FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

マイベスト投資本 入門から上級編まで

インデックス投資家の多くが、その理論的な背景と心の支えを書籍におっています。何に投資してどのように売買するのかという投資哲学を、書籍から学んできたわけですね。ぼくも同様に、素晴らしい書籍から投資を学んできました。マイベスト投資本を紹介していきたいと思います。

最初の一歩の入門書

 最初に紹介するのは、投資の初心者の方向けです。難しい言葉は使わず、「投資とは何か」を概念的に分かるものが向いていると思います。

 

『ほったらかし投資術』は、インデックス投資ブロガーの水瀬ケンイチ氏と経済評論家の山崎元氏の共著です。世界全体を買って、買ったら売らないで持ち続けるというインデックス投資について、たいへんわかりやすく書かれています。ここに書かれている手法通りに投資すれば間違いはありません。

全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

 

 株式投資やインデックス投資に限定せず、資産運用が何を意味しているのかを教えてくれたのが『金持ち父さん 貧乏父さん』です。自分の代わりにお金が働いてくれること。そんな形を作り出すことが、人生において重要だと、豊富な例で説明します。こちらの本の手法については、時代の違いもありますし、賛否両論ある内容だと思います。心構えのために一読することをオススメします。

改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)

改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)

 

人によっては、投資の手法自体よりも、その前提となっている金融理論に関心が向かう場合があると思います。こんなブログを書いているぼくもその一人です。金融理論、ファイナンス理論の本はいろいろありますが、比較的気楽に読めて、しかも幅広く全体像を網羅している一冊として、こちらの『ファイアンス理論全史』を挙げます。

書評:『ファイナンス理論全史』

ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質

ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質

 

 

一度は読んでおきたいバイブル

 入門書で一通りの概念を学んで、もう少し詳しく知りたいと思ったら個別の投資法のバイブル的な本に手を出してみましょう。資産運用を実践する上では特にこれらの本を読む必要はないかもしれませんが、自分でしっかり理解できる人は、その後もブレなく投資を継続できます。

 

雰囲気で始めた人は雰囲気で止めてしまうということです。

 

『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、インデックス投資家にとってのバイブルです。11版を重ねバージョンアップしています。なぜインデックスファンドが最良の投資なのかを豊富なデータとともに解説しています。正直いって大部です。読むのはたいへんだと思いますが、長時間かけても読んだらそれだけの内容があると分かるでしょう。 

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理

 

 『株式投資』は、世界各国の過去のデータをもとに、どんな投資をしたら最もリターンが高くなるかを解説した本です。結論を一言で言えば「株式を買え!」なのですが、そこに至るさまざまなデータ=エビデンスが素敵です。日本の投資本は、誰か一人の成功体験をもとに「俺はこうして成功した」というものが多く、たまたまじゃないの? という疑問がつきまといます。豊富なデータをもとにしたこうした本は本当に貴重です。

 

株式投資 第4版

株式投資 第4版

  • 作者: ジェレミー・シーゲル,藤野隆太,林康史,石川由美子,鍋井里依,宮川修子
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2009/07/23
  • メディア: 単行本
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投資系のノンフィクション、物語

投資理論はともかく、プロが現場で使っている実際の投資手法は、かなり枯れてから書籍などになるのが普通です。比較的直近のプロが使っている技、プロの考え方はどういうものなのかを知るには、金融系のノンフィクションが向いています。中でも、もともと債券トレーダーだったマイケル・ルイスの本はたいへんおすすめです。

 

高頻度取引(HFT)という言葉を聞いたことがあると思います。なんかものすごく高速に何度も取引するんでしょ? くらいのイメージでいましたが、本書を読んで世界が一変しました。例えば、ある株を成り行きで買おうとする注文が出たとします。その注文が約定する前に、先回りしてその株を買い、少しの利ざやを乗せて注文にぶつける。こんなことをHFTではやっているのです。この作戦の実現には、取引所との通信速度を極限まで小さくしなくてはなりません。 そのために取引所間を直線距離で結ぶ自前の光ファイバーを敷く、そんなシーンから本書は始まります。

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

 

 

 マイケル・ルイスからもう一冊。こちらは、リーマンショックの際に、見事な空売りで財をなした人たちのノンフィクションです。サブプライム住宅ローンの登場、ローンを小口に売りさばく証券化の手法、その証券を切り刻んでミックスすることで高い格付けをつけるCDOという手法、それらの金融商品が発達するなかでリーマンショックの基礎が築かれたことが紹介されます。さらに、CDOに対する保険であるCDSが作られ、このCDSを売ることが、実質的にサブプライム市場をショート(空売り)することになりました。複雑な金融商品がどうやって作られ、なぜそのリスクを誰も把握せず、そしてどうやって空売りで儲けたのか。それが順を追って語られます。

HFTについて調べたことをまとめました

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

 

次の一歩を踏み出すための上級書

 ファイナンスを調べだすと、もっと上級の、込み入った話も読みたくなります。

 

『天才数学者はこう賭ける』は、賭けごとを数学的に解析した数学者の本です。賭け事と投資は違うと何度も書いてきましたが、どちらも数学的には確率が基礎になっています。確率的にプラスなのが投資、マイナスなのが賭け事。とすれば、確率を知ることで、有利に投資をすすめることができます。たとえば、勝率が60%、負ければゼロ、勝てば2倍になる投資先があったとします。何度でもこの投資が可能だとして、全資産の何パーセントを1回に賭けたら、最も効率的か。これはギャンブルではケリー基準として知られる数学です。

天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話

天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話

  • 作者: ウィリアムパウンドストーン,William Poundstone,松浦俊輔
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2006/11/01
  • メディア: 単行本
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株式投資の過去事例についての本はたくさんありますが、株式のデリバティブであるオプションについては、エビデンスとともに考察した本はほとんどありません。というか、英語ばかりです。この『東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法』は、現物株+コールオプションの売りを組み合わせた、いわゆるカバードコールが、いかにプラスのリターンを出してきたかをエビデンスを元に解説する本です。

書評:オプションを学ぶための入門書 5選

 

東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法

東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法

 

 

投資手法の1つに不動産があります。不動産は、大きな借り入れが使え収入が安定しているという特徴がある一方、 最大のコストが税金であることは意外に知られていません。また、不動産投資のリターンは収益利回りから借り入れ金利を引いた差の部分で、これをキャッシュで受け取ったり、借入金の返済によって純資産を増やしたりして利益を得ていきます。多くの投資家が気にする借り入れ期間は、リターンをキャッシュ(手残り)で受け取るのか、純資産増加で受け取るのかの違いであることは、本書『Excelでできる不動産投資「収益計算」のすべて』で不動産の収益構造を理解するとよく分かるようになります。

参考:不動産投資は実は利回り4%程度 レバレッジが必須の理由

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

 

 

 投資信託の信託報酬や、株の取引手数料を気にする人も、意外と税金には気を配っていないものです。ところが、投資においても税金というのは大きくリターンをむしばコストです。そして、日本の個人の投資税制は投資先によって通算可否も税率も違うのです。これをうまく理解することで、大きく投資のパフォーマンスを上げることができます。投資の税金に特化して、かつ実践的に書かれた本は稀で、その意味で本書は重要な上級編だといえます。

ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金篇 2016

ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金篇 2016

 

 『世界のエリート投資家は何を考えているのか』は、コーチとして有名なトニー・ロビンズが成功した投資家にインタビューした本です。投資家といっても、世界最大のヘッジファンドマネージャーのレイ・ダリオのように、世界トップクラスが登場するのが最大の特徴。そして、難しい話ではなく自分の子供に一言で投資で成功する方法を説明するとしたら? といった感じで、平易に聞き出すところはさすがです。レイ・ダリオのポートフォリオの作り方の章は、一読の価値があります。  

書評:経済的自由の5つのレベル 書評:『世界のエリート投資家は何を考えているのか』

世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)

世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)

  • 作者: アンソニー・ロビンズ,山崎元,鈴木雅子
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2017/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 投資の初心者は、株がまっとうなもので、先物やオプションのようなデリバティブは、「派生商品」という名のとおり株をもとにしてできた特殊なもののように感じてしまいます。ところが、その本質を見ていくと、オプションこそが投資商品の本質で、その組み合わせで株式などが成り立っていることが分かるようになります。オプション取引をするかどうかは別にして、金融商品の本質は何で、どのようにその値段が決まるかを、高度な数式なしで理解するには最適なのがこの『金融危機の本質は何か』です。 

書評『金融危機の本質は何か ファイナンス理論からのアプローチ』はオプション本だった 

金融危機の本質は何か

金融危機の本質は何か

 

投資に役立つ思考の参考に

企業や商品への投資は、その人の世界観を如実に表すと思います。世界はどう変わっていくのか、新しい世界ではどんな価値が重視され、どんなサービスが求められていくのか。投資というのが、未来の成功を現在のお金に変えるものである以上、この先をどう考えるかが重要になります。それを占う上で、『ホモ・デウス』は1つのシナリオを提示します。一言でいえば「データ至上主義」。僕が、GoogleやFacebook、Amazonに投資し続ける理由がここにあります。 

書評:意識は脳のバグなのか? 『ホモ・デウス』が示唆するもの

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 

 2000年頃からインターネットは世界のあり方を大きく変えてきました。技術プラットフォームが世の中のあり方を変えるということを目の当たりにしてきました。同じように、Bitocoinが生み出したブロックチェーンは、インターネットに匹敵する変化をもたらすと考えています。それはなぜか? 本書『仮想通貨革命』はBitcoin暴騰の3年も前に書かれた本ですが、仮想通貨の世の中への影響をいま読んでもわかりやすく描いています。

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

 

 投資と経済は切っても切れません。経済というのは端的に言えばGDPであり、GDPとは新たに生み出した付加価値であり、付加価値は投資家の取り分である企業利益と、労働者への給料に分かれるからです。本書『21世紀の資本』は、r(資本収益率)>g(経済成長率)の式ばかりが有名ですが、じっくりと読むと、過去の経済の仕組みが、数式ではなくエビデンスに基づいて分かるように書かれています。経済学の多くは、モデルを数式で作って考えるものですが、本書はエビデンスメインなところにエッジがあります。

書評:ピケティの言う「r > g」で、なぜ r は g よりも大きいのか?

21世紀の資本

21世紀の資本