TOPIX ETF(1306)を売却しようと思い、手数料を節約するために信用売りしてから現渡を試みたら、「空売り価格規制により、成行注文は受付けられません。」というメッセージが。
あれ?10%以上上下した場合では?
空売り規制というのがあるのは聞いたことがありましたが、価格が大きく動いたときに規制が入るものだと思っていました。楽天のページにあるように、前日終値から10%以上上下したときには、空売り禁止の規制が入るルールです。トリガー抵触というらしいです。
TOPIXは6日、大きく下がったとはいえ10%には至っていないはず。なのになぜ?
51単元以上では成行注文が行えない
しかし個人投資家に関しては、トリガー抵触しても50単元未満ならば空売り規制は適用除外なんだそうです。しかし一方で、51単元以上の場合、成行注文ができません。
今回、TOPIXのNISA口座への乗り換え(特定口座で1306を売って、NISA口座で購入)を考えていたので、価格変動リスクを負わず寄付の成行きで両方注文をしようと思っていたのですが、どうやらそれはできないということです。
通常、51単元というのはけっこうな額になるのであまり気にしていなかったのですが、1306はなんと単元株数が10株。株価が1759円なので、100万円相当で軽く50単元(500株)を超えてしまうのです。
こんな落とし穴があるとは知りませんでした。
成行がダメなら指値注文で
そこで改めて寄付の価格の決まり方を確認してみました。何度読んでもいまいちわかりにくいのですが、どうやらこういうことのようです。
- まず成行きの売りと買いをぶつける
- 差が出たら、指値注文とぶつける。「買いの成行」が余っていたら、指値売り注文の中から最も値段が安いものとぶつける。「売りの成行き」が余っているなら指値買い注文の最も値段が高いものとぶつける
- 成行注文残が消えたら、最も値段の安い指値売と、最も値段の高い指値買をぶつけて消していく
- 順次消していって、指値売の値段と、指値買の値段が一致したところが初値
※シグマ 板寄せ方式による始値決定プロセス こちらがわかりやすかったです
このとき、成行注文はもちろん、指値買いも指値売りも、約定したものについてはいずれも初値の価格となるわけです。つまり、「大幅に安い指値売り」や「大幅に高い指値買い」は、ほぼ成行注文と同様に処理されるわけですね。
指値注文は、約定価格を指定した注文ではなく、約定してもよい範囲を指定する注文です。買い注文であれば指値価格以下、売り注文であれば指値価格以上で約定します。
例えば、寄付前に100円の「買い指値」を発注したが、寄付が95円だった場合は95円での約定となります。
※寄付値が指値価格と同じだった場合、取引所のルールにより約定しないケースがあります。
100円で取引されている株に対して、200円で買いの指値を入れると大損するかのようなイメージがありますが、そんなことはなく、こうした注文は成行きと同じように処理されるということのようです。
成行き注文のほうが大量の資金が必要
もう一つ、指値と成行きには違いがあります。成行きで売買するには、終値相当の額ではなく、値幅制限相当の資金が必要になるということです。
例えば、終値が600円の株は、プラスマイナス100円の値幅制限がかけられているので、500円〜700円の幅を超えて動くとストップ安、ストップ高となります。この株の場合、(100株単元として)6万円の資金があれば成行き注文が出せるかというとそういうわけではなくて、ストップ高の700円を基準に7万円が必要になるということです。
もちろん実際には610円で初値が付けば6万1000円の代金を支払えばいいのですが、注文時には7万円が拘束されるということになります。
逆にいえば、6万円しかないが注文したい場合は600円の指値注文を出せばいいし、6万5000円しかないなら650円の指値注文を出しておけば、初値が651円以上にならない限りは、だいたい約定するということになります。
ただし、指値によって拘束保証金が変わるのは「買い」のほうだけ。「売り」のほうは指値をしても値幅条件上限の保証金が拘束されます*1。
※信用取引をおこなうにあたってのご注意 | 信用取引 | 国内株式 | 楽天証券
これは楽天証券で大口優遇獲得のためのクロスの際には、成行よりも必要資金を減らせるワザとしても有名でした。
*1:2020/01/10追記