FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

当期純損失300万、債務超過900万 それでも法人がいい感じなわけ

法人Aの5期目の決算がほぼ締まりました。売上高は前期からわずかに減少、当期純利益は赤字幅が少々減って300万円弱。これまで5期ずっと赤字を出してきた結果、大きな累損が貯まっており、900万円超の債務超過です。

 

やべー会社だ! と思うなかれ。確かにこの決算では銀行は新たにカネを貸してはくれないでしょうが、経営的には計画通りでいい感じなのです。

損益計算書の推移

ではまず損益計算書の推移から。法人Aは、4基の低圧太陽光発電所を保有しており、2期目の終わりから、順次稼働が始まりました。4期目にはすべて稼働し、5期目はフル稼働の2年目となります。

 

太陽光発電所は、天候次第のビジネスです。毎年同じようにお天道さまが照ってくれれば、同じように発電して同じように売り上げます。逆にいえば、新たな発電所を増やしでもしない限り、ここから売り上げは増えません。

さて、1期目から5期目まで見事にずっと赤字が続いています。5期目の赤字額は300万円弱ってところで、累計の損失額は1200万円くらい。資本金が300万円ですから、債務超過が900万円ってところです。

 

これだけ聞くと、なんというか、救いようのないダメ会社のような感じに見えますね。ずっと赤字垂れ流しで、売り上げはこれ以上増えることがない。こんな会社どうしたらいいんでしょうか?

費用の内訳を見てみる

この会社の行く末を占う前に、5期目の費用の内訳を見てみましょう。下記の通りです。まず、最も大きい費用は減価償却費で、58%を占めています。次が、事務所家賃とか光熱費とかのニアリーイコール家事按分費用。そして、固定資産額をメインとした租税公課がきて、借り入れ金に対する支払い利息の比率が10%くらい。残ったのが雑多な経費ですが、それが7%ちょっとです。

 

さあ、これを見て、ピンと来る人は来ると思います。そう、損益計算書上、減価償却費は費用ですが、これは単に帳簿上のことであって、実際にキャッシュが出ていくわけではないのです。

 

実際、フリーキャッシュフローは、当期純利益に減価償却費を足し込んで計算します。そして下記のとおり、現状は売上高を超える費用が発生しているので赤字ですが、減価償却費を除けば、売上高のほうが遥かに大きく、ちゃんとキャッシュが生まれているということです。

さらにもうちょっとかっこよくいえば、営業利益に減価償却費と支払利息、税払い額を足したいわゆるEBITDAでは、すでに大きなプラスなわけです(下のグラフではちょっと見にくいのですが、緑が支払い利息です)。

といっても、このフリーCFからローンの返済(=財務キャッシュフロー)を行うわけで、差し引きはまだマイナスです。まぁ家事按分は法人口座から現金が出ていっているものではないので、そこがまたややこしいのですが。

つまりどのような状態か

つまり法人Aがどのような状態かというと、フリーキャッシュフローはプラスで毎月けっこうなキャッシュが入ってきます。そこからローンを返済すると、法人口座にはキャッシュがそこそこ残っているという感じ。一方で、損益計算的には大赤字なので、税金の支払いも発生しません。そして、この5期を最後に免税事業者に戻るので、6期目からは消費税の支払いもなくなります。

 

ちなみに、決算書がここまで見栄えが悪いと、銀行から追加融資を受けるのはちょっと厳しいとは思いますが、この箱はこれ以上の売上を作ると免税事業者でなくなってしまうので、追加投資の予定もありません。世間の中小企業のほとんどが赤字だといいますが、そりゃそうだよな、最初から赤字の予定だというのはそういうことです。

 

というわけで、太陽光発電のビークルとしての法人としては、だいたいベストプラクティス的な形となっているわけです。

このあとはひたすらコストが減っていく

とはいえ、この状況が延々と続くわけではありません。放っておいてもコストがどんどん小さくなるからです。例えば、減価償却費は毎年減っていきます。これは太陽光発電システムは定率償却となっており、残存簿価に0.118の係数で償却費が決まるからです。

税払いのメインである固定資産税も減少します。太陽光発電の場合、固定資産税は土地+機械設備となっていて、土地の固定資産税はほぼ一定ですが額はわずか、機械設備については簿価の1.4%なので償却によって簿価が減るに従い、固都税も減っていきます。

 

借り入れに対する利息も年々減ります。元利均等で借りているローンの返済額は、返済が進むつれて利息分が減って、元金分が増えていきます。つまり費用となる利息はどんどん減っていくのです。

というわけで、売上はこのあとも一定ですが、コストのほうはいずれも下がり続けます。そのため、しばらくすると営業黒字になってしまうわけです。ただし、法人の場合は損失を9年間繰り越すことができます。そのため、法人税の支払いが発生するのはまだかなり先ということになります。

 

そして、その頃には自分への役員報酬を出すイメージです(現在はゼロ)。そうすると、それがまた費用になって、黒字幅が圧縮されます。

 

これが世の資産管理会社、マイクロ法人の実態というやつです。

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