毎月恒例の投資成績コーナーです。前月に「嵐の前の静けさ?」と書いたように、株式市場はけっこう荒れていて、損失を被った人たちがけっこういたようです。そんな中、ぼくのポートフォリオは年初来高値更新、ヒストリカルハイまであと一歩というところまできました。
どうしてそうなるのか? ポートフォリオを見ながら分析していきます。
資産全体は+2.56%
市場にはいろいろと不穏な動きもありますが、現在のところ2023年は好調な年です。10月は2.56%総資産が増加し、年初来では+18.72%となりました。
セミリタイア後の総資産の変化を月次でグラフにしたものが下記です。2021年に大きく増加し、2022年は減少。2023年はそれを取り戻しつつあることが分かります。
とはいえ、そのリターンの多くは為替です。円建てではヒストリカルハイまであと一歩となっていますが、ドル建て総資産は低迷しており21年初頭のレベルで横ばい。今年の好調は一重に為替といって差し支えありません。なにしろ為替だけで15%もプラスになっているのですから。
もちろん僕の資産のうち、ドル建ては41%なので円安効果も4割程度。つまり年初からの+18.7%のうち6%くらいが為替効果だということです。
直近では、再びドル円は150円を超えてきました。日銀政策決定会合でYCCの許容上限をさらに上げてきたのに、噂で円高になり発表後は円安で全戻し、翌日にはさらに円安が進んでしまいました。財務省の介入もなかったようで、150円台で安定しちゃっている感じです。
通貨別の状況はこんな感じ。バランスはいいと思っていますが、ちょっとクリプト比率が高いかな。5%くらいが心地良いイメージです。
セグメント別の比率推移は次のようになります。価格下落が進む中、徐々に債券比率をアップさせてきて、現在約10%。現金比率は徐々に低下して13%まで減りました。
ポートフォリオを商品別にまとめると次のようになります。地名は不動産と発電所です。銘柄単品で最大ボリュームなのはBTC、続いてETH。株式では(幻の銘柄である)ARCCになっています。
セグメント別リターン
続いて各セグメントをブレイクダウンして見ていきます。現金およびマーケットニュートラルの短期売買を行う「オルタナティブ」、金と仮想通貨の「ヘッジ」、太陽光と不動産の「リアルアセット」、そして「株式」「債券」の5つです。
今月は株式と債券が低調。その一方で金とクリプトからなるヘッジセグメントが15%も増加しました。年初来だとヘッジは79%も上昇しており、今年の資産増加の立役者は金とクリプトです。
それぞれのセグメントのボリュームに応じて加重平均し、月間成績への貢献度をグラフにしたのがこちら。プラスになったのは全体の15%ほどを占めるヘッジセグメントのお陰でした。
10月の売買は、各証券会社でのインデックス投信クレカ積み立て(楽天証券(キャッシュ/カード)、SBI証券、マネックス証券、カブコム証券、tsumiki証券、CONNECT証券)の合計35万円。そこにPayPay証券/PayPayカードのクレカ積立を追加したので、11月からは月40万円となります。
そのほかの売買は、Siiiboの私募とFundsのクラファンの購入です。低利回りのフィクスドインカムで、ローンを繰り上げ返済したほうがいいんじゃないか? と悩みもしたのですが、期限の利益を活かすべく、3%強のリターンがあって年限が短ければ少しずつ買い足していこうかとも思っています。
株式セグメント ▲1.4%
株式セグメントはわずかに減少しました。日米欧ともに指数は下落した一ヶ月だったのですが、実はハイテクグロース系が頑張ってくれて少しだけプラスになっています。といっても円安になった為替効果を除けば減少なわけですけど。
内訳を見るとGoogleが5%下落した反面、Amazonが5%弱の上昇です。年初来で見ると、Amazon、Google、Metaともに大きく伸ばしていて、特にMetaの上昇が素晴らしいです。
現在の株式ポートフォリオは次のようになっています。Metaを少し売って5%くらいに抑えてもいいですね。
債券セグメント ▲1.77%
債券は引き続き厳しい状況が続きました。2年ものこそ金利は横ばいでしたが、長期金利の上昇が続きました。イールドカーブ的には逆イールドが解消される方向なわけですが、債券価格的にはさらに下落が続いたということです。
もしFRBが利下げしても、短期金利が下がるだけで長期金利は横ばい? イールドカーブが正常化して立つならそういうことにもなるわけで、債券投資はけっこうキツイですね。
というわけで、ぼくの債券ポートフォリオも全滅です。青はドル建て、緑は円建てですが、まぁ酷い有様。3倍レバ超長期債のTMFなんて、この1ヶ月だけで▲17.4%です。
現在の債券ポートフォリオは次のようになっています。十把一絡げに債券と呼んでしまっていますが、リスクファクターはけっこう違っていて、ハイイールド債やARCCは、市場状況に連動した信用リスクをかなり負っています。
金利が高止まりしたときには、最初に反応するのは借り換えができなかったハイイールド債の発行体で、要するに最初にダメージを受けることになります。ハイイールド債が景気において炭鉱のカナリアだといわれる所以です。逆にいえば、ハイイールド債が無事なら景気はまだ大丈夫ということでしょうか。
ハイイールド債の分析はけっこう難しくて、低金利環境でリファイナンス(借り換え)が行われた結果、多くの社債の満期はけっこう先。24年中に利下げが行われるならハイイールド債のリスクも低いのかもしれません。
※ハイイールド社債投資を検討すべき5つの理由 | アライアンス・バーンスタイン株式会社
リアルアセット +1.74%
リアルアセットの資産価値は、DCF法による資産価値+当月生まれたキャッシュの合計で計算しています。今回わずかに上昇しましたが、まぁ誤差? といえる額でしょうか。
太陽光と不動産のDCF評価額の推移をチャートにまとめると次のようになります。太陽光は順次連系していったので評価額合計が増し、しばらくは発電量平均が安定するまでに上限しました。不動産の方はわずかながら価値が上昇していますが、これは10年後売却を前提としてDCF評価していて、その売却益の割引額が小さくなっているせいかと思われます。
DCFでは割引率を6%に設定していますが、太陽光のCF(返済額控除後)は年間約13%で推移しています。また太陽光は20年後に向けて価値がゼロになっていくため、基本的には時間が経つほど価値が減るはずですが、16年〜20年目はローン返済がなくなってからのボーナスステージなので、そこの割引額が減ることとの綱引きなのかな? という感じです。
ヘッジセグメント +15.34%
ヘッジセグメントは大きく伸長し、+15.34%となりました。株式も微妙な雰囲気で金利も上昇してしまう中、金・クリプトともに好調な相場でしたが、特に伸びたのがビットコインです。実に月間で+29%です。
ビットコインは年初からだと2.4倍になっており、だんだんと最高値更新も視野に入ってきました。
記事にも書いたように、基本的にはビットコインETF承認の機運によって価格が上昇していると思われます。そしてETFが承認となれば、機関投資家や株式税制/コンプライアンスの下でビットコインを購入したい人たちの需要が入ってきます。承認後、事実で売られて少し下落するでしょうが、その後、もう一弾の上昇が期待できると踏んでいます。
クリプトの好調により、ほぼ1:1:1だった金インゴット:BTC:ETHの比率が崩れてきました。少しリバランスでBTCを売ってもいいかなと思う気持ちもあるのですが、税金のことを考えると、詳細な事前計算が必要そうです。
今後の方針
まず、完全FIREしたということもあり、アセットアロケーションを低ボラティリティ方向に組み直すことを考えています。具体的には、バケツ戦略をアレンジして実行する想定です。
その上で、目標アセットアロケーションに向けてリバランスするわけですが、
- クリプトの比率が高いので少し売却(5%程度に)
- 債券比率を10%→20%に
- 株式比率を少し下げる
というアクションが必要です。ここで問題になるのは税金と、来年から始まる新NISA。これに向けて株式のポートフォリオが大きく変わるのです。
そんなわけで、そろそろ重い腰を上げて、
- FIRE後のアセットアロケーションと取崩し戦略
- 具体的なリバランス手法
- 具体的な新NISA戦略
を考えていく必要があります。いや、これは大変だ。
- このポートフォリオには、生活防衛資金、企業型DC、各種貯蓄性保険、年金、家族の資産は入れていません
- 株主優待は現金化したもの以外、資産計算していません。取得コスト分だけ資産にマイナスの影響が出ています(ここは今後検討です)
- 含み益も資産として計算されているので、ここから税払いが発生する場合があります
- 法人と個人の資産を合算しています
【先月、2023年9月の成績とポートフォリオ】