FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

7つの個人投資家の強み

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機関投資家はプロの集団、個人投資家は素人。そんなふうに思っている人が多いと思います。知識やテクニックでいえば、そのとおり。でも、個人投資家のほうが強みとなることはけっこうあります。

多彩な投資手段を利用できる

 最近思うのが、実は個人投資家のほうが多彩な投資手法を使えるということです。たとえば、多くのプロは、株式と債券のロング(買い持ち)しか使いません。先物を使えるようにしているファンドマネージャーもいますが、それでも先物のショートは厳しい制約があったりします。

 

レバレッジも制約があります。レバレッジ=悪というのは、顧客がそういうイメージを持っているから、プロも使いにくいという側面があるようです。個人的には、低ボラティリティ銘柄もレバレッジをかければ高ボラティリティになるわけで、高ボラティリティ銘柄が好きな人はレバレッジをかければいいと思うわけです。でも、ソフトバンク株が好きな人でも、トヨタにレバレッジは敬遠してしまうんでしょう。

 

もっと厳しいのがデリバティブです。ヘッジ目的での為替のスワップや金利スワップは取り扱いますが、収益目的での利用は厳しくなります。中にはカバードコールなどを組み入れた投資信託もありますが、その分信託報酬も高く、一般化しているとは言い難いですね。

 

ショート禁止、レバレッジ禁止、デリバティブ禁止。当然仮想通貨も禁止。禁止だらけのプロ投資家に対して、どんな投資方法でも使えるのが個人投資家です。確かに、その投資方法を学ばなければならないし、プロが使えない手法を使ったからといって勝てるわけでもありません。

 

それでも、取り得る選択肢が多いことは、重要なメリットです。

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四半期ごとに成果を出さなくていい

多くのプロは、四半期ごとに結果をチェックされます。つまり、四半期ごとに結果を出していないと、クビになったり給与が減ったりします。ファンドでいえば、四半期ごとの結果を見て、新たな資金が入ってきたり、資金が流出して償還の危機になったりするわけです。

 

四半期ごとに結果を出すためには、短期間で結果を出せる銘柄や手法を想定する必要があります。いつ上昇するか分からないバリュー銘柄を持ち続けるというのは難しいでしょう。

 

成果を評価する指標は、多くの場合は株価指数などに対して上回ったか下回ったかになります。そのため、ともするとほとんど日経平均やTOPIXと構成が変わらないポートフォリオになってしまったりするわけです。

 

ここは個人投資家の大きな強みです。3ヶ月後の旅行のために投資で資金を増やしたいというのならともかく、多くの場合は10年、20年、30年後に向けて投資をしているからです。

 

ぼくも、リーマンショック後は数年間、投資元本を下回る時期が続きましたが、深く考える必要もなく追加投資を継続しました。それが直近の大きな上昇の果実を得られることにつながったわけです。数年単位で投資を行えること。それが個人投資家の強みです。 

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誰かに報告したり、誰かに命令されない

 プロというとカッコいいですが、それは「生活のためにやっている」か「誰かのためにやっている」かのどちらかです。誰かのためにやっているプロの場合、他人のカネを預かって運用しているということになります。

 

他人のカネを運用するとなれば、定期的にせよ不定期にせよ報告の必要があります。そして、往々にして最も忙しくて判断に悩むところで命令が来たりするわけです。

 

個人投資家であれば、自分のボスは自分。運用資金は自分のカネ。ひとりで悩むこともあるかもしれませんが、誰かに命令されることはありません。 

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個人向け優遇策を使える

このところ、NISAやiDeCoなど個人だからこそ使える税制優遇策がいろいろと登場しています。これはまさに個人投資家ならではのメリットです。それぞれ運用資金の上限が決まっていて、NISAならば年間120万円の5年分の計600万円、iDeCoも最大で月額6.8万円、20年使い続けても1632万円です。

 

人によって少ないとも十分だとも取れる額ですが、プロの投資家にはないメリットでしょう。

 

株主優待も個人投資家ならではのメリットです。投資信託などにも株主優待が送られてくるそうですが、どれだけ大量の株を持っていても名義人1人分。個人投資家ならば、家族にも協力してもらうことで、多くの名義の株主優待を得ることも可能です。

 

ほとんどの投資は、金額とリターンが比例するものですが、こと株主優待という制度は、名義人数とリターンが比例するというちょっと特殊なものになっています。 

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業界的にグレーな手法も実行可能

「業界的にグレー」と書くと、なにやら違法のイメージを持つかもしれませんが、もう少しホワイト寄りの話です。例えば、楽天証券では取引手数料無料の「いちにち信用」を使い、現引きすることで、信用金利1日分(100万円以上の取引ならこれも無料)で現物の購入が可能です。

 

でもこの制度、本来は1日に何度も取引するデイトレーダー向けのものなんですね。個人投資家は仕組みをうまく利用して、超低価格で株式取引を行えるわけです。こちら、グレーといえばグレーです。ただし、ルールの中での工夫でもあります。

 

FXの異業者間アービトラージもそうです。厳密に厳密にいうと、こうした取引を禁止している業者もあるようです。ただしこれも、それぞれが定めたルールの中で、うまい方法を使っているわけです。個人投資家ならではの方法で、プロの投資家はやはりこうした方法は使えません。

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資産下落を給与から補填できる

資産運用においては、長期投資が基本になります。その中には、何年も価格が下落するというタイミングもあるでしょう。そうした下げ相場は、いってみれば株式のバーゲンセール。どこが底かはわからないので、定期的に買い付けることが長期投資のキモです。

 

ところがプロの投資家の場合、市場のせいであっても、資産価値が下落していったら解約も増えてしまうのがほとんどです。つまり、新たに買い増すどころか、解約に対応するために資産を売らなくてはいけません。長期投資どころか、逆の動きになってしまうわけです。

 

定期的に給与というキャッシュフローが入ってくる個人投資家の場合、ここから買付資金に回すことが可能です。これは特に長期投資においては強みになります。

 

もちろん、ぼくのようにセミリタイアしてしまうと、給与からの補填というのはあまり現実的ではありませんが、ここに来るまでは、安定キャッシュフローである給与に助けられました。リーマンショック直後のバーゲンプライス状態で購入し続けたことが、現在の利益につながっています。

 

このように、プロよりもアマである個人投資家のほうが有利な点はいくつもあります。情報の不均衡という問題も、インターネットが解決してくれました。手数料やスプレッドなどもFinTechの発展で急速に縮小し、うまく取引所を選べばプロの投資家に近いコストで運用が可能です。うまく個人投資家の強みを生かした運用をしていきたいものです。