半減期を前に絶好調のビットコインは、5月22日に1125万円まで上昇し、日本円で過去最高値を更新しました。他方のイーサリアムは、ETF承認期待を背景に急騰し、過去最高まであと一歩に迫っています。
ビットコインとイーサリアム
仮想通貨には金と銀とも言える二大巨頭があって、それがビットコインとイーサリアムです。この2つは、ステーブルコインを含めたクリプト全体のうち、時価総額で70%を占めており(BTC53%、ETH17%)、他の仮想通貨とは一線を画しています。
ビットコインは米国でのETF承認を前に、機関投資家マネーの流入を見込んで価格が急騰。半減期前のタイミングにもかかわらず最高値を突破したのはご存知の通りです。
一方で、ビットコインに釣られて上昇はしたものの、今ひとつ冴えなかったのがイーサリアム。直近1年の価格推移を見ると、BTCと似た値動きをしているものの、少々水を開けられていました。
それが20日、一気に20%近い急騰を見せたのです。
イーサリアムETF承認か?
これは、ブルームバーグのアナリストが、イーサリアム現物ETF承認の確率を、25%から75%に引き上げたことが発端です。
Update: @JSeyff and I are increasing our odds of spot Ether ETF approval to 75% (up from 25%), hearing chatter this afternoon that SEC could be doing a 180 on this (increasingly political issue), so now everyone scrambling (like us everyone else assumed they'd be denied). See… https://t.co/gcxgYHz3om
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) 2024年5月20日
イーサリアムETFはインターネット債券になり得るか?
実はイーサリアムのETFは、ビットコインETFとは違った意味で大きなインパクトをもたらします。それはまるで債券のようにクーポン、分配金を払い出せる可能性があるからです。
ビットコインはいってみれば原油や金と同じコモディティで、保有しても何も収益は生み出しません。どちらかというと保管料を取られるくらいです。
一方で、ETH2.0でPoWからPoSに移行したイーサリアムは、保有しているだけでステーキングによりETHの分配を受け取ることができるようになりました。
これが意味することは、イーサリアムETFを保有すると、あたかも債券のように分配金を受け取れる可能性があることです。現在の年率利回りは約3.5%。米国債と比べれば低いものの、日本国債と比べれば高く、他の最近と異なり値上がり(=キャピタルゲイン)も大きく見込めることになります。
このことは、デジタルゴールドであるビットコインのETFとはまた違った投資妙味を、イーサリアムETFが持つことを意味します。
変わらないことが価値のビットコインとは違い、ダイナミックに変わり続けることがイーサリアムの価値です。これだけ巨大で複雑なシステムが、まさかスムーズにPoSからPoWに移行できるとは、正直驚きでした。ステーブルコインやセキュリティトークン、NFTなど、いわゆるWeb3と呼ばれるクリプトのアプリケーションは、基本的にイーサリアムのプラットフォームで動いています。いまやビットコインとは別のスタンスで、確固たるポジションを築いているのがイーサリアムです。
ビットコインに比べて「出遅れた」と囁かれるイーサリアム。それはつまり今年、飛躍的にイーサリアムが上昇する可能性が高いということでもあります。
直近5年のBTCとETHのチャートを見ると、ETHが+1272%とBTC(+700%)を上回ってはいるものの、まだ2021年に付けた最高値を更新できていないことが分かります。ETF承認とともに、今年2024年には最高値更新が期待されます。