FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

テスラ モデルYに乗ったので、バイクとクルマ遍歴を振り返ってみた

先日、テスラの中型SUV「モデルY」に試乗してきました。で、「クルマの動力源について」いろいろと思うことがあったのです。といっても、なんか地球温暖化とかエネルギーミックスだとか、そういう意識の高い話ではなくて、クルマの気持ちよさってなんだろう? という話です。

 

というわけで、今回はぼくのバイク、クルマ遍歴を振り返って、エンジンの気持ちよさについて考えてみました。

変なエンジンが好きだった

思い返すと、これまでいろいろなエンジン車に乗ってきました。当時はレーサーレプリカ全盛時代。初めて買ったのは、ヤマハのFZR250でした。250ccながら4ストの高回転エンジンで軽く1万回転まで回るヤツでした。高回転域ではキュイーンという音に変わり、ICEというよりもモーターっぽいと思ったのを覚えています。

 

続いて買ったのがホンダのNSR250。45馬力を出す2ストロークエンジンで、軽く200キロを超える加速力と軽さが魅力。2ストエンジンは今や絶滅種ですが、とにかくパワーがあって、さらにエンブレがかかりません。どこまでもどこまでもスピードが乗っていく感じは、まさに異次元でした。ただ、ノーマルマフラーだと音はかなりしょぼい。一応高回転まで回すと、それっぽい音はするものの、雰囲気というよりも速さのマシンでした。


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その後、初めて買ったクルマはFC3Sです。こちらも絶滅種のロータリーエンジン、13B。サウンドは野太くてカッコいいのですが、これがまたモーターチックなのです。まずエンジンブレーキが効かない。ローターがくるくる回っているので、想像通りひっかかりがない感じです。そして、回転数もどこまでも上がる感じ。レシプロエンジンだと回転が上がると、なんか苦しそうな、機械の限界を試しているような感じがするものなのですが、ローターリーはどこまでも回る感じ。レッドゾーンに入ると警告音が鳴るのですが、それを無視しても回り続けるようなイメージです。

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このFC3Sではサーキットなどをいろいろ走ったものの、エンジンメンテナンスに苦しみ、2年ほどで手放してしまいました。空気が薄いところに行くとすぐプラグがカブってしまうんだもの。燃調がおかしかったんでしょうか。

 

次に手に入れたのが、GC8。280馬力競争が盛り上がっていた当時、ラリーカーとして一斉を風靡したインプレッサです。エンジンは水平対向4気筒。いわゆるボクサーサウンドです。ドロドロ音ともいいます。まさに↓の動画と同じフジツボのマフラーを付けていました。友達といっしょにマフラーを取り付けたのはいい思い出。そういえば、小屋に置いた純正マフラー、まだあるのかな?

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GC8は確かに280馬力なんですが、今のクルマと比べると驚くほどのドッカンターボ。シングルタービンは回り始めるが3500回転くらいで、4000以下に回転が落ちるとほんとトロい走りしかできません。でも、ターボが効き始めたときの加速はすさまじく、まさに頭がバックレストに押し付けられる感じでした。

大人しくなっていた時期

そのあとはよくも悪くも大人しくなっていきます。次に買ったのがアウディのA4 quattro。1.8Lターボに4駆というマシンです。初めて買ったいわゆる高級車は、確かに質感は高い。でも、前が重いエンジンとトルコンオートマは、走りが楽しいというものでは全くなくて、まさに脚クルマになっていました。エンジンに関しては何も思うところはありません。

 

次はトヨタのミニバンです。これは譲ってもらったクルマなのですが、室内空間はいいものの、運転は最悪。脚がふにゃふにゃしていて、コワイことこの上ない。たぶん、トヨタ車の出来が最も悪かったころではないでしょうか。エンジンは、回すとうるさかったなぁくらいの感じ。クルマとしてはいいものではないですね。

もう一度走ろう

町中を走るのもかったるしい、山道なんて走りたくないよって感じのミニバンにも辟易して、ついに買ったのは子供の頃からの憧れだった993。最終の空冷モデル、もちろんマニュアルです。

 

すでに価格高騰が始まっていて、新車と同等レベルのお金を払ったのですが、20年を経てまだ走行3万キロという個体は、走らせて本当に面白いクルマでした。まずちゃんと走るクルマでは初めてのNAです。ターボがないって、こんなにリニアでアクセルを踏む脚とリアタイヤが一体になっているのねと感じられる。低回転から30kgを超えるトルクを出しながら、しっかり高回転まで回り、バリオラムが動いて吸気が変化するあたりからは音も変わってもう一段伸びる。回せば回すほど伸びていくエンジンです。

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そして、空冷フラット6は、GC8のドロドロ音とも違う独特の音を奏でます。正直、音だけで「あ、964か993が来た」と分かるくらい。映画とかでもよく出てくる964/993ですが、音だけで存在感を放っています。

 

その加速はよくチーターのような野生動物のダッシュに例えられます。最後尾にエンジンを積んでいるため、トラクションがかかると後ろがぐっと沈み込んで、ふっといリアタイヤがアスファルトを蹴る。この押し出されている感は、RRのNAならではだといまでも思います。この強烈な加速と安定した減速が、まさに911の真骨頂です。

 

一方で、ハンドリングはピーキーでした。FC3Sは少し踏んであげるとじりじりとお尻が出て、戻して上げればスライドも止まるという、とっても扱いやすいFR。一方のGC8は踏んでもずっとアンダーで、ブレーキを組み合わせてあげないとお尻は出ない。

 

じゃあ993はどうかというと、しっかりフロントタイヤに荷重をかけてあげないと全然曲がらないドアンダーな上に、リアの荷重が小さい状態でアクセルを踏むと、一気にリアがブレイクしてクルンと回ってしまう挙動です。滑り始めが唐突で、滑り始めたら止まらない。これがRRの難しさか!と最初は感じたものです。

 

でも、少しオーバースピードで入りながらフロントにちゃんと荷重をかけてあげると、前輪が食いつくと同時にリアが遠心力に負けて滑り始める。ここで頭が出口に向いたらぐっとアクセルを踏んであげると、パワースライドするのではなくリアに荷重が乗ってスライドが止まり、ロケットのように出口に向けて加速していくのです。これができるようになったときに、すごく嬉しかったというか「これでオレも911乗り?」とか思えたわけで、楽しい時間でした。

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5年間乗ったこの時期は、濃密な時間でした。週に1、2度は深夜の首都高に出没し走ったものです。横浜の大黒にもしばしば行きましたが、メインの居場所は辰巳。ここから9号を箱崎に向かい、C1外回りからレインボーブリッジ、湾岸を経由して辰巳に戻るという高速コースがお気に入り。C1ほどクルマの量もなく、5速には入らないもののけっこう楽しめる。

 

首都高には993で走っている人がけっこういて、そうした人たちと友達になったのもいい思い出です。

初ディーゼル

そんな楽しい993にもお別れのときがやってきました。オリジナルの車高調を入れ、ライトはHIDにDIYし、ガンガンサーキットを走っていたものの、さすがに2人しか乗れないクルマには問題が。家族の要望から4人乗れるクルマを探しつつ、「クルマ2台持ち」も模索したものの、そこまでの甲斐性もなく、手放すことにしました。

 

次に選んだのはアテンザのSKYACTIV-2.2ディーゼル。初ディーゼルなのですが、パワーがあって燃費がよく、しかも軽油は安いということで、足車でもやっぱり走りは楽しい方がいいよねという選択理由です。

 

再びオートマということもあり、感じはA4にそっくりなのですが、エンジンについてはいい方向に予想が外れました。これすっごいエンジンじゃん。とにかく低回転のトルクが凄い。2000回転でなんと42.8kgm! ちなみにGC8は33.5kgmを4000rpm、993は34.7kgmを5250rpmなので、いかにSKYACTIV-2.2ディーゼルのトルクがすごいかが分かります。

 

ほんと60キロくらいまでの実用域では驚くほどの加速を見せます。ただ、馬力を感じるかというとそんなことはなくて、4000rpmくらいでもう息切れしてもたついてトルクが落ちるのを実感できます。つまり回しても楽しくないのです。全然。

 

どこまでも回ったFC3S、ターボが炸裂すると気がついたらレッドに到達していたGC8、回れば回るほどトルクも増していく993、そういうスポーツカーの系譜とは違い、やっぱり実用車なわけです。だから高速道路でも100キロ以上出す気になりません。つまらないから。

 

トルクはありますがFFということもあって、転回しながら踏むとタイヤが簡単にスリップしてトルクステアちっくな挙動を示します。なんというか、やっぱり直線番長なんですよね。ふわふわしてコワイとかリニアニティが足りないというような感じはないのですが、高級セダンのような味付けなわけです。

別次元のEV

高回転4スト、2スト、ロータリー、ボクサー、フラットシックス、クリーンディーゼルと乗り継いできたのですが、次に狙うのはEVです。実はテスラは何度も乗っています。モデルSが出たときに知り合いに借りて3日くらい乗り回したのが最初で、次にモデルXのディーラー試乗、モデル3は日本上陸早々にやっぱり3日くらい借りて乗りました。モデルYも、国内初披露のタイミングでちょこっと乗っています。

テスラについては「スマホ的クルマ」だとかそういうギミックの話がいろいろと言われるし、充電の良し悪しとか走行距離だとか、自動運転だとかそういうことが話題ですが、今回は動力源について。

 

まず加速感については半端ありません。モデルYのモーターのトルクは350Nm。これをkgmに変換すると*135.7kgmになります。42.8kgmのSKYACITV-2.2Dには負けますが、これまで乗ってきた280馬力マシンよりも上。しかもBEVは、このトルクをゼロスタートから発揮します。

 

ちなみにモデル3のパフォーマンスモデルのトルクはなんと660Nm。なんと67.3kgmです! 911のターボSは800Nmなのでそこまでは行きませんが、911カレラSで530Nmですからモデル3のトルクの凄さがよく分かります。

 

さらにEVにはギアがありません*2。つまりゼロ発進から最大トルクを発揮したまま、変速ロスもショックもないまま、一気に加速するのです。ダブルクラッチを使ったDSGなんかも小気味よい変速をしますが、ギアなしにはやっぱりかないません。

 

モデルYで床までアクセルを踏むと、2トンを超える巨体が強烈な加速を見せ、ふとメーターを見ると100キロに達しています。時速100キロまでの加速時間は、公称で3.7秒だそうなので、凄まじい。

EVはモーターの特性を活かした加速がよく言われますが、実は特徴はそこだけではありません。実はフレームの剛性がすごくて、かつサスがカチカチ。かなり固い乗り味です。残念ながらテスラ車をサーキットで走らせたことはないのですが、山道を走った感じではほとんどロールしない、レーシングカーのような足回りの感触でした。

 

これはセッティングというよりもEVの宿命でもあります。ものすごく重いバッテリーを車体中央の床下に積むため、当たり前のようにコーナリングは優秀です。ミッドシップエンジンのような重量バランスでかつ低重心になるのです。そしてあまりに重い車体を支えるには、サスは固くならずを得ません。自然乗り心地は悪くなるのですが、ぼくなんかはこのくらい固いほうが安心感を感じます。

 

さてEVのネガも。強烈な加速を見せるモーターですが、SKYACITV-2.2D同様、回転が上がるにつれて相対的なトルクはガソリン車に劣ります。回転が上がり速度が増すにつれてトルクも上昇し、指数関数的なパワー上昇を感じるガソリン車とは違い、100キロくらいからは伸びを感じません。要するに飛ばしても楽しくありません。

 

GC8が60〜120km/hあたりが楽しく、993が100〜180km/hあたりなのに対し、クリーンディーゼルとかモデルYの守備範囲は0-100km/hの感じ。ある意味走るというより実用領域が強い印象です。要するに、走る楽しみというよりは実用に近いかなぁという印象。これはセダンタイプならまた違うんでしょうけど。

 

そんなわけで、モデルYなら変にパフォーマンスを追い求めるというよりも、補助金入れて乗り出し500万円を切るRWDモデルが一番いいかな? なんて思ったりもするわけです。

ちなみにプリウスGの乗り出し価格が360万円くらい、上位モデルのプリウスZは430万円くらいなので、そこに+60万円といった感じ。高いか安いかはなんともですが、あとは微妙だといわれる下取り価格がどうなるかでしょうか。

 

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*1:こういう計算はChatGPTが得意です

*2:ポルシェのタイカンとかはギアがありますが、これが特別。テスラはありません。