2024年はビットコインフィーバーの年になりそうです。長年拒否されてきたビットコインETFを、SECがついに承認しました。噂で買って事実で売る、といいますが、大きな下落もなく、ビットコインETFが上り調子でのスタートです。
SEC、ビットコインETFをついに承認
ビットコイン投信を提供しているグレイスケールが、ETF転換をSECが承認しなかったことを不服として提訴し、裁判所がSEC敗訴としたことが、本ETF承認のきっかけです。SECはしぶしぶながらビットコインETFを承認し、声明で次のように書いています。
私たちはメリット中立ではあるが、金属ETPの原資産が消費者や産業用途であるのに対し、ビットコインは主に投機的で不安定な資産であり、ランサムウェア、[4]マネーロンダリング、[5]制裁逃れ、[6]テロ資金調達などの非合法活動にも利用されていることに注目したい[7]。
当社は本日、特定のスポットビットコインETP株の上場と取引を承認したが、ビットコインを承認または推奨したわけではない。投資家は、ビットコインや暗号と価値が結びついた商品に関連する無数のリスクについて、引き続き慎重であるべきである[8]。
SEC.gov | Statement on the Approval of Spot Bitcoin Exchange-Traded Products
なお、承認された11本のETFは下記の通り。いずれも信託報酬は0.2%前後のようです。いろいろなETFがありますが、VanEckのETFのティッカー「HODL」は素敵ですね。HODL（ホドル）というのはクリプト業界のスラングで、「クリプトを保有し続けて売らない」ことを意味します。
価格は安定
通常、こうしたニュースは「噂で買って、事実で売れ」といわれます。今日まで、まもなくETF承認という噂によってBTC価格は上昇してきました。そして正式発表があった今、今度は売られるというのがセオリーです。
今回は前日にSECもTwitterアカウントがハッキングされ、承認という誤報が流れ、乱高下。そして正しい承認のニュースではいったん売られたものの、すぐさま買い戻されました。
今後は、BTC ETF組成のために各運用会社は現物BTCを購入することになります。規模は一説によると2024年で500億〜1000億ドルといわれています。ビットコインの時価総額は現在9000億ドルほどなので、ETFによってこれだけの買いが入れば今後の上昇は間違いないと見られています。
では改めて21年の最高値と、そこからの下落。23年に入ってからの上昇を見てみましょう。
この23年の上昇は、まさに「ETF承認相場」でした。ビットコインがETF化されれば、仮想通貨取引所を使わずに、通常の株式と同じ証券会社と証券取引所で売買が可能になります。これは多くの人にとって間口が広がるとともに、機関投資家にとってもビットコインが投資対象に組込みやすくなるというメリットがあります。また税制が株式と同じ形で取引できるのもメリットです。
次の展開は、イーサリアムETFとビットコイン半減期
さて、仮想通貨フィーバーはこれで終わりではありません。今年の春にはビットコインは半減期を迎えます。つまりマイナーの報酬がが半分になり、その分売り圧力が減ります。このことは、これまで常に価格の大幅な上昇をもたらしてきました。従来のような100倍……というのはないでしょうが、3倍くらいの上昇は十分にあり得るというのが大方の見方です。
Bitcoin Halving: When Is the Next One? | Binance
もう一つの動きが、イーサリアムETFです。今回のビットコインETFの承認確報で、価格を上げたのはビットコインではなくイーサリアムでした。直近24時間で10％近く、5日間で16％も価格をアップさせました。
この背景には、ビットコインに続き時価総額第2位のイーサリアムのETFへの承認期待があると見られます。ただし、コモディティとして明確に認められたビットコインとは違い、イーサリアムが証券なのかコモディティなのかはまだ微妙。SECはそう簡単には承認はしないでしょう。それでも、今後の大きな材料であるのは事実です。
今回のビットコインETFをどう捉えるかはさまざまですが、アングラな投資対象だったクリプトが、ETFとなっていろいろな株式と同じように取引所に並ぶというのは胸が熱くなります。祝ビットコインETFです。
