FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

法人2期目決算終了。そこには消費税還付の落とし穴が

法人1号の2期目の決算が終了しました。苦節2年、この3月についに一つ目の太陽光発電所が連携し、初めて売り上げがたった決算になります。太陽光発電所が連携したということは、そう。期待の消費税還付も行われました。ところが、よくよく税理士に話を聞くと、ちょっとした落とし穴もあったのでした。

そもそも消費税還付とは?

消費税還付のおさらいです。売り上げるときに消費税が10%かかり、それは「収入ではなく預かったもの」と説明されることがあります。これだけ聞くと、その10%は納税しなくてはいけないように思ってしまいますが、ちょっと違います。

 

事業を運営するには、どこからか原料や機械を買ったり、外注したりしなくてはいけません。このときの支払にも消費税がかかっていますね。単純に売り上げの10%を税金として払ってしまったら、この原料や機械、外注費を受け取った側も、再びその10%を税金として払うことになってしまいます。消費税の仕組みは、こうした二重課税を防ぐために、コストとして支払った分については売り上げから除外して、収める額を計算します。消費税の仕組みは、付加価値に対する税金なのです。

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これが意味することは、売り上げよりもコストが大きい場合、消費税がマイナスになるということです。つまり、消費税が一部戻ってくるのです。

 

太陽光発電所の場合、売り上げはわずかで、設備購入(1000万〜2000万円)に対して、消費税(100万〜200万円)がかかりますので、だいたいにおいてコストのほうが大きくなります。売り上げが200万円だとしたら、受け取った消費税は20万円。この差額が、納税時に戻ってきます。これが消費税還付です。

 

今回は、3末決算の会社で、3月に連携したので、売り上げはわずか1ヶ月分。そして、発電所設備まるまる一基分に対して消費税がかかっているので、百数十万円の消費税が還付されることになりました。

課税事業者と免税事業者

こうした仕組みの消費税ですが、実は世の中には消費税を収めることを免除されている事業者があります。免税事業者ってやつです。売り上げが年間1000万円未満の場合、この免税事業者を選択することができます。この場合、もらう金額には消費税が上乗せされているのに、消費税を収める必要がありません。なんてお得なんでしょう。いわゆる益税といわれるものですが、インボイス制度の導入が決まり、これも風前の灯火となりました。

 

さて免税事業者はお得ばかりかというと、そうでもありません。消費税の支払いが免除されているので、マイナスの所得税である還付も免除されてしまうのです。

 

ということは、太陽光発電事業の場合、ベストプラクティスはこうなります。

  • 最初は課税事業者で消費税還付を受ける
  • その後は免税事業者になって益税を受ける

免税事業者に戻るための制約

免税事業者と課税事業者をいったりきたりすれば、お得この上ないのですが、そんな裏技は当然認められておらず、いったん課税事業者を選択すると3年間は免税事業者に戻れないという制約があります。

 

ここまでは当然理解した上で、もろもろを設計していました。

  • 設立から3年間 課税事業者で、消費税還付を受ける
  • 3年の間に全発電所を建設
  • 4年目から免税事業者になる

ところが、税理士に改めて確認すると、こうはいかないようなのです。

自己建設高額特定資産については、当該自己建設高額特定資産の建設等に要した仕入れ等の支払対価の額の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間の翌課税期間から当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度の適用及び簡易課税制度を選択して申告することができません。 

※国税庁 No.6502 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除等の特例|国税庁

 ここでいう、「自己建設高額特定資産」とは、要は太陽光発電所です。そして、建設が完了した日以後、3年を経過するまで事業者免税点制度≒免税事業者 になれないというのです。

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つまり、最後の発電所を建設してから3年間は課税事業者であり続けなければいけないということ。今回、2期目の決算が終わりましたが、どんなに順調に建設が進んでも、合計3期間は課税事業者で、免税事業者になれるのは5期目からということになります。もし来年度(4期目)まで建設が遅れれば、免税事業者になれるのは6期目からです。

 

この国税庁の特例は、平成28年4月1日以降に仕入れた場合に適用ということなので、2016年春までは、もっと簡単に免税事業者に戻れたんですね。なかなかやっかいです。

消費税還付の会計上の位置付け

さて、消費税還付ですが、P/L上には記載されません。そしてB/Sのほうには、資産の部の流動資産の中、「未収還付消費税等」という項目で記載されます。還付が完了すれば、現金及び預金に費目が変わり、B/S全体の数値には影響ないという形です。

 

ちなみに現在のB/Sは、純資産がわずかにマイナスの債務超過状態です。まぁ売り上げが立たないまま、2年間経費だけを費やしてきたので、会計上資本金を食いつぶしてしまっているのは仕方ありませんね。会計上というのは、その分役員からの短期借入金が相当な額に達しており、個人と法人を合算したキャッシュフローという意味では、別にそれほどのコストを使ったわけではないという意味です。

 

不動産の場合、土地には消費税がかかりませんし、家賃にも消費税がかかりませんので、通常、建物にかかった消費税の還付を受けるのは困難です。あくまで課税売上の比率で計算されるからです。昔は自動販売機を設置して課税売上を作り出すという裏技が流行りましたが、現在は課税売上比率で見られるのでNGです。直近だと、売買が課税される金(インゴット)を取り引きすることで課税売上を作り出すという裏技が話題になりましたが、2019年9月26日の東京高裁で控訴が棄却され、微妙な封じ込めがされてきました。なかなかに税をめぐるイタチごっこは面白いものです。

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