2023年夏に完全FIREして、定期収入がない生活に入りました。いわゆる定年退職者と同じような生活に、人よりかなり早く突入したということです。そうなると「今の資産は死ぬまで保つか?」とドキドキすることを想定していたのですが、いざそういう身の上になってみると、逆に「死ぬまでにどうやって資産を使い切ろうか?」と考えるようになりました。
資産を使い切ることを意識する
定期収入がなくても全く不安に感じないのは、もちろん昨今の相場が異様に好調だというのも理由です。ぼくは細かく支出とかリターンとかを記録しているので、生活費が如実にリターンを削っていることを把握しています。
それでも、取り崩しながらも資産額が増えていく様を目の当たりにすると、つい思ってしまうのです。「これ、死ぬまでに使い切れないんじゃないか?」
別に使い切れなくたっていいという考え方もあるでしょう。でもぼくは、それは機会損失ではないかと考えます。今この時点でさえ、「こんなに資産額が膨らむなら、あのときステーキを食べるのを我慢して1000円貯金しなければよかったのに、失敗した」なんて思うわけです。もっと大所に立った言い方ならば「もう数年早く完全FIREすればよかった」とも。だってそうすれば、その分自分の自由時間が伸びたわけですから。
お金の効用は一定ではなくて、本当に必要としているときにはたいへん価値があります。たぶん、美味しいものを食べるにしても、旅行に行くにしても、若いときに行っておけば、今よりも感動して多くのものを得ることができたでしょう。でもまぁ、過ぎたことを言っても仕方ありません。
その代わり、現在と未来のどちらにそうしたお金を使うかならば、そりゃ現在に使ったほうがいいよね、と思うわけです。
自分の真の総資産を把握する
ではどうやって使い切るか。これは使い道がないという問題ではなくて、どうやって使いすぎを防ぐかという問題です。余らせてはいけないけれど、足りなくなるのは致命的。いつ死ぬかも分からないのに、そのときにピッタリゼロにするのは至難の業です。
そこに向かうためには、まず自分の真の総資産を把握するところから始める必要があります。
資産取崩期には、これまで次のような資産を計算に入れていませんでした。自由に使えるお金でもないですし、老後用の資産そのものだからです。
- 生活防衛資金
- 企業型DC
- 各種貯蓄型保険
- 年金
- 家族の資産
でも、年齢的にはともかく資産管理的にはもはや老後。これらのうち、次の3つは管理対象に組み入れます。つまり総資産にカウントするということです。
- 生活防衛資金
- 企業型DC→iDeCo
- 各種貯蓄型保険
「年金」については、生涯受給可能なものなので、資産というよりは将来のインカムとして捉えるべきだと思っています。また「家族の資産」、特に妻の資産は、一緒に老後を過ごすという意味では組み込んで考えるほうが合理的な気もします。ぼくの資産の10分の1くらいは持っているので。ただ、人の資産を計算に入れて人生を設計するというのはどうも性に合わないので、これは彼女が全部好きなことに使ってしまったとしても、老後の生活は成り立つように考えるべきだと思っています。
使い切るための資産取崩しイメージ
老後でいうと、資産の取崩しは3つのポイントがあります。
- 公的年金の受け取り
- 私的年金(iDeCoとか小規模企業共済とか)の受け取り
- 金融資産の取崩し
この3つはそれぞれ性格が違い成約も違います。基本方針は、公的年金の受け取りを75歳まで繰り下げし、そこまでは資産の取崩しと副業で生活費を賄うイメージです。
ぼくは現在も厚生年金を払い続けていて、75歳まで受給を繰り下げた場合、ねんきんねっとの試算によると、75歳以降、公的年金で支出の約4割を賄える計算になります。
といっても「現在の支出の4割」なので、75歳になって果たしてそこまで金を使う生活をしているのかは不明です。妻の公的年金も合わせると、現在の支出の6割以上をカバーできるため、正直なところ75歳までに資産を使い切っても問題ないくらいの水準です。まぁインフレが年金に反映されない前提で、金融資産も確保はしておきたいですね。
またあと10年ちょっとすると太陽光発電のローンが終了し、年間1200万円程度が5年間入ってきます。65歳にはiDeCoの受け取り、70歳には小規模企業共済の受け取りがあります。これらのこれも踏まえると、65歳の時点までに相当額の資産を使ってしまってもかまいません。小さな額なので書きませんでしたが、私的年金保険の受け取りも60歳から始まるし、終身生命保険の解約返戻金も1000万円レベルであります。
つまりiDeCoや保険も含めて、65歳、75歳といった節目に向けて、どのくらい残すか/どのくらい使うかを考える段階に入ったということです。