FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

当初のライフプランシミュレーションと何が違ったか 完全FIREへの道(6)


経済的に自立(FI)した上で、退職に限定せず好きな仕事で働く(RE)
ことがFIREだと思っていますが、今回サラリーマンも退職し、世間的な意味で完全FIREすることにしました。

 

ちょっと昔のフォルダを眺めていたら、セミリタイアを決断したときに行った自作ライフプランシミュレーションの結果が出てきました。2018年なので、ちょうど5年前です。このときどういう試算をして、実際のところはどうだったのか、振り返っておきたいと思います。

2018年のライフプランシミュレーション

ライフプランシミュレーションというのは、収入と支出から収支を出して、それによる資産の増減を予測するものです。だいたいは100歳くらいまでの試算を行い、そこまで資産が持てばOK。ダメならば、資産運用を行ったり、支出を切り詰めたり、退職を遅くしたりして帳尻を合わせるというものです。

 

ところが、以前にこちらの記事にも書いたように、既存のライフプランシミュレータには問題があって、FIREには利用できません。次のような課題があるからです。

  • 60歳以前の退職が設定できない
  • なぜか初期資産額に上限がある。例えば1億円とかが設定できない
  • 運用収入を設定できない場合が多い

となると自分で作るしかないということで、作成したものが下記です。収支が青線で、マイナスなら残高が減っていきます。収支のマイナスを小さくすることで、死ぬまで残高が持てば勝利というグラフになります。

ざっと内容を見ると、2018年にセミリタイアするため収入が激減します。さらにその2年後、2020年には完全リタイアし、ほぼ労働収入がなくなります。代わりに得られる収入は、資産からの運用益です。税引き後3%の設定にしました。配当なのか取り崩しなのかは意識していません。シミュレーション上は、この3%を収入に組み入れています。

 

収支は完全リタイアするとすぐに赤字に転落します。そして、子供の教育資金がちょうど増えていくタイミングでもあり、赤字額は相当な額が続きます。このままだと資産が持たないぞ……というところで、2035年に急激に収支がプラスになるのは、15年が経って太陽光のローンが完済し、キャッシュフローが大きくプラスに転じるからです。

 

ただし太陽光のボーナスステージはFITが継続する最後の5年間のみ。シミュレーション上はその後太陽光は無収益としました。一方で、それと入れ替わるように企業型DCが満期となり、これまで積み立ててきたものが入金となります。併せて、積み立てている個人年金保険も満期となって受取が始まります。

 

その後、繰り下げを行った厚生年金の受給がスタートです。これにより収支はだいぶ改善し、少々の赤字で推移します。赤字なので資産額は徐々に減少していき、そのために資産からの収入も減少。わずかづつ収支の赤字額は拡大していきます。

 

2058年にポンと収支が飛び出ているのは、終身保険を解約して返戻金を受け取る想定です。こちら予定利回り4%のドル建て終身で、けっこうな額になっている予定です。そこから資産は減り続け、2068年についに底を付く。こういう計算です。

現実はどうだったか?

このような皮算用を行って、まぁキャリアを降りても問題ないし、税引き後3%ならどのようにでも運用できるだろうということで、FIREしたわけですが、実際はどうだったでしょうか。

 

このように徐々に資産が減少するシミュレーションに対して、大きく資産が増加し、直近はSIMの約1.9倍となっています。

この理由はいくつかあります。

  • 市場がよく3%以上のトータルリターンで運用できた
  • 2年で完全FIREする計画だったが、結局5年間サラリーマンを継続した
  • コロナ禍となり生活費がシムの8割〜9割となった

この中で最も大きな要因は、やはり運用の好調です。増減はあるもののやはり3%よりぜんぜん高いトータルリターンとなっています。さらにシミュレーションにはなかった不動産の購入もあり、インカムゲインだけでも利回りは2.7%になっています。つまり市況の変化によるキャピタルゲインに左右されずに2.7%は得られるというわけでです。

シミュレーションとの差異

そのほかにもシミュレーションとの差異をチェックしておきます。

 

まず企業型DCは、シミュレーション時の額を大きく上回って推移しています。現在の時価でもシムの1.6倍、このまま年率3%で増加したとしても、受給額は当初のシミュレーションの2.5倍程度になりそうです。

一方の生活費はほぼ計画通りです。子供が大きくなってきたこともあり、広いところに引っ越すことを想定して計画していましたが、実際は引越が1年後ろ倒しになりました。過去数年はコロナ禍のために生活費が減っていましたが、ここからは逆にアクセルを踏んで生活費を増やしていきたいところ。

 

厚生年金は、同じ繰り下げ70歳の前提で、シミュレーションよりも16%多い受給額となります。これはサラリーマンを予定よりも3年長く続けたことと、FIRE後も厚生年金に加入する方針が影響しています。当時から5年が過ぎて、年金のシミュレーションも精緻になりました。

生命保険については確定給付なので影響はありませんが、ドル建てだということで上ブレしています。シミュレーションでは1ドル100円で試算しました。ところが現在は140円なので4割上ぶれている形です。ただこれを受け取るのはさらに15〜20年後なので、その時の為替レートは分かりません。

保守的すぎるのも考えもの

5年前のセミリタイア時のシミュレーションと、現状を比較してみました。最も感じたのは、リスクを織り込んで保守的な計画にしておくのも重要だけれど、そうすると機会損失もあるということです。

 

昨日、「日本人は死ぬまで資産が増え続けている」という記事を書きました。ぼく自身はDIE WITH ZEROに共感していて、死ぬときまでに資産を使い切りたいと考えています。ところが、今回のような状況だと、資産が減るどころか増えてしまうわけで、まさに典型的な日本人のようになってしまいます。

 

「増えるのは別にいいじゃないか」という意見もあるかと思いますが、そこにはいくつかの問題があります。

  • もっと早くFIREできたのではないか。無意味にサラリーマンをしてしまったかも
  • もっと豊かな暮らしができるのでは。若いうちのほうが消費を楽しめる
  • 投資にリスクを取りすぎなのでは。もっとリスクを抑えたポートフォリオでもいける

まず5年前にセミリタイアして、今回完全FIREしたわけですが、もう数年全部を前倒ししてもよかったという後悔があります。これが機会損失です。

 

また同じ消費なら若いときのほうが得るものが多いというのが実感値です。年をとるとお金を使おうと思ってもそうそう使えなくなります。例えばぼくはクルマが好きで何台も買い替えてきましたが、セミリタイアのちょっと前に憧れだったスポーツカーを買いました。当時としては、ちょっと誤差ではない金額で、目に見えて資産額がガクっと減ったわけですが、今思い返しても、買って本当によかったなぁと思っています。体力も反射神経も衰えてきた今では、スポーツカーでサーキットをガンガン走ることを楽しめるという気がしません。あのときがラストチャンスだったということです。

 

最後のリスク量は深い問題です。FIRE者にとって最大のリスクは、生きているうちに資産がなくなること。これを防ぐには適切な資産運用が重要ですが、リスクを取りすぎると今度は資産が減少して想定よりも早くなくなってしまう可能性が高まります。本当は、国債運用と取崩しだけで賄えればほぼノーリスクなのですが、インフレや為替のリスクも考えるとそうもいきません。それでも、こんなに資産額が増えてしまうというのはリスクをとりすぎの可能性が高い。やはりもう少し債券の比率を上げて、株式の比率を落とすべきだと、理性は囁くのです。

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