FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

上司との対立軸 手法、期間、目的の3つの違い

先日、セゾン投資創業者の中野晴啓会長の退任が発表され、話題になりました。というのも、親会社のクレディセゾン社長、林野宏会長氏と対立した結果の解任だというのです。中野氏からも「不本意な退任」という言葉が出るなど、まさにお家騒動的な内容でした。

 

この件について、どっちが正しいかを論じることはあまり意味がないと思っています。一方で、「ああ、そういえば上司と対立するときって、似たような論点があったなぁ」というのを思い出しました。

上司と意見が対立するとき

勤め人というのは組織の一員なわけで、つまり必ず上司が存在します。現場の平社員なら課長が上司だし、課長にも部長という上司がいるし、部長にも本部長とか社長とかが上司です。さらに社長にも株主(が選定した取締役)という上司がいます。

 

そして組織の意思決定は、上司から降りてくるものと、現場が考案して上司に提案するものの2つがあるでしょう。そして、いずれの方向であっても、上司と自分とで意見が合わないときがあります。

 

上司:「今期は新規顧客開拓に注力する。100社へのアプローチを目標とする」

 

部下:「今現場は既存顧客のサポートでパンパンです。ここに新規顧客開拓なんて無理です。人員を増やしてください!」

 

こんなやり取り、よくありますよね。ただこれは対立というよりも、立場の違いによる議論であって、結局は部下が折れるのが流れです。なだめすかされるか、強引に強権発動するか、やり方はいろいろですが、部下の労務量をコントロールするのは上司の仕事であって、人員が足りているかどうかを判断するのは現場ではないからです。

「手法」の違いで対立する

しかしもう少し”意識の高い”部下だと、違ったアプローチで上司と意見対立する場合があります。

 

上司:「今期は新規顧客開拓に注力する。100社へのアプローチを目標とする」

 

部下:「今期の最重要ゴール、KGIはなんですか?」

 

上司:「売り上げの拡大だ。前年比130%を目指す。そのための新規開拓だ」

 

部下:「でしたら、100社へのアプローチではなく、既存顧客へのアップセルとクロスセルを強化したほうが、実現性が高いのではないでしょうか。むやみにアプローチ数を増やして無駄玉を打つよりも、確実な顧客獲得を目指すべきです」

 

これは、ある意味同じ方向を向いた”議論”になります。2人が話しているのは「手法」の話で、ある意味立場は同じだからです。ただし、まともな上司なら既存顧客単価向上ではなく新規顧客数を目標にした理由があるものだからです。例えば、となりの営業部はアップセルに注力し、当営業部は新規顧客に注力するよう、上から方針が示されたとか。

「期間」の違いで対立する

もう少しレイヤーが上がると、対立軸がちょっと変わってきます。よくあるのが「期間」です。

 

社長:「この事業も3年目だな。今年度で黒字にするように」

 

部長:「いえ、お言葉ですがまだまだ売り上げは対前年200%で伸びていて、いまはまだ黒字化よりも売上拡大に注力すべきです。市場も拡大していますが、我が社はトップシェアを狙える位置にあります」

 

社長は早期黒字化を指示しますが、部長はもう少し赤字を掘って、数年後により大きな黒字を出したいと主張します。これは期間の対立です。経営方針を議論するようなレイヤーだと、こんな対立が増えてきます。

 

しかし当然社長にも黒字化を急ぐ理由があるのです。例えば、親会社が株主に増益をコミットしていて、子会社にも最重要ミッションとして利益が降りてきている。売上拡大のチャンスを捨ててでも、今期はグループとして利益拡大のほうが重要だというわけです。

「目的」の違いで対立する

さらに上のレイヤーになると、事業そのものの運営意義の観点で対立する場合があります。

 

社長:「われわれの事業は単なる金儲けではありません。日本の文化を支えており、安定と信頼がわれわれのブランドを支えています。そもそも、我が社の顧客は理念に賛同して集まってきたもので、売り上げ拡大のためにそれを裏切ることはできません」

 

親会社の社長:「何を言っているんだね。我々は営利事業をやっているのであって、ボランティアでも文化事業でもない。キミの仕事は社会に貢献する前に、利益を上げて株主に貢献することだ」

 

どっかでありそうな対立です。これはある意味両方とも言っていることは正論です。しかし、上場している以上、利益拡大を求める株主を裏切ることは、株主から委任を受けた取締役の善管注意義務に違反するでしょう。

好きにやりたいならオーナーになる

もし利益よりも社会貢献を重視したいなら、それはMBOなどですべての株を買い取って、100%オーナーとなった上で好きなようにやればいいわけです。社長は手法に関しては裁量を持っていますが、期間については株主の理解を得なくてはならず、目的についてはそうそうひっくり返すことはできないのです。そこには冷徹な資本の論理があります。

 

ぼくは新卒で会社員になってから、そこそこ組織の階段を登り、「社長も株主の意思には逆らえないんだなぁ」と実感するくらいの立場に至りました。どこまで行っても、権限は確かに拡大するものの、究極のところの意思決定は上から降りてくるもので、自由がない。そんな体験も何度もしてきました。

 

一方で、組織を離れると、まさに自由です。手法は自分の好きに選択できますし説明責任も説得する必要もありません。期間だって思うがままです。すぐに黒字になるような事業を行うもよし、10年後に大きく花開くのを夢見て赤字のまま続けたっていいのです。さらに、なんのために事業をやっているのかだって自分で決められます。別に利益が出なくても、顧客と良い関係を築きながら楽しくやれればいい、そんな方針だっていいわけです。

 

ぼくがマイクロカンパニーを好きなのも、もし人を雇ってしまったらこの自由が少しずつ毀損するのを恐れているからです。従業員に頑張って働いてもらうには、事業の意味や意図を理解して納得してもらう必要があります。正当な評価も必要です。そうしないと人は本質的には頑張れないのです。でも、そうしたアクションこそ、自分が組織の中で長くやってきて辟易したことの筆頭。だからこそ、人を雇わない、別に利益を求めなくてもいい、自分がいま大事だと思うことを行えるマイクロカンパニーって素晴らしいわけです。

 

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