法人Bに228万円が振り込まれていました。一体何? と思ったら税務署からで、消費税還付金でした。
今回は早かった
法人Aも含めると、消費税還付を受けたのは4回目です。決算を締めて確定申告を提出してから、還付まで何日かかったかは次の通りになります。
- 2019年A 6日
- 2020年A 103日
- 2021年A 74日
- 2021年B 10日
- ※一応、確定申告提出は期限末尾の決算日から2カ月後として計算
法人Bのほうは、まともに消費税還付となったのが今回初めてだったので、こんなにはやかったのでしょうか? ちなみに、株式配当所得税の還付はさらに17日くらい前に来ているので、いろいろと処理が早いですね。
税理士が忙しい月
一般に、税務署は11月から5月が繁忙期だといわれます。2月〜3月にかけて個人事業主が確定申告を出すこと、3月決算企業の確定申告が5月、9月決算企業の確定申告が11月になるからです。また、償却資産税の申告が1月なので1月も忙しいくなります。
逆に、6月から10月は閑散期です。また、7月から12月は税務署も時間があるようで、気合いの入った税務調査に入ることが多いらしいです。一説には人事評価に大きな影響があるからとか。国税局や税務署の定期人事異動は7月10日なんだそうです。
不動産は消費税還付を受けられなくなった
ちなみに、今回の消費税還付は太陽光発電所2基分です。太陽光発電所については、普通に消費税還付を受けられます。聞くところによると、税理士によっては消費税還付を成功報酬としているという話を聞くこともありますが、これはちょっとおかしい。
消費税は、預かった税金を支払うもので、預かった額よりも消費税額控除のほうが大きければ、支払い額がマイナスになります。これが消費税控除です。なので、普通に消費税務を行う税理士であれば、特段特別なことをしなくても還付は行われるはず。
さて、この消費税還付、太陽光発電所では当たり前にみんな受けているわけですが、実は不動産では受けられません。収益不動産は、土地+建物で購入し、建物のほうには消費税がかかります。同じように、この消費税を還付してもらおうと思っても、ダメなのです。
というのは、居住用の不動産の家賃には消費税がかかりません。非課税売上を得るために課税コストをかけても、これは差し引きできない、つまりマイナスにできない、つまり還付はないってことです。ちなみに、店舗や事務所の商業不動産なら課税売上になるので、こちらに関しては普通に建物部分の消費税還付が受けられます。
家賃が非課税売上なので消費税還付が受けられないのなら、何らかの手段で課税売上に変えればいいのではないか? これがちょっと前に流行った自動販売機設置や金地金の売買です。
購入した初年度は非課税売上を発生させず、自動販売機の売り上げ(課税)だけを得ます。課税売上高の割合が95%を超えれば、消費税を全額控除できるというルールの活用でうす。大ブームとなったこの手法ですが、2010年と2016年の税制改正で還付が封じられました。
次に流行ったのが金地金取り引きです。日本は世界では珍しく、金地金取り引きに消費税がかかります。自動販売機スキームの問題は、「不動産購入後の3年通算で課税売上の割合が著しく減少した場合、還付を受けた消費税を返納しなくてはならない」というところでした。つまり、金地金を短期間に売買すれば多額の課税売上を作り出せて、課税売上割合を増やすことができたのです。
しかし2020年度の税制改革でこれも封じられました。居住用の不動産賃貸業における仕入れ税額の控除が一切できなくなったのです。これで完全に消費税還付スキームが塞がれました。
今年も2022年度の税制改正が話題ですが、このように税制の抜け穴をついた節税は、早晩塞がれてしまうものです。こうした節税を加味した計画は簡単に破綻してしまうということです。ぼくは太陽光発電事業を始めるにあたり収支シミュレーションを税金も含めて行いましたが、ここには消費税還付も免税事業者としての益税も試算に含めずに、事業リターンを計算しています。幸いなことに還付は手にすることができましたが、インボイス制度のせいで、益税のほうは厳しい状況です。ほんと、なかなかに税金は難しいものです。