このところ、株価下落が続いています。まぁ要因としては、オミクロンに加えて、思ったよりもインフレが強そうだぞということで、FRBが金融引き締めを急ぎそうだという観測からでしょう。そのためグロース株への影響が大きいわけですが、さて、どのくらい下がったでしょうか?
5日を見ると
日経225、S&P500、NASDAQ100、そしてBitcoinの過去5日間の推移です。見事に同じトレンドで動いていますが、Bitcoinはわずか5日で15%の下げとやはりボラティリティが大きい。また日経225はトレンドは似ていますが、やっぱり別の観点で動いている感じです。
直近1年間で見ると?
ではBitcoinを除いて全世界株式(VT)を加え、直近1年を見るとどうでしょうか? なるほど、S&P500とNASDAQ100は同じくらい上昇していたわけですが、下げがキツかったのはNASDAQ100。それでも1年間でみると+7%です。S&P500も下がったとはいってもまだ+13%。
一方でVTは+5%まで下がってしまいましたし、日経225なんて▲4.2%です。この1年間いかに米国株が強かったかが分かります。
ちなみにBitcoinは大きく下げたことで、1年前から+9.6%まできました。前年の底値を割ったことがないというのが、過去のトレンドだったので、ほとんどのトレーダーの人が、そろそろ反発を想定しているのではないでしょうか。昨年の底値は7月に付けた2万9700ドルあたりです。
加熱具合はどうか?
ではトレンドではなく、加熱具合を見てみましょう。株式では1株あたり利益(EPS)の何倍で株式が取引されているかが、最も分かりやすい熱狂具合です。そのPERの長期トレンドを見ると、25.08倍と高くはあるが、高すぎるというほどでもないかなという水準。
その株価ファンダメンタルズの根幹にあるEPSはというと、コロナ禍でのへこみが誤差に感じるほどの良い感じの右肩上がりトレンドの中にあって、そりゃ株価が上昇するのも当然だという感じです。
Fear & Greed Index
もう一つ、投資家心理を表すFear & Greed Indexから。実は、この数値はまだ43で、ちょっとFearかな? といった程度です。
ただ中身を見ると面白いことになっています。
まず、プットオプションとコールオプションの比率は0.3くらいになっていて、これはプットを買うよりもコールを買っている人が圧倒的に多いということです。プットは、下落をヘッジするために買うことが多く、実はこのタイミングでも、多くのオプション投資家が上昇を期待していることが分かります。
ジャンク債のスプレッドも、極めてGreedを指しています。債券利回りは国債利回りにスプレッドを上乗せして決まるわけですが、市況が危険であるほど追加スプレッドは大きくなります。ところが、現在の追加スプレッドは1.57%でしかなく、極めて小さい状況です。
こちらはNYSEの出来高のうち、上昇銘柄と下降銘柄が占める比率を指しています。わずかにGreedという感じです。
ここまでの指標が、どちらかという強気=Greed=強欲を示していたのに対し、次の仕様は恐怖を指し示しています。まずはVIXです。30を超えてきており、2カ月ぶりの恐怖水準です。
続いては債券選好です。過去20日間の取引で、「債券は株式を4.03pt」上回ったとしています。リスク性資産の株式から、安全資産である債券に逃げる傾向があったということで、極めてFearとなっています。
最後にマーケットのモメンタムです。これは125日平均線を、直近のS&P500が割り込んだというテクニカル指標で、このような急激な下落は極端なFearだということです。
というわけで、全体に中庸というよりも、一部の指標は極めてGreed、そして別の指標はFearとなっており、全部合計すると中央値近くというわけです。
現在の株安をどう見るか?
というわけで、この株安をどう見るかです。確かにインフレは高止まっていますが、同時に企業業績も好調です。企業利益に対して25倍で株式は取引されており、多少高めです。
経済指標的には、特に株価下落を示唆している感じはしません。行きすぎた株高が、利上げを目前にして是正されたというい感触です。
プットを買っている人は少ないが、ボラの拡大を想定してオプション価格が高騰している=VIX上昇というのは面白い感じです。モメンタムをみても、移動平均を割り込んでおり、ぼくは今回の下げは、調整であり、かつ一時的。オーバーシュートしている可能性が高く、数日で反発すると見ています。
まぁどちらにせよ、売りも買いもしないつもりですけど。