FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

6%運用を実現するための投資方法 FIREに向けて(4)

前回まで、セミリタイアに必要な資産の計算方法と、そのために必要な資産の作り方について書いてみました。今回は、その資産を具体的にどうやって運用したらいいのかについて、考えをまとめてみます。

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投資の基本的な考え方はギャンブルではない

投資というと、「◯◯株を買ったら2年で50倍になった」というような、一気に資産を増やすような話がもてはやされます。種銭を作るという意味では、こうした投機を完全に否定はしませんが、これはギャンブルであって、投資ではないというのがぼくの考え方です。

 

前提となる考え方にはいくつかあります。

  • リスクとリターンは(基本的には)比例する
  • 期待リターンがプラスなのが投資である
  • 市場に打ち勝つのは極めて難しい

リスクとリターンは比例する。ただし基本的には

高いリターンを得られる投資先というのは、基本的に「リスク」つまり値動き変動が大きいものです。定期預金金利が1%だとすると、6%のリターンを得られる見込みの投資というのは上乗せリターン分の10%以上の年間変動があるものだと考えるべきです*1

 

なぜリスクとリターンが比例関係にあると考えられるかというと、レバレッジ(借り入れ)を行うことで、リスクもリターンも同じように増やすことができるからです。リターン1000%(10倍)を見込める投資商品というのは、リスクも同様に大きい。このことは必ず肝に命じる必要があります。

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ただし「基本的には」と書いたのは、必ずしもそうならない場合があるからです。この点については、のちのち記載します。

期待リターンがプラスなのが投資である

もう一つの考え方は必ず期待リターンがプラスのものに投資するということです。過去の統計によると、いろいろな金融商品の中で、株式は最も期待リターンが高く、平均して6%程度のリターンを出してきたという歴史があります。投資において、株式が王道なのはこれが理由です。

 

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※ジェレミー・シーゲル 株式投資 第4版 より 縦軸は対数

 

そのほかにはどのような投資商品があるかというと、債券のように元本は基本的に返ってくる前提で、着実に分配金を得られるものがあります。ただし、ここもリスクとリターンの関係のとおり、リスクが小さい分、リターンも小さくなります。JPモルガンの資産クラス別の超長期予想期待リターンは下記のようになっています。

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では期待リターンがマイナスとなるのはどのような場合でしょうか? 最も顕著なのは、いわゆるギャンブルです。宝くじは、購入代金の約半分が胴元に取られます。つまり、当選金として返ってくる額を合計すると半分になります。期待リターンは、▲50%ということです。

  • 宝くじ 還元率 46%
  • オートレース 還元率 70%
  • 競輪 還元率 75%
  • ボートレース 還元率 75%
  • 競馬 還元率 70-80%
  • パチンコ 還元率 80-85%

民間ギャンブルはまだ還元率がいいほうですね。官営ギャンブルのボッタクリ度がよく分かります。

 

当然の話ながら、期待値がマイナスの投資商品は、それを続ける限り、結局は資産を減らすことになります。あくまで確率の話なので、儲かる人もいれば損する人もいますが、平均的にはそうなるということです。さらにいえば、平均値と中央値、最頻値の違いなどがありますが、期待値がマイナスの投資には論理的には勝ち目はありません。

市場に打ち勝つのは極めて難しい

そうはいっても、投資というのは将来有望な銘柄を見つけて選んで、それに投資することで資産を増やすことではないか? そんなふうに思っている人も多いと思います。では、将来有望な銘柄を見つける技術と時間、予算に長けているのはだれでしょうか? そう、それ自体を仕事にしているファンドマネージャーたちです。

 

ではそうした素晴らしいファンドマネージャーが運営するファンドは、市場平均に対してどんな成績なのでしょうか? 分析してより良い銘柄をピックアップして投資するファンドをアクティブファンド、そうではなく市場平均に投資する(銘柄選定なし)のファンドをインデックスファンドといいます。

 

下記が、SPIVAによる、米国での結果です。数字は、何パーセントのアクティブファンドが市場平均(S&P500)に負けたかを示しています。グラフでいうと赤い棒ですね。

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1年で見ると、負けたファンドは69.86%ですが、それが3年、5年と長くなるにつれて負けるファンドが増えていきます。5年だと、市場平均に打ち勝つファンドは21%しかありません。

 

日本ではどうでしょうか? 市場環境のせいもあるのでしょうが、この1年では93%のファンドが市場平均に負けているようです。5年間を見ると、米国にほぼ近く75%が負けています。

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「上がる銘柄と下がる銘柄があるように、アクティブファンドについても、上がるファンドをうまく選べばいいのではないか?」という疑問はどうでしょう。つまり、真に優秀なファンドマネージャーが運営するファンドを選べば、市場に勝ち続けられるのではないかという話です。

 

版が古くて恐縮ですが、『ウォール街のランダム・ウォーカー(第9版)』に、1994年からの5年間に最も高いリターンを上げたファンドが、その後の2000年からの5年間でどんな成績だったのかを調べた表が載っています。

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驚くべきことに、上位20のファンドのうち、次の5年もトップ20に残ったものは1つもありません。それどころか100位にも入っていないのです。1位だったファンドは、次の5年で410位(424中)とほぼ最下位まで落ちています。

 

プロだからといって市場に打ち勝つのは極めて難しい。それを考えれば、素人の個人投資家が銘柄を選定して市場に打ち勝つなんて、「たまたま」以上のことは絶対ない。これが、最後の重要なエビデンスです。

「株式」を中心とした「インデックス」に投資する

これらのことから導き出される結論はシンプルです。投資先は期待リターンの最も大きい株式を中心とすること。そして、銘柄選定などは行わず、市場平均であるインデックスに投資すること。これです。

 

そして、過去の株式の平均リターンが6%程度であることを考えると、この方法だけで長期的には6%運用が実現できることになります。

 

意外と簡単でしょうか? いえいえ。これだけで投資を進めても構いませんが、より大きなリターンを得る(同じリターンでいいならリスクを減らせる)には、いろいろな仕掛けがあります。次回は、「投資リターンの9割を決める」と言われるアセットアロケーションについて考えていきます。

 

*1:リターンを、リスクの指標である標準偏差で割ったものをシャープレシオといいます。これは高いものでもだいたい1になります。つまり、リターンと同じくらいの標準偏差(σ)があるということです。リスク、つまり価格変動は68.2%の確率で1σ、95.4%の確率で2σに収まります。つまり、5%のリターンの商品なら、95.4%の確率で上下10%の価格変動に収まるということです。