FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIerを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

領収書に印紙がないとどうなるのか

先日購入した土地の領収書をまだもらっていないことに気づいて、「すみません、領収書もらえますか?」と連絡しました。すると返ってきたのは、「印紙はどうしますか?」というお返事。はて、領収書の印紙ってどう考えたらいいのでしょうか?

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印紙は発行側の責任

印紙、正確には「収入印紙」は「課税文書」と呼ばれる書類に課される税金です。課税文書には、「契約書」や「領収書」がありますが、これららのやりとりを行う人は税金を払う能力があるだろうということで、税を取ろうというもの。つまり、印紙によって何か国がサービスをしてくれるわけではなく、基本的には税金です。

 

印紙税法によると、領収書の場合5万円を超えると200円の印紙を貼ることが定められています。そして、印紙税法は、その書類を作成した人が印紙を買って収める義務があるとしています。

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。

印紙税法第三条

つまり、先の例でいえば、ぼくは土地の代金を支払った側で、先方は代金を受け取って領収書を発行する側。つまり、印紙代金を負担するのは土地の売主というわけです。

 

というわけで、受取側としては印紙が貼ってあろうかなかろうが、どっちでもかまいません。

印紙が貼ってないと文書の効力がない?

ここに印紙が貼っていない領収書や契約書があります。これは効力のない文書なのでしょうか? まず契約というものは、契約書は不要です。口約束でも、双方が合意すれば成立します。

  1. 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
  2. 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

改正民法 第521条(契約の締結及び内容の自由)

ただし、そこでトラブルが起きた場合、契約書が存在しないと「言った、言わない」という問題に発展します。訴訟時にも最も重視される証拠であり、その意味で契約書は重要になります。

 

ただし、契約書に収入印紙が貼られていなくても、これは税法上問題になるだけで、文書としては有効です。印紙が貼られていてもいなくても、あくまで税金の問題というわけです。

じゃあ実際にどんな脱税の罰則があるの?

自身が作成した課税書類に印紙を貼らないとどんな罰則があるのでしょうか。基本的には、本来支払うべき印紙税の3倍の金額を支払う必要があります。ただし、自主的に申告した場合は、1.1倍の金額です。また、偽造や再利用などは印紙犯罪処罰法によって、5年以下の懲役となっています。

 

ではその実態はどうか。どんなときに印紙が貼られていないことが見つかるかというと、基本的には税務調査の際になります。このとき税務署員は法人税・所得税・消費税の調査に入るのが通常で、印紙税の単独調査でない限り、印紙を調査するのは「同時捜査」と呼ぶのだそうです。

 

そのため、税務職員が印紙が貼っていない領収書や契約書を見つけた場合も、「自主的に申告して納付してほしい」(つまり1.1倍)だけで、悪質なものでない限り3倍はまれなのだそうです。国税庁のWebにも面白い書き方がされています。

 印紙による納付の方法によって印紙税を納付することになる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることになり、また、貼り付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっています。
 ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出をした場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について3倍の過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、その過怠税は、その納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の1.1倍)になります。

印紙を貼り付けなかった場合の過怠税|国税庁

このあたりは、下記のページが詳しく、なかなかに実務的です。

kachiel.jp

よくよく考えると、税務調査で印紙のない領収書が見つかっても、それを発行したのは調査に入られている先ではないので、問題はありません。では、税務署が発行したもとをたどって、「印紙が貼られていないので、払え!」というかというと、よほど悪質でない限り、あまりそれも考えにくいですね。

 

印紙は不動産売買などの契約書にも必要ですが、個人間の売買では貼られていないこともしばしばです。個人への税務調査は入ることがまれであり、しかも入られても脱税に当たるのは相手先ですから、なかなか厳しく取り締まるというわけにもいかないのだろうと思います。

印紙の時効

ちなみに、印紙税(法人税や所得税、相続税など)は、法定納付期限から5年で時効が成立します。つまり、契約書や領収書に印紙が貼っていなくても、5年経てばなかったことになるわけです。

 

昔の契約書を見ていて、「あれ?印紙が貼ってないな」と思っても、5年前のものならば慌てて貼る必要はないということです。

印紙税をゼロにする

印紙税は、どれだけのおカネが動いたかで金額が変わります。売上代金に対する領収書ならこんな感じ。

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ちなみに、銀行の通帳にも印紙税がかかり、これが1年ごとに200円です。定款にも4万円の印紙税がかかります。それから株券などにも、200円〜2万円までの印紙税がかかります。そのほか投資家に関係するものだと、不動産の契約書がけっこう高いですね。

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ただこれらには抜け道があって、いずれも「紙」が対象だということです。契約書でも通帳でも株券でも、電子データの場合は印紙税がかかりません。だから、昨今流行の電子契約なら印紙税の負担はありませんし、銀行は紙の通帳を有料化して電子通帳に移行させようとしています。

昨今は領収書を電子発行するシステムも増えてきており、これを使って領収書を発行すれば印紙税は不要になります。ただ、電子領収書は偽造も容易なため、WORDで作ってPDF化してメールで送付……では、領収書として認められないようです。専用のシステムを使う必要がありますね。

www.kuzyofire.com

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