先日、「若い女性は正社員として雇用しません」というツイートがあって、ついムカっとした反応をしてしまいました。
こういう会社は、優秀な男性も入社したがらないだろうなぁ。
— セミリタイア九条 (@kuzyofire) 2023年2月7日
差別をし、ブラック労働が前提でなければ存続できない企業なんて、淘汰されたほうが良いんじゃないかと思う。
(つい、批判的になってしまいました。スミマセン) https://t.co/zhR86qR3IP
ところがですね。実は本音では同感ですという人がけっこう多いようなのです。
産休や育休は「大企業が前提」
投稿主の理屈はこうです。
「大企業なら1人辞めても代わりはいくらでもいますが、うちのような弱小企業の場合、1人がいなくなると大打撃なんです なので、結婚して辞めたり妊娠出産で長期で休む可能性の高い若い女性は、本当に申し訳ないのですがうちでは採用できなくて、、、今まで全部お断りしてます」
女性は女性だからという理由で採用しないそうです。その理由は、自社が中小企業で耐えられないから。
これを「確かにそうだ」とか「自分も経営者だったらそう思う」という共感がけっこうあるようです。
いやでもちょっと待って。極端な例ですが、最初のツイートを奴隷制度で置き換えてみましょう。
批判覚悟ですが、私は、退社されると困るので、奴隷以外は正社員として雇用してません
本音は雇ってあげたいし心苦しいのだけど、うちのような弱小企業では雇う余力がありませんこういうところに政府の助成金を出してほしいと思う
普通の人間を雇うと、人権とか言い出したり退職したりするので、奴隷以外は雇えません。奴隷制度を廃止するなら政府の助成金を出してほしい。
極端な例ですが、論理の構造としては同じです。自分の都合しか考えていないわけです。
こういう会社のほとんどは、まず間違いなく有給が使えません。多くの場合、サービス残業も暗黙の前提になっているでしょう。三六協定? なにそれ? という感じ。いわゆるブラック企業の仲間です。
中小企業はどうするべきか
では若い女性を雇って寿退社されると会社が傾いてしまうような中小企業はどうすればいいのでしょうか。自分も中小企業の経営者として言いますが、誰も雇わなければいいのです。体力がないのは大企業のせいではありません。あなたが経営している企業の効率と競争力が低く、社員を搾取しないと継続できない状況にあるからです。
ブラック企業であり、社員の搾取が前提で存続できている中小企業なんて、淘汰されるべき。そう思うわけです。それを政府のせいにしてはいけません。
デービッド・アトキンソン氏は次のように書いています。
企業の規模が小さいほど生産性が低くなるというのは、世界中で確認できる経済の鉄則です。この鉄則にのっとり、先進国では小規模事業者で働いている労働者の割合が大きくなるほど、その国の生産性は低くなっています。
中小企業が合併して大型化せず、効率の悪いまま自主独立でいこうとするのはなぜでしょうか? 僕が知る限り、その理由のほとんどは経営者のエゴです。誰かの指揮下に入るより、小さくても一国の主でいたい。そんな思いが、経営統合を嫌い、M&Aを「身売り」と呼ぶ風潮につながっています。
でもその一国がどうやって存続できているかといえば、大企業に比べて待遇が悪く、有給や育休さえまともに取れない劣悪な労働条件で、社員を働かせているからです。それを改善しようとすれば、経営者から出てくる言葉はこう。「うちのような中小では、そんなことをしたら潰れてしまう」
そんな中小企業はさっさと潰れるべきだと、ぼくは思います。