FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

「政府が全部、無償化してくれる」の先にあるもの

自民党というのは不思議な政党で、資本主義/自由主義を支援する考え方でありながら、同時にリベラルな社会福祉の拡大も志向しています。これが戦後「最も成功した社会主義国家」だと日本がいわれることにつながりました。

 

ただし小泉(2001年)〜安倍・菅政権(2021)の間の20年間は、福祉拡大路線ではなく米国流資本主義を導入し、小さな政府を志向するように感じられましたが、岸田政権になって、再び社会主義的な政策が顔をもたげてきたようです。

 

バラマキと無償化です。

バラマキと無償化

コロナ禍のときの持続化給付金は、たしかに未曾有の危機であり、給付金がないと事業が立ち行かないという面はありました。ただそれで全国民一律のバラマキが正当化されたかというとかなり疑問です。コロナ禍にあっても日本企業は雇用を守っており、企業の正社員にまで給付金を出す必要はなかったと思います。

 

これは当初制限する方向だった政府に、強引にバラマキを推進した公明党の責任でしょう。あたかも「いいことをした」かのように書いてあるのが、国民を舐めています。

一律10万円給付を実現

コロナ禍で打撃を受けた国民生活を守るため、公明党は、1人当たり一律10万円の特別定額給付金を実現しました

当初、政府は減収世帯に、1世帯当たり30万円を給付する支援策を予定していました。しかし、感染拡大による影響が深刻になる中、公明党の山口那津男代表は20年4月、安倍晋三首相(当時)に所得制限なしで全ての人に一律10万円を給付するよう直談判。この結果、閣議決定されていた20年度第1次補正予算案を組み替える異例の対応で一律給付が実現しました。

公明がコロナ対策をリード | ニュース | 公明党

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さて、コロナが5類になっても、バラマキは止まりません。まずは東京都の018サポートです。

018サポート 東京都福祉局

2024年に都知事選を控え、これはバラマキ以外の何ものでもないでしょう。さらに加えて、私立を含めた都内すべての高校の授業料を実質無料化することも打ち出しました。所得制限をなくすというのです。

smart-flash.jp

 

岸田政権も負けていません。物価高への対策ということになっていますが、来年の参議院選挙に向けたバラマキの性格が強いのが、今回議論が進んでいる「定額減税」です。その流れは下記の記事にまとまっています。そもそも減税をやりたかった岸田首相ですが、減税では即効性がないため給付金を、という公明党などの声に押されましたが、最後には給付金+減税という、これまた摩訶不思議な形になりそうです。

www.nhk.or.jp

また大学無償化の案も出ています。3人以上の子どもがいる大学など高等教育機関の授業料などを「無償化」する方針だそうです。

www.asahi.com

バラマキで買えるチョロい有権者

こうしたバラマキや無償化の話があると、喜んでしまうのが人情です。「アイツはもらえるのに、オレはもらえない」「一人目が成人になってしまったら三人目は無償化の対象外なの?」とまぁ、自分も無償化の恩恵に預かりたいと誰しもが関心を寄せます。

 

でも待ってください。これが政治家の狙いなのです。本来政治家は、国民全員、国の将来に向けて最適なお金の使い方をしなくてはなりません。でも選挙で選ばれるという仕組み上、どうしても不人気な政策はやりたがらず、人気取りばかりをやりたがります。

 

人気取りとはバラマキであり無償化です。本来は「バラマキを行う政治家ではなく、支出削減を行う政治家に投票すべきだ」というのが筋ではあります。でも有権者なんてチョロいのです。お金をバラまけば「この人に投票しよう」となるのです。

その財源は誰が?

さてこうしたバラマキや無償化のコストは誰が払うのでしょうか。一昔前ならば、国債発行でコストを賄うというやり方もありでした。これは自分たちがそのお金を使い、将来の日本人に支払いをさせるということです。

 

でもいまや新規国債発行は厳しい。となれば増税で賄うしかありません。所得税も法人税も消費税も、アップするのは政治的に厳しいので、社会保障費をアップさせてそこから流用するということも普通に行われるようになりました。これは「ステルス増税」といわれて、もうみんなにバレてるんですけどね。

 

社会保険料にしても税金にしても、多大なコストをかけて集めています。100円の税を集めるためのコストを試算したものがあって、所得税で2〜10円、法人税で1〜2円、消費税で0.5円くらい。ただしここには民間の事務コストは含まれていません。インボイス制度とかを見ても、税金を払うためにいったいどれだけのコストを払っているんだ? という感じです。

第3項 徴税コストについて|菊地和巳税理士事務所

 

こうやって集めた税金を、今度は再びコストを費やしてばらまくのです。手間ひまコストを掛けて集めたものを、また手間暇コストをかけて戻す。これをやっているのが、現在のバラマキです。まさに生産性の対極にある行為です。

無償化の先にあるもの

大学無償化の先にあるものはなんでしょうか。みんな無償化されるのは大好きです。大学だけでなく東京都のように高校も全部無償化でしょうか。以前の民主党が主張したように高速道路も無償化するのでしょうか。

 

そのうち物価高対策とかいうことで、お米とかも無償化して配られそうです。スマホだって、強引に料金値下げさせたみたいに、誰でも無料で使えたら嬉しいですよね。使い放題、スマホ無償化です。あ、毎年最新のiPhoneも無償配布するといいでしょう。だってインフラですから。そうそう、新聞も全家庭に無償配布ですね。生活必需品だということで軽減税率対象となったわけですから。

 

そうやって多くの生活必需品が無償化されたら、どれほど幸せでしょうか。貧富の差もなければ、物価高とかも関係ありません。とてもいい社会だ!と思うかもしれません。

 

実はそういう国があったのです。世界初の社会主義国家で当時はアメリカと世界を二分した大国、ソビエト連邦です。そして約30年ほど前に崩壊しました。一世代を経て、なんでも政府が無償で提供してくれる社会を待望するような声があがるのは、やっぱり日本は最も成功した社会主義国家なのかもしれないな、とふと思うのでした。

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