今回ちょっと変わったことにトライします。日経平均指数について、信用取り引きと先物でクロスポジションを建てるという実験です。なぜそんなことを?と思うでしょうが、税金にからんだ、ちょっとややこしい理由があるのです。
先物の損失をなんとかしたい
投資の税金はそこそこ複雑なのですが、大きく分けると、株式の箱と、先物取り引きの箱に別れます。利益と損失が出た場合、この箱の中でのみ、通算することが可能です。逆に言うと、「株式で100万円利益が出て、先物で100万円損失が出た」場合、通算できれば差し引きゼロで税金も不要です。ところが、実際は通算できないので、利益分に税金がかかってしまうのです。
ぼくの場合、18年2月にVIXショックをくらい、先物の箱で大きな損失を出しました。確定申告で繰り越してきましたが、いまだにこの損失を埋めきれていません。一方で、株式の箱のほうは、コロナショックなどもあったものの実現利益はプラスであり、税金を払わなくてはいけない状況が続いています。
これをなんとかしたいというのが今回の取り組みです。
日経平均をクロスする
考えたのは、株式の箱と先物の箱で、それぞれ同じ商品を売り・買いすることです。日経平均ETFを買い、同額日経平均先物を売れば、日経平均が下がっても上がっても、資産全体としては増減はありません。
ただし各箱の状態は変わります。例えば日経平均が下がった場合、各箱の状態はこうなります。
- 株式の箱 マイナス
- 先物の箱 プラス
これは、先物の損失を株式に付け替えるのと同じです。これによって、実質的に損益通算をしてしまおうというわけです。ただし、日経平均が上がってしまった場合、逆に株式の箱でプラスが出て、先物の箱でマイナスが出てしまいます。こうなるとさらに状況は悪化するという可能性もあります。
↓以前、法人と個人の間で利益を移転する方法を検討しました。今回はこれの応用ですね。
短期で上昇、中期で下落
日経平均が上がっても下がっても資産全体への影響はありませんが、施策の目的からすると、相場がどちらに動くかは非常に重要です。ぼくの相場観では、日経平均は短期では上昇、中期では下落です。短期狙いでポジションを作るとなると、
- 株式の箱 売り
- 先物の箱 買い
となります。ではどんな商品を使うか。次のような選択肢があります。
- 株式の売り 日経225インデックスETFの空売り / 日経225インバースの買い
- 先物の買い 日経225先物の買い
先物のほうは、ミニかラージかの選択肢がありますが、ボリュームと手数料の違いくらいです。今回先物はGMOクリックを想定していますので、次のようになります。
- 日経225ラージ 日経平均の1000倍 2317万円分のポジション(220円)
- 日経225ミニ ラージの10分の1 231万7800円分のポジション(37円)
取れるポジションの大きさに対して、手数料は大変安いので、細かな調整を考えるとミニで大丈夫です。もちろん、ラージを使って短期決戦で一気に利益を取ってしまうという方法もあります。
先物はシンプルでいいですね。
日経225売りを株式でどうやるか
問題は株式の箱での日経225売りです。日経225インデックスETFの空売りの場合、下記のような問題があります。
- 制度信用が基本 調べると逆日歩が頻繁に発生している
- 50単元以上は「空売り価格規制」が入る
多くの日経平均ETFが1株1単元。日興AMの上場インデックスファンド225【1330】だけが10株1単元です。つまり、50単元はわずか50株。1株2万3000円程度のETFですから、わずか120万円分程度しか空売りできません。これでは、日経先物ミニのクロスにも使えません。
逆日歩も問題です。日経平均ETFは想像以上に貸株在庫が少ないようで、ほぼ毎日逆日歩が付いています。日証金のサイトによると、6月8日時点での逆日歩は次の通りです。
株価2万3000円とすると、1日あたり5円程度なので、年間換算で8%近いコストがかかることになります。制度信用の貸株料は1.1%程度なので、それに比べても大きいですね。長期にショートすると、逆日歩でやられそうです。まぁそれはそうでしょう。日経平均をショートするなら、普通は先物を使うのです。
こう見ると、日経平均をETFの空売りでショートするのはいろいろ不利な感じがしますね。逆に、先物は買っても売っても違いはないので、本来は、株式の箱で買い、先物の箱で売りたいわけです。
直近では、ETFショート、先物ロングで少しポジションを組んでみて、日経平均が崩れ始めたら、逆にETFロング、先物ショートのポジションに切り替えることを検討してみようと思います。