FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIerを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

如何にして配当クロスで大失敗したか GMOと楽天の落とし穴

いやはや9月のクロスは大失敗でした。制度信用を使って配当を取る、いわゆる配当クロスです。どのように失敗したのか、原因は何か、そして今後に向けての対策は何かを考察しておきます。

当初の目論見

さすがに9月の優待は豊富なだけあって、最終日前日でも大量の銘柄が残っていました。が、今回は8名義あることもあり、そこそこの銘柄で手持ち資金は枯渇。そこで、最後の一押しとして考えたのが、配当クロスです。概略を書くと次のようになります。

  • 野村Webローンで資金を借りる
  • ソフトバンク(9434)を制度売り、現物買いのクロス
  • 配当額の15.315%を獲得

ソフトバンクは、まぁ逆日歩が付くことはないと見込んだ銘柄です。そして9月の予定配当額は43円。株価1584円に対しては利回り2.71%。その15.315%ということは、0.41%を得られる計算です。リスクは逆日歩だけですね。

 

つまり、単純利回りが0.4%を切るような優待を取るなら、配当クロスのほうがいい——。これが当初の目論見でした。

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野村Webローンで資金を借りる

まずは資金調達です。野村Webローンは預けている株式を担保に、金利1.5%でお金を借りられるローンです。金利1.5%は1日あたりに直すと0.0041%。1000万円借りて、1日411円。期待利益に対するコストとしては、激安です。

 

当日になって借入。即座に普通預金口座に入金され、振り込みすればすぐに利用できます。案外に使い勝手がいいんですよね。ただ、ここでプチ失敗が。なんと、借りるのはいいとして、1日あたりの振り込みには限度額があって、1000万円なのです。1億円まで増やすには書面が必要ということでした。

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さっそく上限の1000万円を、GMOあおぞらネット銀行に送金。証券コネクト口座に振替て、準備完了。これが28日早朝のことでした。

GMOクリック証券でクロスするも……

さて、今回クロスに使おうと考えたのはGMOクリック証券です。なぜかというと2つの理由があります。まず、クロスには現物買い資金のほかに、信用売り証拠金が必要です。しかし、現物株を持っていれば代用証券として証拠金の代わりにできます。

 

たまたま、手持ちの日本株を、最も貸株金利が高いGMOクリック証券に移管したところだったので、先週末に貸株を解除して28日朝には代用証券に使えるように設定したところでした。これを売りの証拠金に使う目算です。

 

2つ目は手数料です。GMOクリック証券は建玉3000万円で信用手数料0円になるVIPプランがあるのですが、残念ながらこれは未取得。ただし、1約定ごとのプランは50万円以上の場合、264円で比較的リーズナブル。そしてGMOインターネットの優待適用で半期5000円までは手数料キャッシュバックなので、実質ゼロ円です。これを使おうというのが狙い。

 

さっそくソフトバンクの制度信用売りを建てようとして、1つ目のプチミスが。よくよく考えたら、信用売りは空売り規制によって成行は50単位までしか建てられません。

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よくよく考えると、寄付注文なんだから低い価格で指値をすればよかったんだと思い至るわけですが、朝の時間ギリギリではそこまで頭が回らず。50単元まで建てて、残りの資金は日本郵政(配当25円見込み、配当クロス利回り見込み0.38%)に突っ込みました。いまさらながら考えると、日本郵政の9月配当はどうなるか怪しいところがあって、これはこれで失敗したかも。

 

そして信用制度買いも注文し、クロスがいったんは完成したわけです。

なんと現引きできない

無事に9時を迎え、売り買い両方が約定。さて、じゃあ買いを現引きして現物に変えるか……と思い注文を出すと、「現物買付余力が不足しているか、日計り取引による差金決済取引に該当するため、お受けできません。」というエラーが。

 

え?なにこれ? ヘルプを見ると、同一銘柄について同一資金で買いと売りを繰り返すことは差金決済にあたるため、ダメだというのです。

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これは知りませんでした。なんてこった。楽天や日興では、クロスを建てるときに、信用買いからの現引きで取引コストを節約することは普通にやれています。GMOクリック証券には、こんな制約があったんですね。

 

そういえば、過去GMOクリックでクロスを建てるときは、信用売りとセットで現物を直接購入していました。今回はコストをケチろうとして失敗したわけです。

ならば楽天で現物を持つ

午前の時点で、制度売りと制度買いの両方を持つクロス状態です。制度買いでは配当クロスにならないので、現物を手に入れる必要があります。というわけで、ならば楽天証券で現物を獲得しようと思い立ちます。

 

まずは資金移動。せっかく入れた現金はGMOクリックで使われておらず、これを再度GMOあおぞらネット銀行の預金に振り替えて、楽天銀行に振り込み。楽天銀行から即時入金で楽天証券に入れます。

 

そして楽天証券にて、「引け」タイミングで「いちにち信用」の買いを入れました。いちにち信用は、当日内決済が前提ですが、信用取り引き手数料無料、さらに50万円以上なら買方金利も0%です。つまり、完全無料で現物を手にすることができます。同時に「引け」で、GMOクリックの信用買いポジションを反対売買で成行決済しました。これで、買いポジションがGMOクリックから楽天証券に移行するわけです。

 

ここまでは良かったんですね。楽天でいちにち信用買いを現引きしようとして、またしても問題が起きました。

またしても現引きできない!

いちにち信用で建てた信用買いポジションを順次現引きしていったら、なんと「現引きの資金が足りません」と出るではありませんか。これまた???です。というのも、そもそも現物を買えるだけの資金は入金済み。信用ポジションを建てるために、一時的に証拠金に使われていますが、現引きを行うと現物が手に入るため、今度は現物が担保となって信用証拠金代わりになるからです。

 

例えば、100万円の資金で株価1000円の株を1000株を購入したい場合を考えます。まず信用買いをすると、必要資金の30%が証拠金として確保されます。30万円ですね。残りの現金は70万円です。ここで、500株を現引きします。現引きには50万円の資金が必要になります。残りの現金は20万円です。

 

ところが、まず信用買いポジションが減ったので、証拠金も15万円分しか必要なくなります。そして、50万円分の現物株が手元にあるので、掛け目5割として25万円分の担保として使えます。つまり現金を証拠金として差し入れる必要がなくなります。残り50万円の現金があるので、これで残りの500株も現引きすれば、ぴったり100万円で1000株購入できるわけです。

 

こんな仕組みで、信用買いからの現引きで資金が足りなくなるということは、クロスしている状況ではあまりないはずなのです。本来は。。

 

問題は、楽天証券の貸株設定にありました。現物株は、代用有価証券として扱うパターンと、証券会社に貸し出して貸株とし代わりに貸株料を受け取るパターンがあります*1。これは、どちらをデフォルトにするか、あらかじめ設定しておけます。下記の複雑な画面です。

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ここで、Fの現物株買付時の設定が保護預かりになっていたのでした。つまり、代用有価証券に使われないのです。

現物国内株式を買付時に、買付けた株式を自動で振替える口座を選択します。
楽天銀行との連携サービス(マネーブリッジ 自動入金)を設定済みの場合、楽天銀行の利用可能残高についても利用します。
信用代用:買付けた現物国内株式は、自動的に信用代用となります。買付代金は信用保証金現金を優先的に利用し、足りない場合は預り金を利用します。
保護預り:買付けた現物国内株式は、自動的に保護預りとなります。買付代金には預り金を利用します。

しかも、この保護預かりとなってしまったものを即時に信用代用には切り替えられません。自動的に貸株に回される設定になっており、これを解除しても反映は受渡日以降になるためです。

 

では、このあとの現引きから、代用有価証券に変わるように設定を変更しようとしたら、「変更には未約定や未受渡の株式注文が無い状態である必要があります」だそうです。えっと、詰みました。

 

現物株を代用に使えないということは、信用の証拠金分に現金を使わざるを得ず、すべてを現引きはできないということです。というわけで、資金の許す限り現引きを行い、残りの信用買いポジションは、引けで反対売買の注文を入れました。

 

さらにクロスの反対側にある、GMOクリックの売り注文も、同数反対売買注文を入れます。これで一応、なんとかなったはずです

クロスの解消でさらにハマる

怒濤の28日が終わり、権利落ち日の29日。今度は、クロスを解消しなくてはなりません。当初の目論見では、現渡しして終わり、だったのですが、このような経緯により異証券会社でのクロスになってしまいました。

 

GMOクリックのほうは反対売買を寄付成行で注文。楽天のほうは、ふたたび「いちにち信用」で売りポジションを建てて、現渡しを行うという儀式があります。というわけで、売りを建てて再びハマりました。信用売りを建てる証拠金がないのです。

 

いやはやまったくもう。一応、寄付、前場の引け、後場の寄りと3回クロス解消のチャンスがあるので、順番に信用売りを建てて現渡しすればなんとかなるでしょう。それにしても、なんて面倒なことになったのでしょうか。

今回の教訓と対策

さて今回の教訓は何でしょうか。まずは「GMOクリックで、クロス時に買いから現引きできなかった」こと。普段使い慣れていない証券会社で、初めてのことをやるとこういうことが起きます。事前に小規模のテストを行うべきでした。

 

続いて楽天の自動設定です。いままでは、代用有価証券に使う可能性も考えて、信用貸株をメインに使っていたのですが、楽天で信用を最近ほとんど使っていないために、全部貸株に入れてしまっていました。これをすっかり失念していたのが一つ。そして、設定変更に時間がかかることを今回初めて知ったため、リカバリーにも苦しみました。

 

資金がギリギリでトライしたのも問題です。数十万円くらいならかき集めればなんとかなったかもしれませんが、数百万円規模はどうにもなりません。野村Webローンも、1日の限界まで借りてしまい、これ以上の資金のあてがありませんでした。余裕なさ過ぎが招いた状況でもあります。

 

ちょっとしたコストをケチったのも敗因です。最初から日興証券でクロスしていれば、何の問題もなく余裕でした。ここは、貸株も存在せず、現引きした株は自動的に代用有価証券扱いになります。信用取引手数料は常に無料で、金利と貸株料だけ考えていればいいからです。

 

まぁ、非常に面倒なことにはなりましたが、なんとかちょっと手数料が追加でかかった、あるいはフルで制度クロスできず、機会損失が発生した、で済みそうなのが不幸中の幸い。GMOクリックの複数回の売買は手数料還元優待でカバーできそうですし、楽天のほうはいちにち信用でカバーできる限り、手数料は全くかかりません。あとは1日の段階で受け渡しが終わり、資金が出金できるようになったら、一刻も早く野村Webローンを返済することです。1日あたり411円は確実にかかるわけですから。

 

ちなみに、ソフトバンクの28日逆日歩は0.1円。日本郵政は付きませんでした。ミスさえなければ、けっこういい作戦だったのですが。あはは。

 

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*1:楽天証券では、さらに代用有価証券のまま少し少ない貸株料をもらう、信用貸株というのも始まりました