楽天モバイルがついにiPhone対応を発表しました。新規のiPhoneを販売するとともに、既存のiPhoneについてもサポートです。これまでもiPhoneは使えていましたが、一つだけ大きな違いがあります。5Gが利用可能になったことです。
5Gをオンにするまでの手順
楽天モバイルの5GをiPhoneで使うにはいくつかの条件があります。
- iPhone 12シリーズであること
- キャリア設定を受信すること
- iOS14.5をインストールすること(デュアルSIMの場合)
iPhoneが5Gに対応したのは12からなので、まぁこれは必須ですね。2つめの「キャリア設定」というのは、これまで塞がれていた5G設定をオンにするためのものです。27日から順次配信が始まっています。これを受信するには2つの方法があるようです。まずは、「キャリア設定アップデート」のポップアップが表示されるので、そこから「アップデート」を選ぶ方法。ただし、ぼくの場合、自動では出なかったので、もう1つの手動設定を行いました。
- 設定 → 一般 → 情報 を押すとポップアップ表示
次に行うのは、設定を5Gに切り替えることです。下記のように設定します。ぼくの場合、副回線にeSIMとして楽天モバイルを入れているので、副回線から選ぶことになります。
- モバイル通信 → モバイル通信プラン → 副回線 → 音声通話とデータ → 5G/5Gオート
と、ここでトラブルが。5Gを選択しようとしたところ、次のように出て、5Gがオンにならないのです。
メインにIIJのギガプラン、サブに楽天モバイルのeSIMを入れて、デュアルSIMにしているのですが、なんと「デュアルSIMモードのときは、5Gは使用できません」なのだそうです。
これは困った。とおもって少し調べたら、ちょうど27日にリリースされたiOS14.5からは、デュアルSIMでも5Gが利用できるようになったということです。OSのアップデートは時間がかかるのですが、仕方ありません。これをインストールです。
5Gがらみの設定項目
iOS14.5を入れたら、無事に5Gを選択できました。では、5G関係ではどんな設定があって、何を選べばいいのでしょうか。まずは、5Gオンと5Gオートの違いです。これはiPhone12のときの発表にもあったように、バッテリーの持ちを自動的に勘案して、バッテリーに負担が大きい場合は5Gを使わないという設定が「オート」になります。逆に、使えるときはいつも使うのが「オン」ですね。
もう1つ設定項目があります。データモードです。これはまぁ画面の通りですが、要するにガンガン5Gを使うなら「多くのデータを許容」にしておけばいいようです。
このようにして5Gフォーカスの設定にしたところがこちら。これでガンガン5Gだぜ!と思ったのですが。。。
楽天モバイルの5Gエリア
実は楽天モバイルが5G対応エリアを公開したのは4月21日です。これを見ると、なかなかに5Gが少ないことが分かります。少ないというよりも、「ここにいけば5Gが使えるかも!」という感じです。
マップを見誤らないでくださいね。ピンクのところは4Gエリアです。黄色と青が5G対応エリア。主要駅でも使えません。左下に少し広い面積のエリアになっているのは、楽天本社のある二子玉です。なるほど。
ここで5Gの「ミリ波」と「Sub6」の違いを。これは使用する周波数帯の違いになります。2Gまでの携帯が700〜900MHz帯のいわゆるプラチナバンドを使っていたことはよく知られています。そして初めて国際標準規格となった3Gでは、2GHz帯が新たに携帯に利用されるようになりました。その後、周波数帯が徐々に追加され、4Gではだいたい1.5G〜3.5GHz帯が使われています。
そして5Gでは新たな周波数が追加になりました。それがSub6とミリ波です。
※どう使い分ける?5Gの周波数帯を完全図解 - 絶対分かる5Gの仕組み:日経クロステック Active
Sub6とは「6GHz以下」の意味で、楽天モバイルでは3.8GHz〜3.9GHzを使います。ミリ波とは波長がミリ単位になることからそう呼ばれるもので、周波数帯としては28GHz帯近辺を指します。
ちなみになぜこんなに高い周波数帯を使うかというと、空きがあるからです。800MHz帯では割り当てる周波数幅は10MHz幅でした。2GHzを中心とした4Gでは20MHz幅が使われています。そして5Gでは、Sub6で100MHz幅、ミリ波では400MHz幅と、大幅に帯域が増加しているのです。シャノンの定理にあるように、無線通信の速度はパワーと周波数幅に依存します。5Gが速い理由は、基本的に広い周波数幅にあるわけです*1。
一方で、周波数帯が上がるとデメリットもあります。電波の直進性が上がり、建物の中などに入っていかないのです。800MHz帯がプラチナバンドと言われる所以は、電波の特性上、回り込みをして路地の中や部屋の中にも浸透していくことでした。ところが、周波数が上がるとちょっとした障害物で、通信ができなくなります。ミリ波では、雨が降っていてもダメ、屋内もダメ、基本的に基地局のアンテナが目視できないと使い物にならない、などといわれることもあります。
閑話休題。実はiPhoneはSub6とミリ波の両方に対応しているのですが、なぜかミリ波対応の機体は米国仕様のみ。国内品はSub6しか使えません。といっても、ミリ波のエリアなんてないも同然で、しかも開けた場所でないとスピードが出ないので、しばらくはどっちでもいい感じです。
さて、一応僕のiPhoneも5Gの利用が可能になりました。ただ、アンテナピクトが5Gに変わったのはまだ一度だけ。しかも果たして本当に5Gで通信しているのかどうか。ちなみに、IIJのギガプランもドコモの5G対応を予定しています。6月以降、無料で提供予定ということなので、待っていれば、メインのドコモ回線の5Gも利用可能になるのでしょう。といっても、ドコモの5Gもまだほとんどエリアはなくて、微妙な感じではあるのですが。
*1:KDDIやソフトバンクは、2GHz帯などの4G向けの周波数帯を使って、通信技術のみ5Gを使うという方法で5G展開を進めています。これは確かに少しは速くなりますが、基本的には4Gの改良版です。なんちゃって5Gといわれる所以です。ま、昔から3G、4Gといった名前はマーケティングに使われてきたので、今回もマーケティング上の要請から骨抜きになったという気もします。