシュ演算によってブロックの正当性が決まるという仕組み(コンセンサスアルゴリズム)でした。ところが、PoWには消費電力が著しい、スピードが上げにくいというデメリットがあります。
そこで検討されているのがPoSです。これは、簡単にいうと「ETHをたくさん持っている人がマイニング報酬を受け取る」というマイニングの仕組みです。EthreumではPoSをCasperと呼び、マイナーではなくバリデーターと呼ぶようです。
PoSはコンセンサスアルゴリズムの実施に伴う膨大な電力消費がないうえ、ブロックの生成時間が削減され、スピードがアップするというメリットがあります。
Ethereumでは、いきなりPoSを導入するのではなく、PoWを経て段階的にPoSへの移行を目指しています。これは、PoSがうまく働くには多くの人がETHを持っていることが必要で、多くの人にETHを行き渡らせるためにはPoWが最適だからです。最初からPoSでは、ETHを持ち続けるほうが有利なので、ETHが流通しなくなってしまうからです。広くETHが行き渡った段階で、PoSに移行することで、安定したPoSを実現できると考えられています。
PoSの世界では利子がつく?
PoSは、自分の持っているETHをデポジットといって凍結することで、バリデーターに参加することができます。すると、持っているETHの量に応じて報酬が支払われることになります。
これは定期預金にすると利子がつくようなものですね。これをもって、富める人はもっと豊かになる、と格差を助長するという人もいますが、現実世界のマネーと同じです。バリデータにどのくらいの報酬が支払われるのかは見つけられませんでしたが、利回り次第では面白いことになりそうです。ちなみに、PoSに近いアルゴリズム(ハーベスト)を持つXEMの場合、ハーベスティングに参加した場合の利回りは1%程度のようです。
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